アメリカ発の航空運賃は、10年前と比較して平均15%低下しており、昨年同時期と比べても6%の低下が見られます。多くの経済領域がインフレの影響を受けている一方で、航空運賃に関して、そのような傾向は見られません。
2024年1月の航空運賃の平均価格と2023年の1月の航空運賃の平均価格を比較すると、6%減少しており、10年前と比べて15%減少しています。
以下の表は、アメリカ労働統計局が2月に公開した消費者価格指数に基づいて算出されたデータを示しています。
アメックスGBTによるアメリカから各地域へのエコノミー航空運賃の比較 | |
南米から北米へ | 11.9%の減少 |
北米から中米へ | 7.8%の減少 |
北米からアジアへ | 7.5%の減少 |
アジアから北米へ | 5.2%の減少 |
北米からヨーロッパへ | 3.5%の減少 |
ヨーロッパから北米へ | 1.2%の減少 |
アメリカの代表的な旅行管理会社である「American Express Global Business Travel(アメックスGBT)」によると、2024年の平均エコノミー航空運賃の変化は、2023年の航空運賃と比較してどのくらいの変化があるのかを示しています。
では、なぜ航空運賃が下がっているのでしょうか?
航空会社がより多くのフライトとルートを提供している
2023年は旅行業界にとって記録的な年であり、複数の記録が更新されました。アメリカ国務省は、2023会計年度に2400万冊のパスポートとカードを発行し、海外旅行への関心が高まっていることを示しています。
「Going」という航空運賃追跡ウェブサイトによると、国内線だけでなく国際線の予約も増加しています。
例えば、2023年には、パンデミック前と比較してコスタリカとアメリカ間の旅行者が約14%増加しています。
2023年には、2022年と比較してアメリカと中米間のフライトが航空会社により10%増加しました。2024年には、さらに10%増え、計20%の増加が見込まれています。
また、昨年の旅行者数の増加により、航空会社は世界の他地域へのフライトスケジュールを増やしました。
例えば、デルタ航空では、2023年の夏に記録的な旅行者の増加を受けて、2024年夏にこれまでで最大のアメリカ・ヨーロッパ間のフライトスケジュールを発表しました。
そのため、北米からアジアへの旅行では、2024年前半に2023年の同期間と比較して、航空会社が販売する航空券が550万席増加しており、これは前年比で35%の増加を示しています。
予約できる座席数が増えることは価格に良い影響を与える可能性があります。
2024年には、これが全体的な価格低下につながる可能性があります。
格安航空会社が価格を引き下げている
新規参入の小規模航空会社、特に格安航空会社(LCC)が顧客獲得に向けて競争しており、その結果、業界全体の航空運賃が下がっています。
例えば、ANA(全日空)の子会社で日本初の格安航空会社である「ピーチ・アヴィエーション」は、世界5カ国への路線があり、近年利用する旅行者が急増している航空会社です。
アフターコロナで価格設定が再調整されている
航空運賃の下落の多くは、アフターコロナの再調整であると言われています。多くの航空会社が2020年にフライトスケジュールを縮小したことを踏まえると、自然な流れと言えます。
特に長距離国際線の場合、フライトスケジュールは最低でも6ヶ月前には決定されています。ルートの再開はさらに時間がかかることもあります。
スケジュールの再調整に加え、航空運賃も再調整の傾向にあります。アメリカ労働統計局のデータによるとアメリカ発の航空運賃は、2022年5月の夏に市場最高値を更新しました。今年の価格の低下は主にコロナ前の価格とバランスを取るためであり、特別な理由での低下ではないとされています。
航空運賃は下がっているが、予約を待つべきではない
航空運賃は下落傾向にあるとはいえ、さらなる低下を期待して予約を遅らせるべきではないでしょう。国際旅行の場合、出発の2〜8ヶ月前に予約することがおすすめです。
予約する時期が近づくと、航空運賃は通常上昇します。実際、スケジュールが近づくと需要がふえるため、航空会社はチケットを高い価格で販売する可能性が高いです。
まとめ
今後、アメリカ発の航空運賃はさらに下がる見込みです。
過去10年間で平均15%、昨年比で6%の低下が既に見られ、インフレの影響を受けにくい傾向にあります。この傾向は、アメリカ労働統計局の最新の消費者価格指数データによって裏付けられています。国際線においては、特定のルートでは最大12%の運賃低下が予測されています。
この運賃低下の背景には、既存の航空会社がフライト数とルートを増やしていること、新規格安航空会社の参入、そしてアフターコロナの航空業界の再調整があります。
特に、2023年は旅行需要の増加により、多くの航空会社が世界各地へのフライトスケジュールを拡大しました。この増加した供給は、航空運賃の低下に寄与しています。
しかし、航空運賃が下がっているからといって、予約を遅らせるべきではありません。
航空運賃は出発日が近づくにつれて上昇する傾向にあるため、特に国際旅行の場合は、出発の2〜8ヶ月前に予約することが推奨されています。
現在、航空運賃の低下によって、旅行者にとって有利ですが、最適な価格で航空券を購入するためには、計画的な行動が重要です。
(引用:abc News )