ESTAでアメリカ人婚約者と結婚はできる?婚約者ビザと配偶者ビザの違いについてもわかりやすく解説

アメリカ人の恋人や婚約者がいる方の中には、ESTAを取得した後にそのまま結婚できると考えている人が多いかもしれません。また、ESTAを利用してアメリカに渡航し、そのまま結婚した友人がいるからなど、ESTAを利用しアメリカで結婚を計画しようとしている方もいるかと思います。

ESTAでアメリカ渡航をし、法的な結婚をすることは可能なのか、またESTAでの結婚は永住権を取得することはできるのかを記載しており、結婚の際に適応するビザの種類と永住権申請についてもわかりやすく解説しています。

ESTAで米国渡航中に婚約者と結婚することはない

アメリカの婚約者と結婚するにあたりESTAでアメリカに渡航し、結婚することはできるのかは気になると思いますが、結論から言うとESTAでアメリカ入国後にアメリカ人婚約者と結婚し入籍することはできません。

以下にて理由を説明していきます。

ESTAは利用できる条件が決まっている

ESTAを利用してアメリカ渡航する場合は以下の条件のもと、ESTA申請が許可されます。

ビザ免除プログラム(VWP)の利用条件。

  • ビザ免除プログラム参加国であり、その国の国籍者であること
  • 有効なICチップ付きのパスポートを所持していること
  • ESTA申請が許可されていること
  • アメリカでの滞在期間が90日以内であること
  • アメリカ渡航の目的が観光または報酬が発生しない商用使用であること

この条件を満たしていないとESTAでアメリカ渡航することは不可能となってしまいます。また、滞在の延長や滞在資格の変更(ESTAからビザまたはグリーンカードなど)は認められていません。

また、ESTAでアメリカ入国をしたあとに結婚ができたとしても、その後ビザまたはグリーンカードの申請を行うと、アメリカ入国したときの渡航理由に虚偽申告があったと判断されるので、最悪の場合、強制送還され今後一切アメリカ入国ができなくなるということが起きる可能性もあります。

ESTAを利用して結婚する場合、結婚式も含まれるのかなと心配される方もいるかと思いますが、ESTAでのアメリカやハワイ、グアム渡航にて現地での挙式や披露宴、結婚式を挙げる場合にはESTA申請にて適応になります。

結婚式等でESTA申請が必要な方はこちらから申請を行いましょう。

急遽結婚することになった場合はどうなる?

ESTAでアメリカ入国した時にはまだ恋人との間で結婚も永住も決まっていなかったため、観光目的で入国をしました。しかし恋人から今すぐ結婚しようと言われた場合はどうなるのか?についてお話していきます。

渡航理由は虚偽申告していないものの、入国時の渡航理由から状況が変わってしまったという状況ですが、この場合はアメリカの国務省が定めた90日ルールが適応されます。

90日ルール
アメリカ入国から90日以内に渡航目的と異なる行為をしたり移民申請を行うことで、
虚偽の申告があったと判断される可能性があります。
移民申請の却下や強制送還、さらには最悪の場合、終生にわたる入国禁止の可能性もあります。

渡航目的に虚偽報告がなかった場合でも入国後90日以内は渡航目的と異なる行動や移民申請を行うことは禁止となっています。

90日ルールはESTA以外のビザでも適応されており、学生ビザや就労ビザなど非移民ビザで入国した方も該当します。

そのため、ESTAでなくても長期滞在可能なビザをもっている方も、アメリカ入国後90日以内に結婚をすると永住権の申請は拒否される可能性が高くなります。

また、元々30日ルールや60日ルールだったものが90日ルールに変更されたことは、アメリカの移民政策と法律を厳しくしたことで起きています。

アメリカにいる婚約者と結婚し、永住権を取得したい方

アメリカ人の婚約者と結婚する場合には婚約者ビザ(K-1ビザ)を申請しビザの取得を行いましょう。正式な手続きを行うことでグリーンカードの申請ができ、アメリカの永住権を取得することが可能となります。以下にて婚約者ビザの解説をします。

婚約者ビザ(K-1ビザ)

婚約者ビザ(K-1ビザ)は、アメリカ人の恋人にプロポーズされ、これからアメリカに移住、結婚を行い、その後グリーンカードを取得するためのビザとなります。以下に、婚約者と結婚するためのK-1ビザに関する要件を説明します。

【K-1ビザの要件】 
・婚約者との真正な婚約関係があること
・アメリカ人の恋人との結婚が意図されており、90日以内に結婚すること
・アメリカでの結婚式を挙げるための経済的安定がされていること
・申請者自身が犯罪歴や入国の際の不正行為をしていないこと
・日本で入籍をしていないこと

上記の要件が必須となり、ビザ申請から取得までは7か月~10か月ほどかかります。これでも配偶者ビザよりも短期間でビザを取得できるので、アメリカにいる婚約者と離れて暮らす期間が短くなります。

ただし、婚約者ビザでアメリカに入国し、結婚後にグリーンカードの申請を行うと、取得まで半年~1年ほどかかります。その間はアメリカで仕事をすることができなかったり、アメリカから出国許可が出るまで時間がかかるということを覚えておきましょう。

また、婚約者ビザ(K-1ビザ)からグリーンカード取得までに約2300ドルほどの費用がかかります。

h4:子供がいる場合はK-2ビザの申請も忘れずに

子供がいる方がアメリカ人と婚約し、婚約ビザ(K-1ビザ)を取得した場合、その子供にはK-2ビザを申請してください。K-2ビザは、K-1ビザ保持者の未婚の子供に与えられる家族ビザです。

K-2ビザを申請する要件
・婚約者ビザ(K-1ビザ)の申請者が子供の親権を持っていること。
・子供が未婚であること。
・子供が18歳未満であること。

K-2ビザは、K-1ビザと同時に申請し、同じビザ申請手続きを行うことでアメリカに入国することができます。注意点として、K-2ビザはK-1ビザ申請者のビザと同時に有効期限が切れるので、結婚後は早急にグリーンカードの申請を行うようにしましょう。

すで婚姻関係にあり、アメリカの永住権を取得したい方

アメリカ国籍の方とアメリカ国外にて法的な婚姻関係を結んでおり、日本で生活をしている方がアメリカに移住し永住権を取得するには配偶者ビザの申請が必要になります。婚約者ビザと異なり、配偶者ビザでアメリカに行くと永住権までの取得期間が短いことが特徴です。

以下にて配偶者ビザを解説していきます。

配偶者ビザ(CR-1ビザまたはIR-1ビザ)

配偶者ビザ(CR-1ビザ)は、既に結婚している場合に適用され、アメリカ移住後に永住権が直ちに与えられることが特徴で、期間は2年間となります。ビザの発行時に結婚から2年以上経過している場合はIR-1ビザが付与されます。またグリーンカードの期限も10年と長くなります。

配偶者ビザ(CR-1ビザ)の要件は以下の通りです。

【CR-1ビザまたはIR-1ビザの要件】
・アメリカ国籍と法的に結婚をしている状態であること
・アメリカ国籍の配偶者はビザに記載された有効期限までにアメリカに到着をし入国の手続きを行うこと
・請願者または支援をしてくれる方はアメリカで居住地を維持していること

上記の要件が必須となり、ビザ申請から取得までの期間は1年以上かかる場合があります。

アメリカ国籍の配偶者がアメリカに戻ってしまっている場合は離れて暮らす期間が長くなります。ただし、配偶者ビザの場合はアメリカに入国後すぐにグリーンカードを取得することが可能となり、働くことや他国へ出国が自由にできます。

費用は配偶者ビザからグリーンカード申請まで約1500ドルほどの費用がかかります。

婚約者ビザと配偶者ビザはどちらを選択すべきか

婚約者ビザ(K-1ビザ)は、アメリカ人と結婚する予定の方が申請するものです。アメリカに入国後、90日以内に結婚しなければなりません。

婚約者ビザを選択する場合の注意点として、グリーンカード発行までの期間仕事をすることができないので、親族のサポートが必要になってくることと、婚約者ビザ取得までの期間、貯金を行っておくことをおすすめします。

一方、配偶者ビザ(CR-1ビザまたはIR-1ビザ)は、すでに結婚していて、アメリカで永住する予定の場合に取得するものです。 

注意点として現在、アメリカでは移民法が厳しくなっていることもあり、ビザの申請から取得までの期間が長くなっていることもあり、配偶者ビザは婚約者ビザよりも取得までの時間がかかるという点に注意しましょう。

選択肢としては、まだ結婚していなくて結婚を計画している場合は婚約者ビザ(K-1ビザ)を、既に結婚している場合は配偶者ビザ(CR-1ビザまたはIR-1ビザ)を選択するようにしましょう。

ビザ申請時に必要な手続きと申請料金について

ビザの申請は、アメリカ人パートナーが米国移民局で行うものです。以下に、婚約者ビザ(K-1ビザ)と配偶者ビザ(CR-1ビザまたはIR-1ビザ)の申請手続きと申請料金について詳しく説明します。なお、料金は為替レートの変動や料金改定により変動する場合があります。

K-1ビザの申請手続きと料金
・フォームI-129Fの提出
アメリカ人の恋人がフォームI-129F(婚約者ビザ申請)を提出します。申請時には、約535ドルの申請料が必要となります。
・審査と面接
米国移民局(USCIS)によるフォームI-129Fの審査が行われます。承認された場合、婚約者はアメリカ大使館や領事館での面接を受けることが可能となり、面接に合格すると、K-1ビザが発行されます。

CR-1/IR-1ビザの申請手続きと料金
・フォームI-130の提出
アメリカ人配偶者がフォームI-130(家族移民ビザ申請)を提出します。申請時には、約535ドルの申請料が必要です。
・審査と面接
米国移民局によるフォームI-130の審査が行われます。承認された場合、申請者本人がアメリカ大使館や領事館での面接を受ける必要があります。面接に合格すると、CR-1ビザまたはIR-1ビザが発行されます。
・ビザ発給料
CR-1/IR-1ビザの取得には、約325ドルのビザ発給料が必要となります。

配偶者としての永住権申請をする為の手続きと必要書類について

アメリカ人の恋人と結婚した後、配偶者は、Form I-485(Adjustment of Status)を提出して永住権を申請します。以下に、必要な書類と申請料に関する詳細を説明していきます。

必要な書類
・出生証明書
配偶者の出生を証明する書類です。
・パスポートのコピー
配偶者のパスポートのコピーが必要です。
・結婚証明書
アメリカ市民との結婚を証明する公的な結婚証明書です。
・離婚や死別の証明書
配偶者が以前に結婚していた場合、離婚証明書や前配偶者の死亡証明書が必要です。
・移民ビザ関連の書類
過去に取得した移民ビザや関連する書類がある場合は、書類のコピーも提出する必要があります。

申請料
・申請料は1,140ドル
・生体認証料金(Biometrics Fee)として、85ドル。
これは、指紋採取や写真撮影などの生体情報収集のための費用となります。

上記の書類と申請料を準備し、Form I-485(Adjustment of Status)と共に米国移民局(USCIS)に提出するようにしましょう。

まとめ

ネット上の情報や友達の実体験等でESTAで結婚した話を見たり、聞いたりして実行したとしても、二度とアメリカに入国できない可能性もありますので、しっかりと正式な手続きを行った上でアメリカ人の恋人と結婚するようにしましょう。

またESTAで結婚ができたとしてもその後、ビザの申請や永住権の取得もできずに生活を共にすることができなくなる可能性もあります。婚約者ビザや配偶者ビザの申請はパートナーの方の協力や、取得までに時間と労力はかかりますが、『結婚する』という素晴らしい出来事において、大切な過程となります。正しい手順で永住権取得を行うようにしましょう。

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