アメリカ旅行の水事情は?ミネラルウォーターは買うべき?わかりやすく解説

アメリカ旅行に行く際に、水道水は飲まない方がいいという意見を聞いて不安な方は多いと思います。実際に、水道水は飲まないほうが良いのでしょうか?また、飲料水はどこで手に入れればよいのでしょうか。

この記事では、シチュエーション別にアメリカの水事情について解説していきたいと思います。

アメリカの水事情

アメリカは州によって基準が異なりますが、世界で最も水道水の安全基準が厳しい国と言われています。

レストランなどで無料の水を注文すると、水道水が出てきます。しかし、おいしく飲むことはできるのか、健康面に問題ないのか不安な方も多いはずです。

下記では、アメリカの環境保護庁の発表をもとに、アメリカの水事情を解説していきます。

アメリカ環境保護庁の発表によると、水道水を飲むことはできる

アメリカでは水道水の安全性を高めるため、「安全飲料水法(Safe Drink Water Act)」という法律があります。この法律は、公共機関(各州の水道局など)が供給している水道水の安全性を高めるため、1974年からアメリカ環境保護庁(EPA)が制定した法律です。

水道水が飲める日本と比較しても、水質基準をチェックする項目が、日本では50項目ほどであるのに対し、アメリカでは300項目ほどあります。そのため、アメリカの水道水は安心して飲むことができると言えます。

では、なぜアメリカでは水道水を飲んではならないとされているのでしょうか。

日本人の体質に合わない硬水が供給される地域がある

アメリカでは地域によって水道から供給される水の硬度(マグネシウムやカルシウムが含まれている濃度)が異なるため、何も知らずに水道水を飲むとお腹を壊してしまう事があります。アメリカでは約85%の地域で硬水が水道から供給されています。

日本では、多くの地域で軟水(マグネシウム・カルシウムなどの濃度が低い水)が供給されています。アメリカで軟水が水道から供給されている地域はニューヨークやサンフランシスコなどです。そのため、軟水が供給されている地域に行く場合には水道水を飲んでも問題ないといえるでしょう。もしアメリカのどの地域が硬水なのか知りたい場合にはアメリカ地質調査所(USGS)が提供している「アメリカ水の硬度マップ」をご覧ください。

アメリカで軟水が供給されている地域
・ニューヨーク州
・カリフォルニア州
・アリゾナ州
・テキサス州
・ヒューストン州
・ノースカロライナ州沿岸部
・サウスカロライナ州
・メイン州
・バーモント州
・ニューハンプシャー州
・マサチューセッツ州
・コネチカット州
・テネシー州
・ミシシッピ州
・アーカンソー州南部
・ルイジアナ州
・テキサス州東部
・モンタナ州東部
・オレゴン州
・ワシントン州沿岸部

アメリカの水道水から有害物質が発見されることはある?

アメリカでは、水道水に対して高い審査基準が設けられている一方で、水道水から有害物質が検出されたという報道が少なからず存在します。

2017年にはニューヨークタイムズによって、供給されている水道水のうち、4分の1が飲用水に適さない、または「安全飲料水法」を満たしていない可能性があると報道されています。また、最近では2023年4月に水道水から有害な化学物質である「PFAS(有機フッ素化合物)」が多量に検出された事件もあります。

以上の報道のように、アメリカの水が必ずしも安全とは限りません。

なお、アメリカでは環境保護庁によって各自治体で水質報告書の提出が義務付けられています。

旅行先がすでに決まっている場合は渡航前に「CDC消費者信頼レポート」で情報収集を行うと良いでしょう。

水道管の破裂や計画的な断水が日本よりも頻発している

アメリカの国土は日本の25倍もあるため、都市部から地方まで全ての地域の水道管をメンテナンスすることは難しく、老朽化や詰まりによって水道管が破裂することがよくあります。

また、水道管の補修工事で計画的な断水が行われることもあります。

断水のリスクが日本と比べて高いため、水道水だけに頼っていると滞在に支障をきたしてしまう事も考えられます。

アメリカではウォーターサーバーや浄水器、市販のミネラルウォーターを利用するのが一般的

日本より水質の検査基準は厳しいですが、アメリカでは地域によって水質や水道設備が異なるため、ウォーターサーバーや浄水器、市販のミネラルウォーターを利用するのが一般的です。アメリカの「Water Poll Organization」によると、約3割の人が水道水をそのまま飲んでいますが、残りの7割の人は浄水器や市販の飲料水を飲んでいるというデータがあります。

実際に、アメリカの水道から供給される水はほのかに薬品のような匂いがしたり、土のような味がするなど日本と比較して風味に問題があります。そのため、浄水器で水道水をろ過したり、スーパーなどで売られているミネラルウォーターを飲むのが一般的となっています。

アメリカでも一般的なペットボトル飲料水

前述のように、アメリカでは市販のミネラルウォーターを購入するのが一般的なため、日本よりも生活に浸透しています。

種類も豊富で値段も安いため、自分にあった飲料水を購入しやすくなっています。

多くのスーパーでは12本から24本入りの500㎖のミネラルウォーターを2ドルから5ドルで購入することができます。

旅行中に硬水を飲んで体調不良になるよりも、市販のミネラルウォーターを購入してしまった方が良いでしょう。

アメリカで売られている軟水のミネラルウォーター

アメリカでも軟水は人気があり、多くのスーパーや食料品店で売られています。

特に、「クリスタルガイザー」はカリフォルニア州の水源から採取された湧水のため、多くのアメリカ人が好んで飲む水となっています。

アメリカで販売されている軟水のミネラルウォーター
ミネラルウォーター名 硬度
※120未満が軟水
日本の水道水 48.9
(平均値)
クリスタルガイザー 38
サンダーロック 119
アラスカ・チル 91
プリスティン 71
パロマ―・マウンテン 59
アラスカ・グレーシア・キャップ 54
ハワイアン・スプリングウォーター 32
カリストガ 25
マウント・オリンパス 23
サンダーMTN 12
ナチュラリー・ボウルダー 10
サラトガ・スプリングウォーター 10

また、日本でも人気のあるピュアウォーターはアメリカでも同様に人気で、ミネラルウォーター同様種類も豊富で低価格で購入することができます。

アメリカで水を飲む際に注意したいこと

アメリカで水を飲むときに注意すべき点は渡航先の地域の水の硬度を調べておくことです。

水道水だけでなく、レストランで提供される水についても注意が必要です。

多くの場合、アメリカのレストランで水を注文すると水道水が運ばれてきます。

地域によって硬水ですので、大量に飲んだりするとお腹を壊してしまう事態になりかねません。

レストランによってはボトル入りの水を提供してくれたりするため、店員やスタッフに尋ねてみるのが良いでしょう。

また、水を頼む際にはただ「Water」というと水道水が提供されます。水道水を飲みたくない場合は、注文の際に「Bottled water」というと、ボトル入りのミネラルウォーターを提供してもらう事ができます。

もしも硬水を飲んで水あたりを起こしてしまった時の対処法

硬水を大量に飲んだ際に、吐き気や腹痛、軟便、便秘になってしまう事があります。
この症状を「水あたり」と呼びます。硬水を飲んでしまった時以外に、水の中にウイルスや細菌が混入している場合にも起こる可能性があります。

もし、アメリカ滞在中に水あたりになってしまった場合に備えて対処法を覚えておきましょう。

①下痢止めを飲む

水あたりになってしまった場合はすぐに下痢止めや整腸剤を飲んで安静にしていましょう。
アメリカで販売されている薬を購入するのも良いですが、体質に合わない事もあるため、日本で購入したものをアメリカ旅行時に持参して行きましょう。

②水分を取る

水あたりになり、下痢の症状がひどいと脱水症状になり命に危険が及ぶ可能性があります。
水あたりになってしまった水以外の水を購入し、こまめに補給しましょう。

また、水分補給の際には塩分も補給できるスポーツ飲料を飲むのがおすすめです。

③病院に行く

上記の2つの方法で症状が改善しなかった場合は、滞在先近くの病院にいくことをオススメします。
救急車を利用する場合は有料となっており、地域によって多少増減しますが4万円~6万円ほどの料金が掛かります。

また、アメリカの病院にかかる際には日本と比べて大きな金額になります。このような事態を避けるためにも、海外旅行保険に入っておき、金銭的負担を軽くしましょう。

飲料水を持ち込むときの注意点

スーツケースに入れて置く場合

飲料水に関して不安がある人は日本からペットボトル入りの水を持って行きましょう。
また、スーツケースに入れて航空会社に預ける際には、荷物の重さが一定以上になると追加料金を支払わなければならなくなります。

例として、日本航空(JAL)の場合、スーツケース全体の重さで20㎏までなら無料となります。
しかし、水を何リットルも持ち込むと追加料金の対象になることもあるため、500㎖のペットボトルを1〜2本、多くても3本までにしておきましょう。

また、スーツケース内にミネラルウォーターを入れておくと気圧の変化や衝撃によって破裂する恐れがあります。

タオルや着替えなどといった濡れても問題の無いもので包んで保護しておきましょう。

飛行機内に持ち込む場合

ペットボトルに入った飲料水を飛行機内に持ち込む際の注意点として、液体の持ち込み制限です。
どのような事情があっても、保安上の問題から飛行機内には100㎖以上の液体物を持ち込むことができません。手荷物として機内に持ち込むことができる液体は、どのような物であっても「透明な容器に入っていて、100㎖まで」です。

なお、手荷物検査をしてから飛行機に搭乗するまでに購入した飲み物は機内に持ち込むことができます。

まとめ

以上、アメリカ旅行の際の水事情について解説しました。

アメリカの水道水は日本よりも安全基準が高いですが、地域によって水質が異なるため、水道水を飲む際には注意が必要です。アメリカで飲料水を飲む際には市販のミネラルウォーターを購入しましょう。

また、日本からアメリカに渡航する際に、ミネラルウォーターを持ち込む方もいると思いますが、預け荷物の重さ制限や、機内持ち込みの制限に注意する必要があります。

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