アメリカに移住することを検討している方は、ビザ申請の際に健康診断書を提出する必要があります。
しかし、健康診断は指定の医療機関でしか受けることはできません。
では、「指定の医療機関は何処なのか」
「必要なものは?」
「注意点は?」
このような疑問を一挙に解決します!
また、指定医療機関の一覧も記載しますので、確認してみましょう。
移民ビザ申請のための健康診断
アメリカに移住する事を目的としてビザを取得する場合、健康診断を受けることは必須です。
健康診断書は、ビザ申請の際に、アメリカ公衆衛生局によって提出することが義務づけられています。
しかし、健康診断を受ける事ができる場所は限られています。
かかりつけ医で受けることはできず、アメリカ政府が指定した医療機関でのみ受けることができます。渡航者自身が予約をする必要があり、大使館・総領事館では責任を取ってもらえませんので各自が渡米予定に合わせてスケジュールを組む必要があります。
健康診断の所要時間は診察を含めて大体90分になりますので、当日は余裕をもって予定を組みましょう。
健康診断の際には、移民ビザの申請書である「DS-260」の「確認番号(Case Number)」が必要になるため、事前にオンラインで申請を行っておく必要がある点には注意しましょう。
また、2021年10月1日より、健康診断の一環として「新型コロナウイルス(COVID-19)」のワクチン接種を2回以上受けておくことが必須条件です。
健康診断を行う医療機関にワクチン接種証明書を持参しなければならないため、ビザ申請前に必ずワクチン接種を済ませておきましょう。
健康診断を受ける必要のあるビザの種類
アメリカビザの申請時に健康診断を受ける必要のあるビザの種類は「移民ビザ」と「婚約者ビザ」の2種類です。
移民ビザはアメリカに移住し、永住権を獲得する目的で取得するビザです。移民ビザはアメリカ非移民ビザとは異なり、合法的に現地で働くことができ、住む場所も自由に選ぶことができます。また、渡米後にグリーンカード(永住権)を取得することができるため、日本からアメリカに移住する目的の方にはピッタリなビザです。
婚約者ビザは、アメリカ市民と結婚する外国人(アメリカ人以外)の方が取得することで、アメリカに移住することができるビザです。
つまり、どちらも
「アメリカに移住することが目的でビザを取得しようとしている方が健康診断を受ける必要がある」ということです。
健康診断の際に必要な物
健康診断を受けるにあたって、持参する必要のあるものが5点あります。
健康診断の際に必要になるもの | |
---|---|
書類名 | 概要 |
パスポートまたは、写真入りの渡航証 | 有効期限内のもの |
予防接種記録 | 母子手帳・医療機関が発行した証明書など |
証明写真 4枚 | パスポートサイズ(30㎜×40㎜) |
DS-260の確認番号 | ビザをオンライン申請した際に印刷 |
新型コロナウイルスワクチン接種証明 | 2回以上ワクチン接種したこと証明 |
なお、パスポートの写真は「eMedical(健康診断の結果をデータとして大使館に送付するシステム)」を利用した場合や2020年1月21日以降にDS-260を提出した場合は必要ありません。
また、下記に該当する方は追加で持参する必要のあるものがあります。
妊婦の場合の追加で必要な物
- 母子手帳または、出産予定日や妊婦の容態について詳細が記述されている書類
視力矯正を行っている場合の追加で必要な物
- メガネ又はコンタクトレンズ
重病既往のある場合に追加で必要な物
- 英文で書かれた診断書
病名・診断年・診断月・診断日・治療内容、予後が記載されているもの
児童(6歳以下)の場合に追加で必要な物
- 母子手帳
結核の既往がある場合に追加で必要な物
- 結核感染当時の診断書・レントゲン・処方箋など
※喀痰検査を行う必要があるため、8週間程度余裕をもって大使館面接を受けましょう。
ビザ健康診断の内容
アメリカのビザを申請する際に受ける健康診断にはどのような検査項目があるのでしょうか。
健康診断の内容について解説していきます。
①医療面接、診断
医療面談は医師などの医療関係者と健康診断を受ける人のコミュニケーションです。
問診と違い、医師からの質問だけではなく健康診断を受ける人が日ごろ疑問に思っている点などを相談することができます。
また、あらかじめ記入が求められる問診表には日ごろ気になっている症状や、喫煙歴、飲酒の頻度などを書く欄があります。
不調の原因となっている習慣が発見できる可能性があるため、出来るだけ正確に記入を行いましょう。
②身体測定
身体測定では、身長と体重を測り、肥満度の計測を行ったり、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病ではないかを診断します。
③視力検査
視力検査では、眼鏡やコンタクトレンズで矯正をしている方は着けたままでの検査が求められます。
そのため、コンタクトレンズや眼鏡を忘れることが無いように注意しましょう。
④予防接種
予防接種の抗体検査を行い、陰性項目のある方は追加で予防接種を受けることになります。
この際に、健康診断費用に上乗せされる形で予防接種の代金を支払うことになるため合計費用が高額になる可能性がある点に留意しておきましょう。
また、必要になる予防接種は年齢によって異なります。
⑤血液検査
血液検査では、梅毒をはじめとする性病検査のために血液検査を行います。
また、14歳以下は対象外です。しかし、医師の判断により血液検査が必要になる場合もあります。
⑥尿検査
尿検査では淋病に感染していないかを確認するため、尿を採取し検査を行います。
女性の方は生理中であっても検査が可能です。また、14歳以下の方は対象外です。
⑦胸部レントゲン
胸部のレントゲンでは、肺炎や肺結核などの呼吸器系の疾患がないか確認するために行います。
特に結核は、空気感染や飛沫感染する恐れがあるため、胸部レントゲンで異常はないか確認しています。
また、妊娠中の女性もレントゲン検査を行う必要があります。
アメリカ疫病管理予防センター(CDC)によると、ビザ申請者と胎児の健康のために、胸部のレントゲン撮影に当たって、腹部と骨盤の保護のために鉛製の保護シールドを二重で使用します。
また、もし妊娠している申請者が胸部レントゲン検査に同意しない場合には、出産後に健康診断とビザ面接を延期することができます。
※健康診断前の食事制限は一切ありません。
ビザ健康診断の注意点
ビザ健康診断にあたって、事前に必要な持ち物が揃っている事とパスポートが期限切れでない事を確認しましょう。
健康診断前日から当日にかけて、飲食に関する制限はありませんが、過度な飲酒は控えましょう。
また、服装に関しては着脱しやすい服装で受けることが好ましいです。
妊娠中でも胸部レントゲン検査が必要
一般的に、妊娠している女性をレントゲン撮影することは、胎児への影響を考慮して、実施されることはありません。しかし、アメリカのビザ発給の際の健康診断では、妊婦も例外なく胸部レントゲン撮影が必須になります。
しかし、胸部レントゲン撮影は、医師からの「X線による胎児への影響」に関する説明に、妊婦が同意した場合のみ実施されます。
また撮影では、胎児を保護するために、X線を通さない鉛でできた保護シールドを二重で遮蔽します。
また、胸部レントゲンの撮影に同意出来ない場合には、出産後に面接と健康診断を受けることが出来ます。妊娠中の方は、胎児を自身の身体への影響を考慮して、慎重に選択しましょう。
健康診断の有効期限に注意
健康診断の結果は6カ月という有効期限があります。受診日から計算して最長6カ月ですので間違えないように注意しましょう。
また、検査結果によっては領事館からの指示により有効期限が半分の3か月になってしまう事もあります。
移民ビザでアメリカ入国を行う際にはパスポートの有効期限だけでなく、健康診断の有効期限も守られている必要があります。
つまり、パスポートの有効期限が残っていたとしても、健康診断の有効期限が切れていた場合には、アメリカに入国することができません。
この場合は、日本に帰国し、再度健康診断を受ける必要があるため、注意しましょう。
ビザ健康診断指定医療機関の連絡先一覧
聖母病院
電話番号:(03)-3951-1117
住所:〒160-8521 東京都新宿区中落合二丁目5-1
東京メディカル・エンド・サージカル・クリニック
電話:(03)-3432-5181
住所:〒105-0011 東京都港区芝公園3-4-30 32芝公園ビル 2階
あだちまさときクリニック関西神戸(and Dr 竹村しづき)
電話:(078)-855-2753
住所:〒650-0002 兵庫県神戸市中央区北野町1丁目 ANAクラウンプラザ
ホテル神戸 11階
沖縄アドベンチスト・メディカル・センター
電話:(098)-946-2844
住所:〒903-0201 沖縄県中頭郡西原町字幸地868
まとめ
以上、アメリカの移民ビザ・婚約者ビザを取得する際に必要になる健康診断書の入手方法と内容について解説しました。
通常の健康診断とは異なり、持参するべき書類や持ち物をしっかりそろえる必要があり、事前準備が重要です。
また、胸部レントゲンに関して、妊娠中の方は医師としっかり相談し、胎児への影響を考えて撮影を行うかを決断する必要があります。
もし、妊娠中にレントゲン撮影することに同意できない場合には、出産後に面接と健康診断を延期してもらうことができますので、無理は絶対にすることが無いようにしましょう。