パスポートは国際的に有効である身分証明書です。パスポートを申請・取得していないと国境をまたいで海外に行くことはできません。また海外帰国時にもパスポートがないと日本に帰国することもできません。大切な旅のお供のパスポートには5年・10年と選ぶことがパスポートの5年と10年の違いについて解説するとともに、どちらがよりお得なのか?もわかりやすく解説していきます。
パスポートの5年と10年を選ぶ基準
日本のパスポートは5年と10年で選ぶことができます。5年のパスポートは紺色、10年のパスポートは赤色と色の区別もされています。では、パスポートの5年と10年の違いはなにがあるのか、またパスポートの5年・10年には違いがあり、年齢の制限によるもの、手数料の違い、パスポートのページ数、パスポートの残存有効期限などを比較しどちらがよりお得なのかを解説します。また選ぶ基準は、ご自身のこれからの未来を照らし合わせて比較・検討することがおすすめです。
パスポートの年齢制限の比較
日本の成人年齢引き上げで18歳から成人として扱われるようになりましたが、この成人年齢はパスポートに大きく関わってきます。18歳以上であれば10年のパスポートの取得が可能になり、5年と10年のパスポートで選ぶことができます。18歳未満は5年のみのパスポートのみ取得可能になります。海外旅行は毎週行けるものでもないので、有効期限が5年違うというのはひとつの判断材料になりそうです。
18歳未満は5年のみ
『年齢計算に関する法律』(明治35年法律第50号)によると、年齢は誕生日の前日に年齢を重ねていく決まりとなっているため、18歳の誕生日前日と前々日の申請だと取得できるパスポートの日数が変わるということです。
年齢 | パスポート取得可能年数 |
---|---|
18歳以上 | 5年 |
10年 | |
18歳未満 | 5年のみ |
パスポートの手数料の比較
パスポートの5年・10年違いは手数料にも反映しています。パスポートの有効期限の選択は18歳以上か18歳未満なのかで変わりますが、手数料は12歳以上か12歳未満かで支払う料金が変わってきます。12歳以上の5年パスポートの支払う手数料は11,000円となり、12歳未満の5年パスポートは6,000円です。10年有効のパスポートの手数料は16,000円です。
この場合、注意してほしいことは、18歳未満と12歳以上は5年のパスポートのみ取得可能だが、18歳以上の5年間有効なパスポートと支払う手数料は変わらないということです。
年齢 | パスポートの有効期間 | 支払う手数料 |
---|---|---|
18歳以上 | 10年(選択可能) | 16,000円 |
18歳以上 | 5年(選択可能) | 11,000円 |
18歳未満 | 5年のみ(選択不可) | 11,000円 |
12歳以上 | 5年のみ(選択不可) | 11,000円 |
12歳未満 | 5年のみ(選択不可) | 6,000円 |
手数料で判断するときの注意点
手数料だけを見ると5年パスポートが安く手頃感がありますが、今回きりの海外旅行かどうかで判断をするのがおすすめです。パスポートの更新や新規取得は意外と手間がかかることも考慮してパスポートの有効期限を決めるようにしてください。もし、2.3年に一度は海外旅行をしたい、または行く予定があるという方は10年間有効なパスポートも検討すると良いでしょう。
パスポート査証ページ数の比較
パスポートのには査証ページといって、渡航先に出入国したときに押されるスタンプ欄があります。これはビザを発給する際にも利用されます。10年のパスポートには44ページの査証ページ数があり、5年は28ページとなります。2023年(令和5年)3月27日以降、旅券法の改正により、ビザの発給や査証欄の増補申請が、偽造防止の観点から廃止となった為、査証欄の余白が少なくなった場合は『切替申請』または『残存有効期間同一申請』のどちらかの申請を行わないといけません。『切替申請』を行う場合は現在のパスポートの残存有効期限は切り捨て、パスポートの新規発行と変わらない状態となります。
『残存有効期間同一申請』は現在お持ちのパスポートの残存有効期限を継続した状態で新しいパスポートになります。
査証ページを増やす場合には以下の手数料になります。
申請項目 | 期間 | 手数料 |
切替申請 ※新しいパスポートに切替 | 10年 | 16,000円 |
5年(12歳以上) | 11,000円 | |
5年(12歳未満) | 6,000円 | |
残存有効期間同一申請 ※新しいパスポートに切替 | 手持ちのパスポートの残存有効期限を継続 | 6,000円 |
査証ページ数で決める場合の注意点
海外旅行に半年に1回は行っている、ビザを取って海外に留学したいまたは海外で働きたいなど海外にご縁がある方は査証欄の多い10年パスポートを取得しておいたほうがお得でしょう。現在、海外旅行には興味がある状態で初心者同様だという方は、5年のパスポートを取得して査証欄に空白がなくなりそうであれば切替申請または残存有効期間同一申請を行うのがおすすめです。
パスポート残存期間の比較
旅行先の国や地域によってパスポートの必要残存期間は異なります。必要残存期間、有効残存期間とは残りのパスポートの有効日数が何日間ないと渡航できませんよということです。
アメリカでは帰国時までパスポートが有効であれば問題ありません。ヨーロッパ周辺はパスポート残存期間が3ヶ月以上が多く、アジアではパスポートの残存期間が6ヶ月以上であることを条件としている国が多いです。このようにパスポートの必要残存期間が国・地域で大きな違いがあります。なので、パスポートの残存期間は半年以上が条件になっていることが多いと覚えておくと良いです。これらを考慮すると、10年のパスポートの場合は使える期間が実質9年半となり、5年の場合は使える期間が実質4年半となるのです。
残存期間も考慮すると10年のパスポートにしておくことで、海外渡航先の選択肢が広がる可能性があります。
戸籍上の変更があった場合
戸籍上における変更があった場合はそれに伴いパスポートの変更も行います。戸籍上の変更とは、結婚や養子縁組で苗字の変更を行った時や国際結婚などで苗字の追記をしたなど、戸籍上の変更があった場合を意味します。それ以外にも本籍地の都道府県変更や、性別の変更を行った場合にも戸籍の変更が必要です。パスポート情報と戸籍情報は一致していなければならないので、パスポートを新たに切替申請するか、記載事項変更旅券の申請を行います。記載事項変更旅券の手数料は6,000円です。
例えば結婚が間近な婚約者がいる状況で10年のパスポートを取得するとします。その半年後には結婚をしました。このような状況では10年のパスポート手数料1,6000円+記載事項変更旅券の手数料6,000円となります。近い未来に戸籍上で何かしらの変更がありそうな場合は5年のパスポートにしておくと、手数料のコストも抑えられます。
申請項目 | 期間 | 手数料 |
切替申請 ※新しいパスポートに切替 | 10年 | 16,000円 |
5年(12歳以上) | 11,000円 | |
5年(12歳未満) | 6,000円 | |
残存有効期間同一申請 (記載事項変更) ※新しいパスポートに切替 | 手持ちのパスポートの残存有効期限を継続 | 6,000円 |
5年パスポートがおすすめな人
・近い将来に戸籍上の変更がある
・10年間パスポートの写真が同じなのは嫌
・海外旅行を計画する頻度が少ない
・パスポートにかかる初期費用を抑えたい
・パスポートの紛失によるリスクを抑えたい
・18歳未満
上記のいずれかに当てはまる方は5年のパスポートを選択するとで、費用も安く抑えられおすすめです。5年のパスポートを選択するときに注意しておきたいことは、5年毎にパスポート申請を行うこということです。5年パスポートを更新して10年間使用するより、10年間有効なパスポートのほうが安く済みます。
パスポートの更新時はオンライン申請をすることで窓口に行く手間は省けます。
オンライン申請の記事はこちら
10年パスポートがおすすめな人
・パスポートの更新の手間を省きたい
・パスポート申請時の必要書類を用意する時間がない
・一時的な出費が増えてもトータルで得したい
・定期的に海外旅行している
・査証欄が早く埋まりそう
・渡航先の必要残存期間を気にしたくない
・18歳以上
上記のいずれかに当てはまる方は10年のパスポートを選択するのが良いでしょう。外務省が公開しているデータを参考にすると、日本国内で発行されているパスポートの8割が10年間有効なパスポートだそうです。これから海外旅行をたくさん計画したいと考えている方や、海外が好きな方は10年のパスポートを取得しておいて損はないかと思います。
注意点として、10年のパスポートを取得したあとの紛失や盗難には気を付けましょう。10年パスポートは5年にくらべ手数料も高く、再発行手続きも含めると割高になる可能性があることと、10年間戸籍上の情報がパスポートに載っているという点を含めて5年のパスポートよりも紛失や盗難が起きた際のリスクは高くなります。
パスポートの有効期限切れに注意
計画していた海外旅行当日にパスポートの有効期限が切れた場合は速やかに航空会社に連絡し、キャンセル手続きを行います。パスポートが切れている場合は日本から飛行機に搭乗することができないので、旅行会社などのツアーに参加予定の場合も航空会社同様にキャンセルの連絡を入れましょう。
海外渡航先に到着し、パスポートの有効期限が切れてしまったときは、現地の大使館または領事館を探し、速やかにパスポートの発給手続きを行いましょう。
これは海外渡航先でパスポートの紛失・窃盗被害に遭った場合も同様です。
まとめ
以上がパスポートの5年と10年の比較とメリットについてです。パスポートの5年10年どちらかでまだ悩んでいるのでしたら、『10年のパスポート』を選択するようにしましょう。総合的に判断すると10年のほうがお得、パスポートは頻繁に更新するものではないという認識のもと、10年のパスポートを推薦します。
もちろん、直近で婚姻の予定や本籍地の変更などを予定されている方は5年のパスポートを申請するようにしてください。
お得かつ効果的にパスポートを使えるように、この記事が参考になれば幸いです。