サイパン旅行にESTAは必要?サイパンのビザ免除プログラムについても解説

サイパンへ旅行する際には、ESTAが必要なのでしょうか?

実は、サイパンへの渡航目的や滞在期間などによって、ESTAが不要な方と必要な方に分かれます。

本記事ではESTAが不要のケースと必要になるケースの両方について解説していますので、サイパン旅行を検討している方はぜひ参考にしてください。

サイパン旅行にESTAは必要?

ESTAとは、米国のビザ免除プログラム(VWP)の一環として導入された電子渡航認証です。

90日以内の観光・短期商用であれば、ビザの代わりにESTAを取得することでアメリカ領土へ入国できます。

原則として、アメリカへの渡航者はビザかESTAを必ず取得しなければなりません。

ただし、サイパン島を含む北マリアナ諸島は、米国ビザ免除プログラム(VWP)とは別に、グアム-北マリアナ諸島連邦ビザ免除プログラム(Guam-CNMI VWP)の対象となっているため、45日以内の滞在であればESTAもビザも不要です。

なお、90日を越える場合は、ビザの申請が必要になります。

わかりやすくまとめると以下のようになります。

サイパン旅行滞在期間フローチャート
45日以内の観光 ESTAもビザも不要
46日以上90日以内の観光 ESTAが必要
91日以上の観光 観光ビザが必要

グアム-北マリアナ諸島には独自のビザ免除プログラムがある

サイパンを含む北マリアナ諸島は、グアム-北マリアナ諸島ビザ免除プログラム(Guam-CNMI VWP)の対象となっています。

本プログラムを利用すれば、ビザもESTAも不要で45日以内のサイパン滞在が可能になります。
ただし、プログラム参加国の国籍を持ち、取得条件を満たしている必要があります。

以下で、これらの条件について詳しく見ていきたいと思います。

参加国

グアム-北マリアナ諸島ビザ免除プログラム(Guam-CNMI VWP)が利用できるのは以下の12か国の国籍を持つ方のみです。

  • 日本
  • 韓国
  • 台湾(台湾からグアムへの直行便のみ)
  • 香港
  • マレーシア
  • シンガポール
  • ブルネイ
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • イギリス
  • ナウル
  • パプアニューギニア

利用条件

グアム-北マリアナ諸島ビザ免除プログラム(Guam-CNMI VWP)を利用するためには、上記のプラグラム参加国の国籍を保有していることに加えて、以下の6つの取得条件をすべて満たしていなければなりません。

  • 有効期限が残っているパスポート(ICチップ搭載型)を所有していること
  • 現地での滞在目的が観光か短期ビジネスであること
  • 滞在期間が45日を超えないこと
  • 滞在地がグアムまたは北マリアナ諸島のみであること
  • 往復の航空券を所持していること
  • 出入国カード(I-736)の全項目を正しく記入していること

上記の条件を満たさない方は、本プログラムの利用はできません。

※本来であれば、パスポートの有効期限はサイパン入国時点で6か月以上必要とされています。

ただし、日米間には国別協定(Six-Month Club)が締結されているため、日本国籍者はサイパン入国日から出国日までパスポートが有効であれば問題ありません。
とはいえ、不測の事態に備えるためにも、サイパンへの入国日から最低でも2週間以上は余裕を持っておくことをおすすめします。

※なお、ケガや病気で入院が必要になった場合など不測の事態が起きたときは、特例として追加で15日の猶予期間が与えられる制度があります。

欠格条件

以下の条件に1つでも該当する方は、上記の取得条件を満たしていても本プログラムを利用することはできません。

  • 日本国内外において重大な犯罪を起こし、逮捕歴がある方
  • 過去にアメリカへの入国を拒否されたことがある方
  • 過去にアメリカで不法滞在(オーバーステイ)をしたことがある方
  • 重大な事件の係争中の方
  • 重大な感染症等に罹患している方

なお、これらの条件に該当する方はESTAの利用もできません。
この場合は、米国ビザを取得しましょう。

観光旅行のためにサイパンへ入国する場合は、Bビザという観光ビザを取得します。
Bビザの概要や取得方法について、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

観光ビザ(Bビザ)について

サイパン旅行でESTAを申請するメリット

一般的な45日以内のサイパン旅行の場合は、ESTAを取得しなくても入国できると解説しました。

しかし、ESTAを取得することにはいくつかのメリットがありますので以下で紹介していきたいと思います。

出入国カード(I-736)の記入が不要になる

ESTAを申請せずにサイパンへ入国する方は、米国指定のI-736という出入国カードへの記入が必要です。

このカードには、氏名や生まれた市区町村、マイナンバーなどの個人情報に加え、サイパンでの滞在先情報や滞在中の緊急連絡先など多くの項目を記載しなければなりません。

グアム-北マリアナ諸島ビザ免除プログラムの取得条件の1つとして、出入国カードの全項目を記入するという条件があるため、空欄を作ることもできません。

さらに、この書類はサイパンの入国審査官あてのものであるため、全てを英語で記入する必要があり、かなり大変です。

しかし、事前にESTAを取得しておけば、出入国カードの記入を免除されます。

英語での記入が不安な方や、入国審査官からの追加質問が心配な方は、ESTAを取得しておくのがおすすめです。

空港到着後にESTA専用レーンを利用できる

ESTAを取得している方は、サイパン国際空港到着時に「ESTA専用レーン」を利用することができます。

このレーンには、APC Kiosk(自動入国審査端末)が設置されており、端末を操作するだけで入国審査手続きを終えることができます。

特に、夏休み期間中や年末年始は入国審査場が混み合います。
しかし、事前にESTAを取得しておけば、スムーズに入国審査をパスできます。

※サイパン国際空港のESTA専用レーンは旅行客数により稼働しているようなので、必ずしも利用できるとは限りません。
最新の情報については、サイパン国際空港にお問い合わせください。

最長で90日の滞在が可能になる

グアム-北マリアナ諸島ビザ免除プログラムを利用してサイパンへ入国した方は、最長でも45日までの滞在しか認められません。

一般的なサイパン旅行の場合は45日もあれば十分かもしれませんが、サイパン島を含む北マリアナ諸島やグアムまで楽しみたいと考えている方は、もう少し日数に余裕が欲しいところです。

ESTAを取得すれば、滞在可能期間が90日まで伸びるので、グアム・北マリアナ諸島を隅々まで楽しむことができます。

2か月を超えるような長期旅行を計画している方は、オーバーステイを防ぐためにも、ESTAの取得がおすすめです。

アメリカ本土にも入国できるようになる

グアム-北マリアナ諸島ビザ免除プログラムは、これらの島々でのみ有効なものですが、一方のESTAはアメリカの全ての領土で有効なものです。

また、ESTAの有効期限は2年間で、この期間内なら何度でもアメリカへ入国することができます。

旅行好きな方やこれからアメリカ旅行を考えている方は、ESTAを申請しておいて損はないでしょう。

観光・短期商用以外の方はビザの取得が必要です

上記で、45日以内の観光ならESTAは不要だが、45日以上90日未満の観光ならESTAが必要であると解説しました。

また、91日以上の観光をする場合は観光ビザ(Bビザ)が必要になると紹介しました。

しかし、これはサイパンへの渡航目的が観光である場合の話です。

グアム-北マリアナ諸島連邦ビザ免除プログラム(Guam-CNMI VWP)とESTAが利用できるのは、「観光または短期商用」目的の渡航の場合のみです。

サイパンで就労したい場合やサイパンの学校へ留学したい場合など、その他の渡航目的の場合は、滞在日数がどれだけ短くても米国ビザを取得する必要があります。

米国にはさまざまなビザが用意されており、渡航目的ごとに適切なビザを申請する必要があります。

米国ビザについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

米国ビザ全種類を徹底解説

【2024年2月最新】サイパンの新型コロナウイルス水際対策について

米国政府は、2023年5月11日に新型コロナウイルスに関する「公衆衛生上の緊急事態宣言」を解除しました。

これにより、2023年5月12日以降はコロナ禍以前の条件での入国が可能になっています。

2024年2月現在は、ワクチン接種証明書やコロナウイルス陰性証明書の提出は不要で、サイパンへ入国することが可能です。

ただし、再流行を防ぐために感染症ゲノムサーベイランスによる監視は継続しています。

通路に体温を測定できるサーモカメラが設置されているだけで特に必要な検査などはありませんが、発熱が確認された場合は、任意での検査を勧められることがあります。

サイパン旅行で必要なもの

続いては、サイパン旅行に向けて用意しておくべきものを紹介します。

ESTAまたはビザ

これまで紹介してきたように、サイパンへの渡航目的や滞在期間によってはESTAやビザが必要になることがあります。

自分の渡航計画と照らし合わせて、自分が必要な認証を取得しましょう。

なお、ESTAは原則3日(72時間)以内に取得できますが、ビザは取得までに最低でも1か月はかかります。

これまでの渡米歴や申請するビザの種類によっては更に時間がかかる可能性もありますので、できるだけ早い申請を心がけるようにしましょう。

パスポート

パスポートの有効期限が十分に残っているか確認しましょう。

上述したように、日本国のパスポートであれば、サイパンへの入国日から出国日まで有効期限が残っていれば大丈夫です。

パスポートの有効期限が切れそうな方は、忘れずにパスポート更新を行いましょう。

2023年3月27日から、パスポートの更新をオンラインで行えるようになりました。
マイナポータルとマイナンバーカードさえあれば、スマホから申請することができます。

パスポートのオンライン更新については以下の記事で詳しく解説しています。

オンラインでパスポートを更新する方法

航空券

観光客の減少やコロナ禍の影響により、サイパンへの直行便はかなり数が少なくなっており、就航しているのはユナイテッド航空のみです。

夏休みや年末年始などのハイシーズンの渡航を考えている方はできるだけ早く航空券を確保するようにしましょう。

また、航空券を購入するときは必ず往復で買うようにしましょう。

グアム-北マリアナ諸島ビザ免除プログラム(Guam-CNMI VWP)の利用条件の1つに「往復の航空券を所持していること」があるからです。

海外旅行保険

アメリカは医療費が高額なことで有名です。

海外旅行保険に加入していなくてもサイパンへ入国することはできますが、不測のケガや病気に備えるため、海外旅行保険に加入しておきましょう。

できるだけ補償の内容が手厚いもの、特に新型コロナウイルスに対応してくれる保険を選びましょう。

また、クレジットカードに海外旅行保険が付帯していることもあります。

サイパンへ出発する前にお持ちのクレジットカードを確認してみましょう。

その際、補償内容や補償額の上限なども忘れずに確認してください。

渡航同意書

18歳未満の方が単独、または姓の違う親・親族の大人とサイパンへ渡航する場合には、両親が書いた英文の渡航同意書とパスポートのコピーを求められる場合があります。

必ず提出しなければならないというものではなく、入国管理官から求められたときのみ提示するものですが、姪っ子や甥っ子など苗字の違う親族を連れてサイパンへ行く予定の方は、念のため用意しておきましょう。

特定の様式が定められているわけではないので、インターネット上でテンプレートを探して作成しましょう。

サイパンへ入国する流れ

サイパン旅行に必要なものの準備が終わったら、次はサイパンへ入国する流れを確認しておきましょう。

飛行機内で必要書類を用意する

サイパンへ向かう飛行機の中で必要書類を記入しましょう。

必要書類はESTAやビザの有無により異なりますので、以下をご確認ください。

ESTAとビザの有無による必要書類の違い
ESTAを取得していない場合
(グアム-北マリアナ諸島ビザ免除プログラムを利用する場合)
出入国カード(I-736)、税関申告書
ESTAを取得している場合 税関申告書
米国ビザを取得している場合 税関申告書

入国審査を受ける

サイパン国際空港に到着したら、まずは入国審査を受けるため、入国審査場へ向かいましょう。

入国審査では、パスポートを提示して簡単な質問に答えます。

渡航目的や滞在期間など、基本的なことしか聞かれませんが、英語での受け答えが不安な方は、あらかじめ練習をしておきましょう。

以下の記事に、入国審査でよく聞かれる質問とその回答例を記載しているので、参考にしてください。

入国審査でよく聞かれる質問とその解答例

荷物を受け取る

無事に入国審査が終わったら、次は飛行機に預けていた自分の荷物を受け取ります。

「Baggage Claim(バゲージクレーム)」という看板がある場所で、自分の飛行機の番号を探しましょう。

税関手続きをする

最後に税関窓口に税関申告書を提出しましょう。

サイパンを含む北マリアナ諸島は、アメリカ本土とは税関制度が異なりますので注意が必要です。

主な免税範囲と持ち込み制限品は以下の通りです。

<免税範囲>

タバコ 紙巻きたばこ:1カートン(200本)まで
刻みタバコ:1ポンド(453g)まで
葉巻:1箱(40本)まで
(電子タバコは紙巻タバコと同様)
アルコール ビール:350ml×24本(8.4L)まで
ワイン・日本酒:750ml×5本(3.7L)まで
蒸留酒:750ml×3本(2.2L)まで

<持ち込み制限品>

  • 肉製品(肉由来のエキスが入ったものも含む)
  • 乳製品
  • 果物(加工されていれば可)
  • 野菜類、植物

サイパンから帰国する流れ

最後に、サイパンから帰国する流れを確認しておきましょう。

「Visit Japan Web」で税関手続きをする

日本へ帰国する場合も税関手続きが必要ですが、「Visit Japan Web」を利用すれば事前にスマートフォンで税関申請を行えます。

日本出発前から入力することができるので、こちらからアカウント登録だけでもしておきましょう。

詳しい操作方法についてはデジタル庁の以下の記事で確認することができます。

Visit Japan Web 利用の流れ

なお、Visit Japan Webを利用すれば税関手続きが簡単に行えるというだけで、義務ではありません。

Visit Japan Webを利用せず、通常通り税関申告書に記入することも可能です。

入国審査を受ける

日本へ帰ってきたら、まずは入国審査を受ける必要があります。

しかし、日本国籍の方はパスポートを自動ゲートに読み込ませて、カメラでパスポートの顔写真と照合するだけで入国審査が終了します。

有人のゲートに並ぶ必要はありません。

税関申告情報を送信する

自動ゲートを通ったら、次はバゲージテーブル(荷物受け取り所)へ移動します。

この際、Visit Japan Webで税関申請をした方は、荷物が出てくる前にVisit Japan Webの「税関」のページからQRコードを取得し、電子税関申告でパスポートとQRコードを読み込ませましょう。

これだけで税関申告は完了です。

あとは預け荷物を受け取って空港から出ます。

まとめ

本記事では、サイパン旅行の際にESTAが不要のケースと必要になるケースについて解説してきました。

重要なポイントをまとめると以下のようになります。

  • 45日以内の観光ならグアム-北マリアナ諸島ビザ免除プログラムの対象(ESTAもビザも不要)
  • 46日以上90日以内の観光ならESTAの対象
  • 91日以上の観光なら観光ビザの対象

ご自身の状況や旅行計画に合わせて、ESTAまたはビザを取得するようにしてください。

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