I-94とは?ESTA利用時の必要性についてわかりやすく解説

現在、私たちがアメリカに渡航する際に利用しているESTA。ビザ無しで渡航できる便利なものですが、ESTAが導入される前、アメリカへの入国管理はどのように行われていたのでしょうか。

VWP(ビザ免除プログラム)のおかげで私たちはアメリカにビザ無しで渡航することが出来ます。そのため、現在ではESTAを申請することで入国管理を半自動的に行っています。
では、ESTAが始まる前はどのようにして入国管理を行っていたのでしょうか。

この記事では、ESTA以前のビザ免除プログラムで使われていた「I-94」について解説していきます。

「I-94」とは

I-94とは、アメリカに入国する全ての外国人の出入国を記録するための用紙です。
「出入国カード」とも言われており、2010年までは渡航の際には必須の書類でした。
主に国境の警備を行う米国税関・国境警備局(CBP)や密入国者や不法滞在を管理しているアメリカ合衆国市民権・移民局(USCIS)で利用されていました。

I-94には2種類あり、観光・短期商用目的のビザ免除プログラム(VWP)参加国市民用の「I‐94W(緑色)」と、ビザでアメリカに渡航してきた方が対象の「I-94(白色)」があります。
非移民ビザのステータスでアメリカに滞在する全ての外国市民に記入義務が課されていました。
しかし、2013年5月から、手続きが全て自動化され、空路・海路でアメリカに入国した場合、記入は不要になりました。

2009年1月12日から現在に至るまで、ビザ免除プログラム参加国の国民のうち、90日以内の短期滞在目的で飛行機や船舶でアメリカに入国するアメリカ以外の国の国民と米国永住権を持たない方は、渡米前にESTA(電子渡航認証システム)に登録の申請をすることが義務化されています。

2024年現在、「I-94W(緑色)」は廃止されていますが、陸路で入国する場合はオンライン上でI-94の取得をしなければいけません。
では、2種類の出入国カードはどのようなものだったのか、それぞれについて詳しく解説していきたいと思います。

I-94(白色)とは

I-94(白色)とは、アメリカ入国時の外国人の出入国記録を指し、入国審査官が情報をデータベースに記録する書類のことです。
2013年4月からは飛行機内での用紙記入が不要となり、審査官が直接入力するようになりましたが、陸路入国時は用紙の記入が必要です。
I-94には滞在情報が記載され、アメリカ滞在の証明として重要で、様々な手続きに必要です。
I-94の期限は更新が必要で、アメリカの移民法やビザ方針は変更が多いため、最新情報の入手と適切な対応が必要になります。

I-94(白色)の概要

I-94には、出入国記録、ビザの種類、許可された滞在期間などが記載され、アメリカで合法的に滞在していることを証明する重要な書類となります。
ESTAが運用される以前は、有効なビザを持って渡米する外国人訪問者は、I-94を取得する必要がありました。

また、アメリカで長期滞在する場合、運転免許証や労働許可証などの書類を取得するためにも、I-94が必要となる場合があります。また、稀に学校や職場に提出する場合もあります。

さらに、I-94はアメリカの免許証取得書類としても使用されます。I-94を持っていることで、アメリカの運転免許証や社会保障番号の取得が容易になります。

ただし、運転免許証や労働許可証は、I-94の滞在期限までに制限されることがあるため、更新日が近づいたら早めにI-94の修正や延長申請を行うことが得策です。また、移民局(USCIS)に書類を提出する際にも、I-94が必要となることがあります。

アメリカでの滞在に関する重要な書類であるI-94については、しっかりと理解しておくことが大切です。

I-94(白色)の有効期限

I-94(白色)の有効期限は、入国時に入国審査官から記入された滞在期間が示されたものとなります。一般的に、観光ビザの場合は90日間、学生ビザや労働ビザの場合はビザの有効期限と同じ期間となります。ただし、滞在期間は入国審査官の裁量によって変更されることがあります。また、ビザの有効期限が切れた場合には、I-94(白色)も無効になります。滞在期限が近づいた場合には、I-94(白色)の修正や延長申請が必要となる場合がありますので、早めに対処することが重要です。I-94(白色)の修正や延長申請は、米国国土安全保障省のウェブサイトからオンラインで行うことができます。ただし、滞在期間が延長されるための要件を満たしているかどうかを確認するために、入国審査官との面接が必要となる場合があります。

I-94(白色)の申請費用

I-94(白色)の申請費用は、現在6ドルです。陸路を利用して入国する場合は必ず必要となります。そのため、事前に申請を行い、支払いを完了させておきましょう。

なお、入国期限である7日間を過ぎてしまった場合は、申請が却下されます。その際は、再度I-94の申請を行い、新たに6ドルを支払うことが必要となるため、注意しましょう。

I-94(白色)の申請費用

I-94(白色)の申請費用は、現在6ドルです。陸路を利用して入国する場合は必ず必要となります。そのため、事前に申請を行い、支払いを完了させておきましょう。

なお、入国期限である7日間を過ぎてしまった場合は、申請が却下されます。その際は、再度I-94の申請を行い、新たに6ドルを支払うことが必要となるため、注意しましょう。

I-94(白色)の申請方法

アメリカに渡航する際には、I-94という入国記録書が必要です。I-94は、アメリカ合衆国国土安全保障省(CBP)のウェブサイトでオンラインで取得することができます。

I-94の申請手順は、以下の通りです。

CBPのウェブサイト(https://i94.cbp.dhs.gov/I94/#/home)にアクセスします。
“Get Most Recent I-94” をクリックし、情報を入力します。

必要な情報は以下の通りです。

  • ファミリーネーム(姓)
  • ファーストネーム(名)
  • 生年月日
  • パスポート番号
  • 渡航先の航空会社名
  • 渡航先のフライト番号

入力した情報を確認し、”submit” ボタンをクリックします。
I-94が表示されます。PDFファイルとして保存するか、印刷して保管してください。
I-94は、渡航者がアメリカに到着した際にCBPに提出する必要があります。入国時には、パスポートと一緒に提出してください。

詳しい申請方法については下記のページをご確認ください。
I-94の申請方法

I-94には、以下の情報が記載されています。

・入国記録番号(Admission (I-94) Record Number)

・最近の入国日(Most Recent Date of Entry)

・ビザの種類(Class of Admission)

・滞在期間(Admit Until Date)

・姓(Last/Surname)

・名(First (Given) Name)

・生年月日(Birth Date)

・パスポート番号(Document Number)

・国籍(Country of Citizenship)

I-94は、滞在期間や滞在条件を確認するために重要な書類です。滞在期間を超えた滞在や、滞在条件に違反すると、入国禁止や罰金、または再入国時の問題につながる可能性があります。I-94の申請には注意を払い、正確な情報を提出するようにしましょう。

オンライン申請の注意点

I-94(白色)は、アメリカ国境での入国審査にて交付される入国カードです。最近では、オンラインでの申請が可能になり、手続きが簡素化されました。しかし、オンラインでの申請には注意点があります。まず、申請期間は入国予定日の7日前から開始する必要があります。また、必要な情報を入力する前に、パスポートや航空券などの必要書類を用意することが必要です。申請が完了した後は、申請状況を確認することができます。オンラインでの申請は手軽ですが、慣れない方や不安な方は、旅行会社や弁護士に相談することもおすすめです。

I-94w(緑色)とは

I-94w(緑色)は、カナダやメキシコから陸路でアメリカに入国する際に必要な入国カードです。ビザ免除プログラムでビザなしで渡米できる38の国々の市民も、陸路入国時にはこのカードの提出が必須です。I-94wには旅程や個人情報を記入し、1人14ドルの料金がかかります。入国審査官はこのカードを基に入国資格を判断しますが、入国の保証はされません。

また、出国時の返却は不要です。陸路での入国者はI-94wの正確な記入と提出を忘れずに行いましょう。

I-94w(緑色)は2022年10月1日から廃止に

I-94wは、アメリカへ陸路で入国するカナダやメキシコからの訪問者に提出される緑色の入国カードです。例えば、トロントから車やバスでニューヨークへ行く場合、観光ビザやESTAの申請は不要ですが、I-94wの提出が必要となります。ただし、既に有効なESTAを取得している場合は、I-94wの提出は不要です。

しかし、2022年10月1日からI-94wが廃止されました。そのため、カナダやメキシコから陸路での入国においてはI-94wを提出する必要がなく、代わりにビザ免除プログラムによりビザなしで渡米する外国人訪問者はESTAを申請する必要があります。

アメリカ入国時にはESTA(エスタ)の申請が必須

ESTAとは、ビザ免除プログラム(VWP)に基づき、アメリカに90日以内の滞在を目的とする旅行者が渡米する前に、オンライン上で行う事前審査のことを指します。
ESTAの申請には、インターネットに接続されたパソコン、スマートフォン、タブレットなどが必要です。
申請時には、個人情報や旅行目的、パスポート情報などの必要事項を入力し、申請料を支払う必要があります。

ESTAの申請は、最短で申請日の72時間以内に承認される場合がありますが、必ずしも承認される保証はありません。
申請が拒否される場合もありますので、申請は早めに行い、確実に承認されたことを確認してから渡米するようにしてください。

ESTAは、有効期限が2年間です。
ただし、旅行者のパスポートの有効期限がESTAの有効期限を超える場合には、パスポートの有効期限が切れる日までESTAの有効期限が短くなることがあります。
また、ESTAの有効期限内でも、アメリカでの滞在期間が90日を超えることはできません。90日を超える場合は、ビザの申請が必要となります。

以上のように、ESTAはアメリカ入国に不可欠な手続きの1つです。

空路・海路での入国にはESTAの申請が必須です。特に空路での渡航を選択される場合は、必ずESTAの申請を行ってください。

I-94が必要になる状況

入国手続きがESTAによってオンラインになったため、I-94を提出する必要は無くなりました。
では、いつI-94が必要な状況になるのでしょうか。
以前までは、カナダやメキシコなど隣接する国から陸路でアメリカへ入国する際に紙のI-94が必要でした。しかし、現在では紙のI-94はなくなり、オンライン上で電子的に申請を行い、入国時に正式に取得できる形式となっています。

そのため、陸路での入国を予定している場合は、事前にI-94公式サイトまたはモバイルアプリである「CBP One」からの申請が必要です。なお、申請しただけでは暫定的な取得となっているため、I-94を正式に取得するには入国審査を受けなければいけません。
また、I-94申請後の入国期限は7日間となっているため、必ず申請後7日間以内に入国審査を受けてください。

一方、I-94は出入国の際だけでなく、滞在中に公的機関にて手続きを行う際にも必要となる場合があります。
出国以外で提示を求められるのは以下の場合です。

  • アメリカの普通自動車免許取得時
  • アメリカ移民局(USCIS)への書類提出時
  • アメリカの社会保障番号(SSN)の取得時

手続きなどでI-94が必要となる場合は紙媒体のものが必要になるため、以下の手順にてI-94のダウンロードを行いましょう。

I-94のダウンロード方法

I-94のダウンロードが必要な場合は下記のサイトにアクセスすることでダウンロードすることができます。

I94公式WEBサイト

サイトにアクセスしたら、「GET MOST RECENT I-94」にアクセスし、氏名(First Name, Last Name/Surname)と生年月日(Birth Date)、パスポート番号(Document Number)、国籍(Country Of Citizenship)を入力してください。

その後、「NEXT」を押すことで、I-94の出入国記録をダウンロードすることが可能です。

ダウンロード後は、I-94の記載内容に間違いが無いか確認をしましょう。

もし、記載内容に間違いがあった場合は、CBP(税関・国境警備局)へ電話または郵送にて修正依頼を行う必要があります。

CBPの連絡先および住所は以下の通りです。

CBP Information Center 国際電話 00+1+202-325-8000
国土安全保障省
渡航者向け苦情申し立てプログラム
(DHS TRIP)
URL https://www.dhs.gov/dhs-trip
郵送先 DHS Traveler Redress Inquiry Program (TRIP)

601 South 12th Street, TSA-901

Arlington, VA 22202

I-94/I-94wがパスポートに貼ってある場合

2010年以前にアメリカを訪れたことがある方は、I-94/I-94Wという出入国カードがお使いのパスポートに貼られている事があると思います。I-94がパスポートに貼られている理由はアメリカの入国管理局が滞在期間を把握し、出国時に正確な記録を残すためのものです。

しかし、I-94/I-94Wを紛失したり、出国時に返却し忘れた場合には、税関の職員や国境警備局の職員に声をかけましょう。もし心配であれば、フライトチケットなどの「出国した証明」を提出することで政府の出入国記録を訂正することができます。

ただし、長期的な滞在を考えている場合は注意すべき点があります。例えば、ビザ申請時にI-94/I-94Wの紛失や返却忘れがあった場合、次回のビザの審査に影響を与える可能性があります。そのため、将来的に長期的な滞在や永住を考えている場合は、I-94/I-94Wを紛失したり返却忘れしないように注意することが望ましいです。

なお、観光ビザやESTAを持っている場合、I-94Wの記入は不要です。また、I-94Wは取得から90日以内のアメリカ滞在を許可するもので、再入国する予定がない場合は出国時に返却するように定められています。I-94/I-94Wについては、取得や記入方法について詳しく調べておくことが重要です。

CBPより滞在期限に関するメールが届いた場合

出入国を正式に行った場合、入国手続きや出国手続きに基づいて入国記録と出国記録が保存されます。
しかし、まれに出国手続きを行ったのにもかかわらず、出国記録が保存されておらず、滞在中として扱われてしまっている場合があります。

そのような際は、出国した後でもCBPより滞在期間が迫っている旨のメールが届くことがあり、そのままにしてしまうとオーバーステイ(不法滞在)になってしまいます。

もし、出国後に滞在期限に関するメールを受信した際は、現在のI-94の登録情報を確認し、記載内容を確認しましょう。
出国記録に間違いがあった場合は直ちに修正依頼を行いましょう。

なお、修正依頼はCBP Information Centerへ問い合わせるか、出国した際の空港を管轄するCBPの事務所へメールを送信することで可能です。
また、修正依頼をする際はいくつかの書類が必要です。
必要な書類は下記をご確認ください。

1,パスポートの顔写真ページの画像

2,下記書類のうちいずれか1つ

 ・利用した航空会社渡航証明書

 ・パスポートの入国スタンプの画像

現在では、日本とアメリカの両国にて出入国の手続きが自動化されており、入国スタンプが廃止されています。
そのため、I-94の修正依頼をする際は渡航証明書を用意しましょう。

移民法(不法滞在)とペナルティー

アメリカ合衆国への滞在には、ビザやESTAの申請が必要ですが、申請を怠ってしまった場合や期限を過ぎてしまった場合、不法滞在となってしまいます。
不法滞在とは、ビザやESTAの期限を過ぎてアメリカに留まることを指します。
不法滞在には、厳しいペナルティが科されることがありますので、注意が必要です。

不法滞在の最大の問題は、再入国が制限されてしまうことです。
例えば、1年以上の不法滞在を行っている場合、再入国は10年間禁止されてしまいます。
また、不法滞在を行っている期間によって、再入国が永久に制限されてしまう場合もあります。
これは、法律に基づく厳しい処罰となっています。

さらに、不法滞在は合法的な滞在の申請にも影響を与えます。
アメリカ合衆国では、不法滞在の期間が長くなるほど、永住権の申請や再入国の際の査証申請が困難になる傾向があります。
また、過去の不法滞在歴がある場合、ビザやESTAの申請審査が非常に厳しくなります。

不法滞在になってしまった場合、簡単に解決することはできませんが、対処法はあります。
もし、不法滞在に気づいた場合は、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。
弁護士は、法的手続きや処分に関するアドバイスをしてくれます。
また、期限内に滞在を延長する手続きやビザの更新を行うことも、不法滞在を防ぐために重要です。

ビザ、I-94の更新は滞在期間中に必ず行うようにするとともに、期限を守って再入国するように注意しましょう。

まとめ

I-94は現在では、自動化されています。
しかし、出入国管理を行っているのは人であるため、手続きミスなどにより、記録に誤りが生じてしまうことがあり、注意が必要です。

帰国後にはI-94の記録内容を確認し、正常に出国記録がされているかをチェックすることが大切です。

不法滞在は今後のESTAやビザの取得に強い影響を与えてしまうため、アメリカ渡航後にはこまめにI-94の記録内容を確認することを心がけていきましょう。

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