ビザ(査証)はどういう時に必要なのかご存じですか?
ビザと聞くとクレジットカードを思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、今回解説していくビザはクレジットカードのことではなく、日本語で査証と呼ばれている海外渡航の際に必要となる物をさしています。
では、このビザはどのような場面で必要となるのか、ビザとは何かも含めて解説していきます。また、パスポートとビザとの違いやビザの申請方法や注意点についても触れていきます。
海外渡航をする際にとても役立つ情報が満載ですので、ぜひご覧ください。
ビザが必要な場面とは?
ビザ(査証)は、飛行機への搭乗時、またはフェリーなどの乗船時など海外渡航をする際の出国時に取得しておく必要があります。
また、渡航先の入国審査の際には、ビザを提示してどのような目的で入国及び滞在するのかを示すことが必要です。
海外へ行く際には、渡航先の国や地域にビザ免除の制度がない限り、どのような目的で入国する場合であってもビザの取得が必要となります。そのため、海外渡航を検討している場合は、ビザの取得をしなければならないということを覚えておきましょう。
そもそもビザとは何なのか
ビザ(査証)とは、それぞれの国が海外からの渡航者に対する安全性の確認をするためのチケットのようなものです。
そのため、海外渡航をする際には、前もってビザを申請し、滞在目的や滞在日数、また渡航者情報(犯罪歴や職業など)を渡航先の国に対して提供する必要があります。
申請時に提供した情報を基に、各国の在外大使館が審査を行い、渡航者の安全性や適格性を判断します。無事に安全性や適格性を認められた場合は、ビザが発給され、渡航することが可能となります。
しかし、ビザ(査証)を取得できた場合でも、入国審査時に何らかの理由により、入国が拒否される事があります。このように、ビザの取得で入国が保障されるわけではないため、注意しましょう。
パスポート(旅券)とビザ(査証)の違い
パスポートには、海外で使える身分証明書の役割があります。パスポートを所持していることで、海外での本人確認として公的機関を利用する際に、有効な書類です。また、パスポートは出生国の政府に対して申請を行い取得します。また、パスポートをもっていない場合は、ビザの申請ができないため注意しましょう。
一方、ビザ(査証)は、入国審査時に滞在目的や滞在日数を示すための書類であり、入国を行うためのチケットの役割を果たします。渡航予定の国または地域の大使館に対して申請を行い、取得する必要があります。
このようにパスポートとビザは外国に対して効果のある書類ですが、取得する場所や内容に違いがあります。
下記でパスポートとビザの内容などについてまとめたのでご確認ください。
内容 | 申請先 | |
---|---|---|
パスポート | ・各国に対して有効な身分証明書 | 出生国(国籍がある国) |
ビザ | ・滞在目的や滞在期間を示した書類 ・国から適格性を認められた証明書 |
渡航予定の国または地域 |
パスポートとビザは海外渡航を行う際には最も重要となる書類です。しっかりとパスポートとビザの違いについて知っておきましょう。
アメリカのESTAとの違い
アメリカには、電子渡航認証となるESTA(エスタ)が導入されています。
ESTAはビザと混合されることが多いのですが、実際はまったく違います。
ESTAとは、「Electronic System for Travel Authorization(電子渡航認証システム)」の略称であり、アメリカのビザ免除プログラム(VWP)の施行に伴い、導入されたシステムです。そのため、ESTAを取得することでビザなしでの米国渡航及び入国が可能です。
また、ESTAの申請には条件があります。まず、渡航目的が観光又は商用であることです。ESTAを利用した際は、就労や留学を行うことができません。
次に滞在期間が90日以内であることです。ESTAは、短期滞在の場合のみ利用可能なため、90日を超える観光または商用を行う際は、ビザの申請が必要です。
なお、その他ESTAの申請条件や申請方法についてはこちらで詳しく解説しているので、ぜひご確認ください。
ESTAはビザのように、長期滞在ができません。しかし、短期でのアメリカ観光を行う場合は、とても便利な物になるため、ESTAの利用をおすすめします。
ご自身の渡航目的や滞在期間に合わせてビザとESTAの選択をしてみてはいかがでしょうか。
主なビザの種類
ビザ(査証)は、渡航目的によって細かく分類されています。そのため、各国のビザには様々な種類があり、渡航目的によって取得すべきビザが異なります。
ここでは、たくさんあるビザの中で一般的に利用されることが多いビザについてご紹介していきます。
観光ビザ
観光ビザは最も一般的に利用されているビザです。名前の通り観光を目的とした渡航の際に必要となるビザになります。
日本は観光目的であれば、一定期間の滞在に限り、ビザが免除されている国や地域が多く存在します。滞在可能期間や申請条件を確認して、ビザの取得またはビザなしでの渡航をしましょう。
就労ビザ
海外での就労を目的としたビザです。国によっては、職業によってもビザの種類が分類されている場合があります。
就労ビザを取得する際は、各国の大使館又は領事館で取得条件などを確認の上、申請を行いましょう。
ワーキングホリデービザ
ワーキングホリデービザとは、一定の年齢の渡航者が、ワーキングホリデー協定によって定められた国で休暇を過ごすために必要なビザです。
ワーキングホリデーは、滞在中に旅行を行える事に加え、滞在中の資金調達のための就労が認められています。滞在期間や取得条件は国によって異なるため、各国の大使館または領事館で確認してください。
学生ビザ
学生ビザは、留学目的で渡航する際に必要なビザです。国によっては、短期の留学に限りビザの免除を行っている場合もあります。
また、学生ビザは留学期間中は就労時間に条件はあるもののアルバイトを行う事が可能なケースもあります。詳しくは大使館または領事館にてご確認ください。
日本ビザの原則的発給基準
ビザ(査証)には、各国で定められている取得条件があります。
ここでは、日本のビザを取得する際の基本条件(原則的発給基準)について解説します。
まず、外務省で公開されているビザの原則的発給基準は以下の通りです。
(1)申請人が有効な旅券を所持しており、本国への帰国又は在留国への再入国の権利・資格が確保されていること。 (2)申請に係る提出書類が適正なものであること。 (3)申請人が日本において行おうとする活動又は申請人の身分若しくは地位及び在留期間が、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)に定める在留資格及び在留期間に適合すること。 (4)申請人が入管法第5条第1項各号のいずれにも該当しないこと。 |
では、細かく解説していきます。
(1)申請人が有効な旅券を所持しており、本国への帰国又は在留国への再入国の権利・資格が確保されていること。
有効なパスポートを所持している必要があります。
先ほども述べたように、パスポートがなければそもそもビザの申請を行うことができません。
また、パスポートはビザなしで渡航する際にも入国審査時に使用するため、パスポートは必ず必要になるので覚えておきましょう。
(2)申請に係る提出書類が適正なものであること。
ビザの申請には、様々な書類が必要です。また、1つでも申請書類に不備があった場合は、ビザの発給がされません。必要書類は定められた場所で取得し、間違いの無いように提出しましょう。
(3)申請人が日本において行おうとする活動又は申請人の身分若しくは地位及び在留期間が、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)に定める在留資格及び在留期間に適合すること。
ビザの種類と申請者の状況が一致していない場合、ビザの発給はされません。
例えば、就労ビザを申請した際に、就く予定の職種と今までの経歴に共通点がない(料理人として就労するのに料理人としての知識及び経歴がないなど)場合は、有用な人材だと認められずビザが発給されないです。
そのため、自身の状況や目的にあったビザの申請を行いましょう。
(4)申請人が入管法第5条第1項各号のいずれにも該当しないこと。
入管法第5条には、日本への入国を禁止する条件として様々な項目が記載されています。
該当例として、感染症患者、精神障害者、政府への負担の可能性がある者、禁固刑を受けた者、麻薬関連の犯罪者、売春や人身売買に関与した者などが含まれます。
入管法第5条第1項に該当する方は、入国を拒否される事があるので注意しましょう。
ビザが必要な主要国
日本は、ビザ免除を受けている国や地域が多いことで有名です。
では、日本から渡航する際にビザが必要な国はどこなのでしょうか。
ここでは、2023年時点での日本から海外へ渡航する際にビザが必要となる主要国をご紹介していきます。
アジア圏
アジア圏では主に、中国、北朝鮮、アフガニスタンなどがあります。
なお、インドもビザが必要ではありますが、60日以内の観光又は商用目的の際に限り、到着後に取得可能なアライバルビザ(Visa on arrival)の利用が可能となっています。
中東
中東でビザが必要な国は、シリアとイエメン及びサウジアラビアになります。
イランは事前に申請を行うことで、到着ビザ(アライバルビザ)の取得が可能になっています。
なお、中東、特にイラン周辺は紛争などが多くとても危険な状況が続いております。
渡航する際は、海外安全ホームページ(外務省)で最新の状況を確認するようにしてください。
アフリカ
アルジェリア、エチオピア、スーダンなどが該当します。
アフリカ地域は、政府と市民との対立が起きている地域が多く、紛争に巻き込まれる危険性が高いです。また、海外安全ホームページではアフリカのいくつかの国に対して危険レベルが4に設定されています。
レベル4は避難勧告相当になります。
アフリカの該当地域には渡航しないようにしましょう。
該当しない地域も状況が変化する可能性があるので、必ず最新の情報を確認したうえで、渡航を検討してください。
ヨーロッパ
ヨーロッパは唯一、ロシアのみ渡航時にビザが必要となります。
また、ロシアは、ビザの申請時に6ヶ月以上の有効期限が残っているパスポートを所持している必要があります。
ロシアのビザを申請する場合は、パスポートの有効期限をしっかり確認して、申請を行いましょう。
以下では、2023年時点でビザの取得が必要な国についてまとめましたので、ご確認ください。
ビザの取得が必要な国 | |
アジア圏 | ・アフガニスタン ・中国 ・ブータン ・北朝鮮 ・トルクメニスタン |
中東 | ・シリア ・イエメン |
アフリカ | ・アルジェリア ・ベナン ・ブルキナファソ ・カメルーン ・中央アフリカ共和国 ・チャド ・コンゴ共和国 ・コンゴ ・コートジボワール ・ギニア ・エリトリア ・エチオピア ・赤道ギニア ・ガーナ ・ナイジェリア ・ニジェール ・南スーダン ・ガンビア ・スーダン ・ウガンダ ・リベリア ・ケニア |
ヨーロッパ | ・ロシア |
オセアニア | ・ナウル |
中南米 | ・キューバ |
ビザはどこでとるの?
ビザ(査証)は基本的に各国の大使館又は領事館で申請を受け付けています。しかし、一部の国や地域では大使館又は領事館でのビザ申請を受け付けておらず、大使館から直接的に一部業務の委託を受けたビザセンターでビザ申請をしなければならない場合があります。
また、ビザの申請は直接大使館へ申請する方法とWEB条で申請を行う方法があり、国によって異なります。そのため、ビザの申請をする際の不明点などは、渡航予定国の大使館又は領事館へ直接お問い合わせください。
ビザ申請の方法と注意点
ビザ(査証)の申請は国によって異なります。
基本的に大使館又は領事館へ申請を行う場合が多いですが、オンラインで申請を行う場合や、到着ビザを導入している国は到着時の空港内でビザの取得を行う場合もあります。
ビザの申請には、パスポート、証明写真、ビザ申請書、手数料が必要な場合が多いです。その他にもビザによって、追加書類が必要になる場合もあるため、しっかりと事前に確認を行い準備をしましょう。
米国ビザの場合、オンライン上で申請書を作成し、ビザの面接時に大使館へ必要書類を提出し、面接を受けた後、ビザが発給されます。
ビザの申請を行う際は、各国の大使館又は領事館のホームページにて申請方法や申請条件の確認をしましょう。
ビザ取得に要する期間
ビザ(査証)は、ほとんどの場合、申請後約1週間〜1カ月程度で取得が可能です。また、オンライン申請を行っている国は早いところで、3日程度で取得できる場合もあります。
なお、申請内容や必要書類の不備などによって、時間がかかる場合があります。期間に余裕を持ち、渡航予定日の3カ月〜2カ月前には申請を行うようにしましょう。
ビザの使用回数と有効期限
ビザ(査証)の有効期限及び使用回数は、国や地域に加え、申請するビザの種類によっても異なります。
日本の場合は、どの種類のビザでも有効期限が3ヶ月間かつ使用回数が1回のみとなっています。また、アメリカの場合は、最長10年間の有効期限があります。これに加え、アメリカビザには、使用回数の制限がなく、有効期限内での複数回の渡航が可能です。
このように国と地域及びビザの種類によって、有効期限や使用回数が異なるため、しっかりと事前に確認をしておくことが大切です。
ビザの申請は早めに行いましょう
ビザ(査証)は、申請後約1週間〜1カ月程度で取得が可能です。しかし、申請内容や必要書類の不備などで、通常より時間がかかる場合があります。
万が一、渡航予定日ぎりぎりに申請した際に、通常より取得までに時間がかかってしまった場合、渡航予定日に間に合わなくなってしまい、予定通りに渡航ができなくなるかもしれません。
そのようなリスクを防ぐためにも、期間に余裕をもって、渡航予定日より3カ月〜2カ月前にはビザの申請を行うようにしましょう。
ビザ(査証)は、海外渡航をする際に必要となるとても大切な物です。
ビザは遊園地や施設へ入場する際のチケットと同様の役割があります。また、パスポートは、本人確認を行う際の身分証明書のような物です。
ビザとパスポートは、外国へ入国する際のチケットと身分証明書と覚えておきましょう。
アメリカをはじめ多くの国は日本に対して、ビザの取得を免除しています。しかし、ESTA(エスタ)などの電子渡航認証の取得が必要な場合があるため、注意しましょう。
ぜひこの記事を参考にして、ビザがいつ必要なのか、どうして必要なのかをしっかり理解し、海外渡航の際に役立ててみてください。
ビザやパスポートについて理解を深め、快適な海外渡航をしていきましょう。