今までアメリカへ渡航する際、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、ESTAの申請とともに新型コロナウイルス陰性証明書および1日以内に行ったPCR検査の陰性証明書、ワクチン接種完了証明書の提示が義務付けられていました。
2022年6月10日、アメリカでは入国時の新型コロナウイルス陰性証明書の提示義務が撤廃されました。また、同年6月12日には入国前1日以内に行ったPCR検査の陰性証明書の提示も不要となりました。
2023年5月11日にはアメリカ政府が「国家非常事態宣言」を解除し、同年5月12日よりワクチン接種完了証明書の提示義務を撤廃しました。
2023年9月現在、アメリカ入国時に必要な証明書はESTAのみとなっています。
本記事では、現在アメリカ入国時に必要・不必要になった証明書類についてとその他渡航時の注意点、帰国時の手続きなど観光に役立つ情報をまとめています。ぜひ、参考にしてください。
アメリカ渡航の注意点
2023年5月11日にアメリカのバイデン大統領は新型コロナウイルス感染症拡大によって施行されていた「国家非常事態宣言」を解除しました。それに伴い、既に提示の必要がなくなっていたPCR検査による陰性証明書に加え、同年5月12日よりワクチン接種完了証明書(海外渡航用新型コロナウイルスワクチン接種証明書)の提示も撤廃されました。
現在では、米国渡航は自由に行うことができ、アメリカ全土でのマスク着用が不要となりました。しかし、医療機関や介護施設では引き続き着用が求められる可能性がありますので注意が必要です。
アメリカ入国時の必要な証明書
アメリカ政府が「国家非常事態宣言」を解除したことにより、入国時に義務付けられていたPCR検査による陰性証明書とワクチン接種完了証明書の提示が撤廃されました。そのため、現在ではESTAの取得のみで米国へ渡航することができます。
下記でESTAについて解説していくので、ぜひご覧ください。
ESTA(エスタ:電子渡航認証システム)
ESTAとは特定の条件を満たしている場合に申請・取得をすることでビザの取得なしで米国渡航が可能になるシステムです。VWPといわれるビザ免除プログラムの一環としてアメリカで利用されています。
ESTAを取得することにより、観光・短期商用を目的とした90日以内のアメリカ滞在をすることができます。また、アメリカへの入国時には必ず必要となるため、乗り継ぎなどのアメリカ経由での渡航時にも必要となります。
詳しく知りたい方やESTAの申請を行いたい方は、ぜひこちらのページをご覧ください。
現在アメリカ入国時に必要のない書類
先ほど述べたようにアメリカ政府は「国家非常事態宣言」の解除をしました。それにより、現在アメリカ入国時に提示の義務がなくなった書類があります。
下記では必要がなくなった書類の紹介、概要の説明をしていきます。
ワクチン接種完了証明書(海外渡航用新型コロナウイルスワクチン接種証明書)
米国では、原則としてワクチンが1回または未接種の方に関して入国を認めていませんでした。そのため、2回以上のワクチン接種完了を示す証明書の提示が義務付けられていました。また、証明書は自治体または医療機関で発行されたものに限られ、ワクチン接種が完了した翌日から起算し、14日間以上期間が経過していることが求められていました。
アメリカが認める有効ワクチン
アメリカ入国時に使用するワクチン接種完了証明書にはアメリカが認める7種のワクチンでの接種が必要でした。
アメリカが認める有効ワクチンは次の通りです。
・ファイザー社 ・モデルナ社 ・ジョンソン・エンド・ジョンソン社(J&J) ・アストラゼネカ社 ・中国医薬集団(シノファーム) ・科興控股生物技術(シノバック・バイオテック) ・コビシールド社 |
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)宣誓書
宣誓書とは「アメリカ合衆国法典第18編1001条」に基づき、新型コロナウイルス感染症の陰性証明書または治療証明書の内容に虚偽がないことを示す著名書類です。宣誓内容を選択し、宣誓者の氏名・宣誓日の記入と署名をします。アメリカへ入国する2歳以上の渡米者は、アメリカ政府やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)指定の書類を提出する必要がありますが、2~17歳の方および健康上の理由などで本人が申請できない場合、保護者または代理人による宣誓が可能とされています。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)情報提供書
情報提供書とはアメリカ滞在時のご連絡先を記入する書類です。電話番号やE-mailアドレスなどを記入する項目があります。アメリカではCDCに対して情報提供を行うことを義務付けていたため必要となっていました。
ハワイ渡航の変更点
ハワイへ渡航する際は事前検査セーフ・トラベルズ・プログラム(トラベル&ヘルスフォーム)のアカウント登録が義務づけられていました。しかし、2021年11月8日より不要となり、2022年3月25日以降撤廃されました。
現在ではハワイに渡航する際、ESTAの取得のみで入国が可能になっています。
入国についての変更点はこちらです。
変更前 | 変更後(現在) | |
---|---|---|
入国時必要要件 | ・事前検査セーフ・トラベルズ・プログラム (トラベル&ヘルスフォーム)のアカウント登録 ・ワクチン接種完了証明書 ・CDC(アメリカ疾病予防管理センター)宣誓書 ・CDC(アメリカ疾病予防管理センター)情報提供書 ・ESTAの申請 |
・ESTAの申請 |
なお、アメリカ本土を経由して渡航する場合も同じ条件となっています。
ニューヨーク州渡航の注意点
2020年3月22日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、ニューヨーク州では自宅待機命令を発令し、ロックダウンを行いました。しかし、ワクチンの普及と感染者の減少に伴い、規制の緩和をしました。
2021年8月には感染者の急増により、再び規制が強化されました。それに伴い、屋内施設の利用者に対しワクチンパスポート(Key to NYC PASS)を導入していましたが、2022年3月に廃止されました。
現在ではニューヨーク州内の地下鉄など公共交通機関を利用時のマスク着用は不要です。なお、混雑した場所では任意での着用が推奨されています。
カリフォルニア州(ロサンゼルス群)渡航の注意点
カリフォルニア州(ロサンゼルス群)は、2020年3月19日に国内で初めて外出禁止令を発令しました。その後、2021年1月にカリフォルニア州全域に対して外出禁止命令の解除をしています。
同年6月にはワクチンの普及により、15か月ぶりに経済活動が再開しました。しかし、デルタ株の蔓延に伴い再び規制措置を強化しました。また、8月にはロサンゼルス郡・サンフランシスコ市郡で屋内施設利用者のワクチン接種完了証明書提示を義務付けました。
2022年5月、屋内施設利用者に対して義務付けられていたワクチン接種完了証明書の提示を撤廃しましたが、現在でも全ての公務員や私立・公立学校に通う12歳以上の生徒にワクチン接種の義務付けがなされています。
カリフォルニア州では2022年3月より屋内外問わずマスクの着用は不要になっていますが、状況に応じて自主的な着用を呼びかけています。
グアム・サイパン(北マリアナ諸島)渡航の変更点
北マリアナ諸島を含むサイパンとグアム準州は、新型コロナウイルス感染症の脅威が落ち着いてきた事により、入国制限を段階的に緩和しています。2023年5月12日より、日本出国前のワクチン接種完了証明書とPCR検査による陰性証明書の提示は不要になっています。また、島外からの渡航者は、入国後10日間の自己隔離が不要になりました。
変更点を表でまとめました。
変更前 | 変更後(現在) | |
---|---|---|
渡航時必要要件 | ・ESTAの申請 ・ワクチン接種完了書の提示 ・PCR検査による陰性証明書の提示 ・入国後10日間の自己隔離 |
・ESTAの申請 |
アメリカからの帰国時の対応
現在、アメリカから帰国する方は、ワクチン接種の有無を問わず空港での抗原検査・自宅等での自己隔離は不要です。2023年4月28日以降、これまで求められていた「3回目のワクチン接種証明書」または「出国前72時間以内に行ったPCR検査による陰性証明書」の提示が撤廃されました。
2023年5月8日より日本政府は、公衆衛生当局で脅威となる感染症の経路を特定し病原体の変異速度・変異状況を監視するシステムである「感染症ゲノムサーベイランス」を施行しています。
成田空港・羽田空港・中部国際空港・関西国際空港・福岡空港にて発熱がある渡航者を対象に任意で検査を行っています。
Visit Japan Webで検疫登録
これまで検疫手続きを簡素化する目的として、Visit Japan Webを使用した「ファストトラック(検疫手続)」を導入していましたが、2023年4月29日以降に「ワクチン接種証明書」または「出国前検査証明書」の提示が不要になった事に伴い、廃止されました。
現在では、Visit Japan Web内にあった「検疫手続(ファストトラック)」のボタンは削除されています。
下では、「ファストトラック」にはどのような項目があったのか解説していきます。
ワクチン接種証明書
ファストトラックを利用する際に、事前にVisit Japan Webにアップロードをし手続きを進めます。なお、3回のワクチン接種完了を示すとともに、公的機関が発行する証明書である必要があります。
陰性証明書
ファストトラックを利用する際に、事前にVisit Japan Webにアップロードをし手続きを進めます。医療機関が発行した出国前72時間以内に行ったPCR検査による陰性証明書が必要となります。
なお、ワクチン接種証明書がある場合、どちらか一方の提示になります。
質問票
以前まで利用されていたMy SOSがVisit Japan Webに統合されたため、質問票WebはVisit Japan Web内に移動しました。
ファストトラックを利用する際に質問票Webの項目を選択し、事前に入国者情報(入国日・航空会社名・便名など)の入力や健康状態に関する質問に回答を行います。
新型コロナウイルス感染症の縮小に伴い、全世界での水際対策は大きく緩和されています。そのため、国ごとで入国時に必要な証明書などが変化している場合があります。
本記事ではアメリカ渡航時に不要になった証明書等について解説をしました。
では、おさらいも兼ねて今回解説した証明書等をまとめましたのでご確認ください。
・新型コロナウイルス陰性証明書
・ワクチン接種完了証明書
・CDC(アメリカ疾病予防管理センター)宣誓書
・CDC(アメリカ疾病予防管理センター)情報提供書
現在、アメリカに限らず様々な国と地域で入国制限などの緩和を行っているため、渡航者が増加しています。
なお、今後も水際対策が緩和される可能性があり、入国の要件に変化があるかもしれません。渡航時にはどのような要件が必要なのか等、最新の情報をしっかりと理解し、観光をより安心で楽しいものにしましょう!