アメリカへビザなし渡航した場合の滞在期間を徹底解説します!

本記事では、ビザを取得せずにアメリカへ渡航する場合の滞在期間について解説しています。

アメリカは一定の条件を満たした渡航者に、ビザなし渡航を認めています。
しかし、アメリカへビザ無しで入国するためには、「ESTA(エスタ)」という電子渡航認証を取得しなければなりません。

そこで本記事では、まずESTAについて詳しく解説してから、ビザなし渡航(ESTAを取得しての渡航)の滞在期間について解説していきます。

また、ESTAの滞在期間を超過してしまう方のために、ビザを取得した場合の滞在期間についても解説しています。

ビザなし渡航に必要なESTA(エスタ)とは?

ESTAとは、アメリカのビザ免除プログラムの一環として導入されているオンライン入国審査制度のことです。
短期間のアメリカ滞在をする場合に利用できます。

つまり、一般的な米国旅行であればビザを取得しなくても良いが、その代わりにESTAの審査を受けなければならないということです。

ただし、ESTAを取得するためには、入国目的や滞在期間、犯罪歴などいくつかの条件を満たさなければなりません。

以下では、ESTAの取得条件について解説していきます。

ESTAの取得条件

ESTAを取得するための条件は、主に以下の6つです。
この6つの条件はすべて満たさなければなりません。

中には分かりにくい条件もありますので、1つ1つ細かく見ていきます。

1.渡航目的が観光か短期商用であること

ESTA取得条件の一つ目は「米国滞在の目的が、観光か短期の商用(ビジネス)であること」です。

アメリカで滞在したい理由が、現地での就労や留学など、観光・短期商用以外である場合はESTAの対象外となります。この場合は、それぞれの目的に応じた米国ビザが必要になります。

どのような渡航がESTAの対象になるかについては、以下の表をご覧ください。

ESTAの対象となる渡航理由

渡航目的 具体例
観光 家族旅行、社員旅行、家族や友人の訪問
ボランティア活動、大会やイベントへの参加(無報酬のものに限る)
短期商用(短期ビジネス) ビジネスに関する商談や会議への参加
第三国へ向かう際の乗り換え 米国国内の空港を経由して第三国へ向かうケース

アメリカへ入国したい理由が一般的な旅行や会社の出張であるような場合は、ESTAの申請が適しているケースです。

なお、アメリカ以外の第三国に向かう途中で、一時的に米国国内の空港に降り立ち、乗り継ぎ・乗り換えをするだけであっても、ESTAの申請が必要であるという点に注意してください。

2.米国での滞在期間が90日以内であること

ESTAを利用したアメリカ渡航の場合、最大で90日間の滞在が可能です。

アメリカ渡航の目的が観光・短期商用であったとしても、現地での滞在期間が90日を超えてしまう場合は、ESTAを利用することはできません。

後述しますが、アメリカへのビザなし渡航の滞在期間はこの90日間です。

3.VWP(ビザ免除プログラム)参加国の国籍を有していること

上述の通り、ESTAは米国のビザ免除プログラム(VWP)の一環で導入されている制度です。

このビザ免除プログラムは誰にでも適用があるわけではなく、米国政府が認めた国の国民にしか適用されません。
この点、日本はVWP(ビザ免除プログラム)に参加していますので、日本国籍を有している方はこの条件を満たしています。

その他のVWP(ビザ免除プログラム)参加国は以下の通りです。

・アンドラ            ・オーストラリア            ・オーストリア
・ベルギー            ・ブルネイ               ・チリ
・クロアチア           ・チェコ                ・デンマーク
・エストニア           ・フィンランド             ・フランス
・ドイツ             ・ギリシャ               ・ハンガリー
・アイスランド          ・アイルランド             ・イスラエル
・イタリア            ・日本                 ・韓国
・ラトビア            ・リヒテンシュタイン          ・リトアニア
・ルクセンブルク         ・マルタ                ・モナコ
・オランダ            ・ニュージーランド           ・ノルウェー
・ポーランド           ・ポルトガル              ・サンマリノ
・シンガポール          ・スロバキア              ・スロベニア
・スペイン            ・スウェーデン             ・スイス
・台湾              ・イギリス

上記の国に該当しない国籍の方は、ESTAを申請することはできません。
米国への渡航の際は、米国ビザを取得しましょう。

4.有効期限内のICチップ内蔵パスポートを保有していること

ESTAを取得するためには有効期限が残っており、ICチップが付属しているパスポートが必要です。

ESTAの申請情報はパスポート情報に紐づいて管理されています。
つまり、パスポートが有効期限切れにより失効してしまった場合は、ESTAも失効してしまうことになります。

ESTAの申請の際には、パスポートの有効期限にも気を配るようにしましょう。

また、パスポートはICチップが内蔵されているものでなければなりません。
現在日本で発行されているパスポートは全てICチップ内蔵のものですが、ESTAの申請時は念のため確認しておくようにしましょう。

5.欠格要件に該当しないこと

ESTA申請時には、適格性に関する質問に回答します。この質問は、感染症への罹患状況や犯罪歴、ESTAやビザの却下歴など9つからなります。

これらの質問に、1つでも「はい」と回答した場合はESTAの認証を得ることはできません。
欠格要件に該当してしまう方は、ビザの申請を検討しましょう。

6.米国に長期滞在する意思がないこと

ESTA(エスタ)はあくまで短期間の米国滞在の際に、ビザの代わりとして取得するものです。
当然、長期間の滞在は許されません。

仮に、入国審査で長期滞在の意思があるとみなされてしまえば、入国拒否されてしまう可能性もあります。

米国に長期間滞在したい場合は、ESTAではなく米国ビザを取得しましょう。
米国ビザの中には、長期間の滞在が許されるものがあります。また、中には半永久的に米国の滞在ができるビザも存在しています。

ESTAの有効期限

渡米目的や現地での滞在期間にかかわらず、ESTAの有効期限は2年間です。

この有効期限は、アメリカへ入国するタイミングで残っていれば、アメリカ滞在中に有効期限が切れてしまうような場合でも問題ありません。

ただし、パスポートの有効期限はアメリカを出国する日まで残っている必要があります。
つまり、ESTAの有効期限の基準は入国時ですが、パスポートの有効期限の基準は出国時ということです。

この点は大変紛らわしいので細心の注意を払うようにしましょう。

また、上述のようにパスポートの有効期限が切れてしまった場合は、パスポートの有効期限満了日をもってESTAも失効します。

ESTAを利用して渡米する際は、ESTAの有効期限だけでなく、パスポートの有効期限にも気を配るようにしてください。

ESTAの更新と再申請

ESTAにはパスポートのような更新の制度がありません。有効期限が切れてしまった場合は、もう一度申請を行う必要があります。

再申請はいつでも行うことができます。有効期限が切れてしまった後に再申請をすることも、有効期限が残り少なくなったタイミングで再申請をすることも可能です。

なお、氏名や国籍、パスポート情報などの重要な情報に変更があった場合も、再申請を行うようにしましょう。

ESTAには、情報の訂正制度がありませんので、古い情報のESTAが有効なまま存在してしまいます。

このような事態を避けるためにも、重要な情報に変更があった際は速やかな再申請をお勧めします。

ESTAを利用したビザなし渡航の滞在期間

上述の通り、アメリカへビザ無し渡航をする場合にはESTAの取得が必須です。

ESTAを利用したビザなし渡航の場合、滞在期間は最大で90日間です。

ただし、ESTAには利用回数の制限がありません。有効期限内であればアメリカへ複数回入国することも可能です。

つまり、1回の滞在は最大でも90日間ですが、一度アメリカを出国すればもう一度90日間の滞在をすることも可能であるということです。

ESTAの滞在期間に関する注意点

続いて、ESTAを利用したビザなし渡航時に注意したいポイントを紹介します。

オーバーステイ(不法滞在)に要注意

認められた滞在期間を超過してアメリカに滞在してしまうことをオーバーステイ(不法滞在)と言います。
オーバーステイは重大な米国移民法違反であり、違反の程度によっては罰金や拘束などの対象になります。

また、オーバーステイをしたという違反歴は一生残ってしまいます。
ESTAを利用してアメリカに入国した場合、1日でもオーバーステイをしてしまうと、以後はESTAの認証が許可されません。

次回以降にアメリカへ入国するためには、短期間の滞在であったとしてもビザを取得しなければなりません。
しかし、ビザの取得もオーバーステイ歴によってハードルが上がります。

過去には、ESTAを利用した米国渡航のケースで、悪天候による飛行機の欠航や航空会社のストライキなどによって滞在期間を超過してしまったという例もあります。

絶対にオーバーステイが起きないよう余裕を持った帰国計画を立てるようにしましょう。

短期間で何度もアメリカへ入国する場合の注意点

上述の通り、ESTAには入国可能回数という概念がないため、2年間の有効期限内であれば何回でもアメリカへ入国することができます。

つまり、1回の滞在は最大で90日までですが、一度出国して入国しなおせばもう一度90日間の滞在ができるということです。

しかし、1回1回の滞在が90日以内であっても、短期間に何度も入国と出国を繰り返していると、「アメリカに移住したいのではないか」と入国審査官に怪しまれてしまう可能性が高いです。

確かにESTAには利用回数のような制限はないのですが、1つの基準として、アメリカでの年間滞在日数が180日を超えるような場合には、ビザの取得を検討するのがおすすめです。

なお、特別な事情があって短期間に入国・出国を繰り返しているような場合には、その事情を入国審査官に納得してもらう必要があります。

正当な理由があることを証明できる書類などを用意して入国審査に臨みましょう。

米国ビザの取得について

上記で解説してきたように、ESTAの取得には渡航目的や滞在できる期間などに規定があります。
予定している米国渡航がこれらの条件を満たさない場合は、ビザの取得を検討しましょう。

以下では、米国ビザを取得すべき渡航目的や米国ビザを取得した場合の滞在期間について解説していきます。

ビザの取得がふさわしいケース

現地での滞在日数が
90日を超える場合
アメリカでの滞在目的に関わらず、
滞在日数が90日以上になる場合はビザを取得しなければなりません。
報酬を伴う就労や
長期間のビジネスを行いたい場合
報酬を伴う就労や長期間のビジネスを行いたい場合は、
90日以内の滞在であっても就労ビザを取得しなければなりません。
米国の教育機関へ
留学をする場合
米国での滞在目的が留学である場合は、留学ビザを取得します。
なお、留学期間が90日以内であったとしても、ESTAの申請は認められません。

米国ビザには多くの種類があり、取得条件や就労の可否など様々な違いがあります。米国ビザを申請する際には、自身の渡航目的に適したビザを申請するようにしましょう。

米国ビザについて詳しくはアメリカビザ全種類を完全網羅!種類ごとに申請対象者をまとめて一気に解説しますをご確認ください。

ビザを取得した場合の滞在期間

ビザの滞在期間は取得したビザの種類によって大きく異なりますが、ここでは観光ビザ(B-2ビザ)を例に解説していきます。

観光ビザ(B-2ビザ)は、90日以上の米国観光の際によく利用されるビザで、短期商用ビザ(B-1ビザ)と合わせてBビザと呼ばれます。

このBビザを利用して米国へ入国した場合、通常180日(6か月)の滞在期間が許可されます。

ただし、米国ビザの滞在期間は一律に定められているわけではなく、入国審査官によって個別に決定されます。

なお、滞在期間の延長申請も可能ではありますが、延長申請が認められるためには極度の体調不良など正当な理由が必要です。

基本的にビザの滞在期間は延長できないものだと考えておくのが良いでしょう。

まとめ

本記事はいかがでしたか。

アメリカへビザなし渡航をする場合の滞在期間は、最大90日間です。一度アメリカを出国してしまえば滞在期間のカウントはリセットされるため、何日でも滞在できそうな気がしてしまいますが、年間180日までにしておきましょう。

年間の滞在期間が180日を超えてしまうような場合は、ビザの取得を検討しましょう。

また、オーバーステイ(不法滞在)にも注意が必要です。オーバーステイというと、自分には関係が無いように思えてしまいますが、実は誰にでも起こりうるものです。

オーバーステイを防ぐためにも、旅程には余裕を持っておくようにしましょう。

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