グリーンカード保持者にESTAは関係ない?永住権とESTA渡航の関係性について解説

グリーンカード保持者がアメリカ渡航する場合、ESTAを取る必要はあるのでしょうか?また、永住権保持者の家族や恋人がアメリカ渡航する際、必要になるのはESTAとビザどちらになるでしょうか。グリーンカード保持者の方もその家族の方も、過去に米国永住権を保持していた方もこの記事を読めば、疑問がすべて解決できます。

グリーンカード保持者はESTA申請をする必要はある?

グリーンカード(アメリカ永住権)を保持している方は日本からアメリカに渡航する際、ESTAやビザ等を申請する必要はありません。アメリカ渡航にあたって、ESTA申請やビザが必要ない方は以下の通りです。

  • 有効なアメリカビザを取得している方
  • アメリカのパスポートを持っている方
  • グリーンカード保持者
  • アメリカの市民権を持っている方

では、ESTAを申請しなければアメリカに渡航出来ない人はどのような場合の人でしょうか。

ESTAの対象者

アメリカ渡航にあたってESTA申請を行わなければならない対象者は、
ビザ免除プログラム(VWP)に参加している国の国民であることが第一条件です。
日本はVWPに参加しているため、日本国籍の方は必然的にこの条件をクリアしています。
また、観光ビザを持っていない方もESTAを申請する必要があります
ESTAで渡米する目的は観光かビジネス、トランジットのどれかでなければ取得することはできないからです。

つまり、ESTAで渡航できる旅行者はアメリカに移住する意思がない方のみということになります。

では、グリーンカード申請中の場合はESTAを使ってアメリカを観光することはできるのでしょうか。

グリーンカード申請中にESTAで渡航できる?

グリーンカードや移民ビザを申請中にESTA申請を行いアメリカに旅行することは可能です。短期旅行であれば入国管理も問題なく通ることができます。

しかし、入国審査の際には就労等の違法行為を行うためにアメリカ渡航してきたのではないか、と疑う入国審査官も多いです。

そのため、旅行予定などを明確に証明できる書類や日本に帰国する意思を表示できる書類を持参することが重要になります

例として、

住民票
→日本に住所があることを証明できる
銀行残高口座
→日本に多くの資産をおいて不法移住・就労するはずはない
職場の在籍証明書
→日本で安定した職についている

といった書類を準備しましょう。

ここからは過去にグリーンカードを自主的に放棄した方はESTAを取得できるか、を解説していきます。

グリーンカードを放棄した方の場合

正規の手順でアメリカ永住権(グリーンカード)を放棄した方は、ESTAやビザを再度取得し渡米することは可能です。ただし、ESTAでの渡航認証が拒否された場合やビザの取得が否認された場合はアメリカに渡航することは出来ませんのでご注意ください。

グリーンカードの放棄手続きをしないままESTAは取得できる?

永住権を過去にとっており下記の永住権放棄手続きをしていない場合、ESTAの申請に問題が発生し渡航拒否になる可能性があります。 

入国管理官の審査によっては、手続きを行い米国入国させてくれる可能性もありますが、一切受け付けない場合もあります。そのため、グリーンカード保持者の方でESTA申請を行いたい方はまず、永住権の放棄を行いましょう。

グリーンカードを自主放棄する方法

永住権を自主放棄するには、「I-407」という書類をUSCISの「Eastern form Center」に送付する必要があります。また、I-407を提出しない状態でいる方はESTAを利用できません。

I-407はU.S.citizenship and immigrationServiceのウェブサイトからダウンロードすることができますので、必須項目を記入し提出しましょう。
また、I-407の提出の際には、グリーンカードとI-131(Re-entry Permit)という書類を同梱して提出する必要があることに注意しましょう。

I-407を提出した後の手続き

I-407を提出し受理された後、放棄申請者の要件によってはさらに提出しなければならない書類があります。

I‐407を提出後に記入しなければならない書類の詳細と条件
Form 8854 (出国税) W-8CE(確定拠出年金)
正式名称 Initial and annual Expatriation
Statement
Notice of Explanation and Waiver of
Treaty Benefits
提出する人の条件 永住権保持期間が8年以上
(Long Term Resident)の方が提出
Foreign Deferred Compensation,
Non-grantor Trustなどの資産を持つ人
提出期限 前年のアメリカの確定申告日と同日 永住権の放棄日から30日以内に該当する
金融機関に提出
もしくは
繰延給与所得の引き出しを行う日の前日まで
ペナルティ 延滞・不正確な記述があった場合$10,000 確定拠出年金の全額に課税されることになる

以上の書類を提出しなければ、金銭的ペナルティが発生するので注意しましょう。

グリーンカード保持者と交際・結婚している場合はESTA申請が必要?

永住権保持者と交際関係にある方は、アメリカ渡航の際にESTAまたはビザを取る必要があります。どちらを取るかは、渡米の目的に応じて変化します。

  • アメリカで結婚式を挙げる場合

結婚式を挙げるためだけにアメリカに渡航する場合は、ESTA・ビザを取得する必要があります。

  • アメリカに短期旅行に向かう場合

グリーンカード保持者とアメリカに短期旅行を目的に渡航する場合は、ESTAもしくはビザを取得する必要があります。

  • 移住目的でアメリカに渡航する場合

アメリカに移住することが目的の場合は、移民ビザを取得し永住権申請を行わなくてはなりません。
ESTAを利用してアメリカに移住することはアメリカ移民法に違反するため、気を付けましょう。

アメリカ移住に関してはこちらの記事に詳しいことが書かれていますので、参考にしてください。
ESTA渡航で永住権の取得は違法!永住権を確実に取得できる正しい手順

まとめ

グリーンカード保持者の方は、アメリカ渡航する際にはESTAやビザ申請することなく渡米することができます。
また、グリーンカードを放棄した方はESTAやビザを利用することでアメリカに滞在することが可能になります。
もし、まだ永住権自主放棄申請を行っていない方はESTAでの渡航が禁止されているため、すぐに手続きを始めましょう。

グリーンカード保持者や結婚・交際関係にある方は自分の目的に応じてESTAで渡航するかビザで渡航すべきか選びましょう。

また、グリーンカード申請中の方はESTAを利用することで滞在期間は短くなりますが、アメリカに渡航することができます。しかし、入国管理官に違法就労等を疑われる可能性があります。そのため、日本に帰国すべき理由を証明できる書類を準備していきましょう。

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