アメリカのビザ面接に落ちてしまったら?対処法を教えます

アメリカに入国するためには原則としてビザを申請しなければなりません。米国ビザは渡航目的ごとに種類が設けられているので、自分の渡米目的に合ったビザを申請する必要があります。例えば、アメリカの大学に留学することが目的である場合は学生ビザ(F1ビザ)を、アメリカ旅行が目的である場合は観光ビザ(B1ビザ)を申請します。ただ、これらのビザを取得するためには大使館・領事館での面接を突破しなければなりません。しかし、この面接で落とされてしまう方が一定数います。

そこで本記事では、ビザ面接で落とされてしまう理由や落ちた後の対処法を解説していきます。また、ビザの再申請をしてもう一度面接を受ける方のために、面接の攻略法も紹介していきます。

アメリカのビザ面接は厳しめ

アメリカのビザ面接で落とされてしまうことは、そこまで珍しいことではありません。例えば、就労ビザのような長期間の滞在を念頭に置いたビザは比較的審査が厳しいと言えます。また、学生ビザ(F1ビザ)のような一般的に取得しやすいと言われているビザでも、面接の出来次第でビザの発給が拒否されることはあり得ます。

また、「審査保留」という制度もあります。審査保留になった場合は「今回の申請は却下」ということです。ただし、あくまで保留ですので、大使館・領事館の職員から求められた追加書類などを再度提出することで再申請をすることができるようになります。この場合はどのような追加書類や手続きをするべきなのかを指示してくれますので、その指示に従えば大丈夫です。

面接で落とされる理由

アメリカビザの拒否理由として最も多いのは、「214b」に該当してしまったケースです。214bとは、アメリカの「移民国籍法214条b項」のことを指しています。この条文には、「全てのビザ申請者は移民の意志があると仮定する」という考え方が示されています。つまり、ビザを取得するためには、様々な情報を駆使して「アメリカに移住する意思はない」と示すことで、この仮定を覆す必要があります。

以下では、「アメリカに移住する意思がある」とみなされてしまう具体的なケースを紹介します。

短期間に複数回渡米している

短い期間の間に何度もアメリカに入国しているような場合は、移住の意思ありと判断される可能性が高いです。この点、期間や回数に関する判断基準が公表されているわけではなく、最終的には面接担当者の判断にゆだねられることになります。本当に移住以外の理由があって渡米していただけの場合は、しっかりとその理由を示すことができればビザを取得できる可能性はあります。ただ、短期間での渡米歴があると面接で落とされてしまう可能性があることは理解しておきましょう。

アメリカに家族がいる

アメリカに家族や恋人がいる場合も、移住を希望していると判断されやすいです。ビザ面接の際に直接家族や恋人の情報を聞かれる可能性は低いですが、受け答えの中で口を滑らせてしまうと移住を疑われてしまいます。

なお、アメリカ在住の家族や恋人のためアメリカへの移住を検討している場合は、非移民ビザ(観光ビザや学生ビザなど)は適していません。移住者向けに移民ビザが用意されていますので、そちらの取得を検討しましょう。

資金不足

アメリカで生活するための資金が足りない場合は、面接に落ちてしまうことがあります。アメリカのビザ制度では、就労ビザ以外のビザは現地での就労を禁止されています。つまり、アメリカへ入国したあとに資金不足に陥り、生活費を稼ぐために現地で働く可能性があると判断されます。
現地での不測の事態に備えるためにも、資金は余裕をもって準備しておきましょう。

渡航目的が不明瞭

アメリカへ入国したい理由が不明瞭な場合も、申請は許可されません。はっきりした渡航目的を示せないと、その場しのぎで嘘をついているだけで、本当の渡航目的は他にあるのでは?と思われてしまいます。
また、正直に本当の渡航理由を話している場合でも、面接の場でうまく説明できないと「渡航目的が不明瞭」と判断される可能性があります。

帰国後の計画が未定

アメリカへの渡航目的を達成した後の計画が定まっていない場合は、「日本に帰国するつもりがない」=「アメリカへの移住の意思がある」と判断されることがあります。長期の滞在を考えている方は、面接の時点では帰国後の予定が定まっていないこともあるかもしれませんが、暫定的な予定でいいので伝えるようにしましょう。

虚偽の発言をしている

面接の場で虚偽の発言をした場合に申請が拒否されるのは当然のことでしょう。しかし、実際には虚偽の発言をしていないのに、嘘をついていると疑われてしまった場合も「虚偽の可能性がある」として申請を拒否されてしまうことがあります。面接で嘘をつかないのは当然のことですが、提出書類等との整合性が取れた発言をするように心がけましょう。

面接に落ちてしまったら

ビザの面接に落ちてしまった場合でも、再申請をすることができます。また、再申請の回数制限が設けられているわけではないので、実質的には何度でも面接を受けることができます。しかし、一度でもビザ面接で却下になってしまうと、いくつかのデメリットが発生してしまいます。

以下では、ビザ面接に落ちた場合に発生する具体的なデメリットを解説していきます。

予定通りの渡航ができなくなる

ビザ面接に落ちてしまうと、再申請を行う場合でも予定通りの渡航は難しくなります。例えば、留学のために学生ビザ(F1ビザ)の申請をしていた人は、予定通りの留学はできなくなるでしょう。
学生ビザの場合、申請から取得までの期間は通常1週間から1か月程度です。ただし、これは最初の申請で無事に取得できた場合の話で、再申請の場合はさらに時間がかかります。

申請却下履歴が残る

1度でもビザが却下されてしまうと、却下履歴はいつまでも残ります。この履歴は、他のビザを取得しようとする場合にも不利な影響を与えることになります。将来の自分に却下履歴を残さないためにも、万全の準備をして面接に臨みたいところです。

再申請はレベルが上がる

これまでもお伝えしてきた通り、最初の申請と比べて再申請は許可をもらうためのハードルが格段に上がります。再申請をする際は、一度目に却下となった理由をすべて覆すことが必要になります。言い換えれば、初回の申請よりもビザを許可されやすい状況を整えなければならないということです。

落ちた後の対処法

続いて、ビザ面接で落ちてしまった後の対処法について解説をしていきます。「214b」に該当するとして申請を拒否されてしまった方が多いと思いますので、この章では「214b」への対処法を解説します。
再申請には、期間制限や回数制限のようなものはなく、落ちた後すぐに再申請することも可能です。しかしながら、「214b」の最後には「前回の申請時に提出しなかった更なる情報を提供できるよう準備すること、あるいは、申請時から状況が変わったことを立証する必要があります。」という記載があります。つまり、何か大きな変更をしなければ再申請は通らないということです。

まずは、最初の面接の際に提出した書類と面接での受け答えを比較して、どこに問題があったか探りましょう。上述した「面接で落とされる理由」に思い当たる節がある場合は、そこに原因がある可能性が極めて高いでしょう。
例えば、落ちた原因が「日本に帰国する意思をはっきりと示せなかったこと」だと考える場合は、最初の申請では提出しなかった「日本に帰国する意思」を示せる情報を用意しましょう。

「日本に帰国する意思」を証明できる情報の例としては以下のようなものが考えられます。

  • 日本に定期的な収入を見込める職があること
  • 日本に配偶者や子供などの家族を残していること
  • すでに十分な資産を有しており、米国滞在中に尽きる見込みがないこと
  • 日本に重要な財産を有している

なお、「214b」の文章後半の「申請時から状況が変わったことを立証する」は更にハードルが高くなりますので注意してください。ここでいう「状況が変わる」とは、申請者の生活状況が大きく変わるレベルのものを指しています。例えば、就職する、結婚する、不動産を購入するなどが「状況が変わる」に該当する行為です。

面接で落とされないための攻略法

続いて、面接を無事に突破するための攻略法を紹介していきます。再申請の面接を控えている方だけでなく、最初の面接を控えている方にも役立つものですので、参考にしてみてください。

面接予約は早めに取る

そもそもビザが下りるまでの期間は定まっていません。申請者に問題がなかったとしても、大使館・領事館の側でトラブルが起きてしまうかもしれません。そんな事態を避けるためにも、面接の予約はできるだけ早くとるようにしましょう。具体的には、渡航予定日の3か月前には手元にビザが届いているようなスケジュールが好ましいです。
また、早めに予約を取っておくことは面接の攻略にも役立ちます。再申請の場合は、面接時の受け答えに細心の注意を払うため、言いたいことをまとめたり、受け答えの練習をするのがおすすめです。そのためには、余裕をもって面接日を予約しておく必要があります。急いで予約したために、面接日まで練習の時間がないといった事態は避けましょう。

さらに、面接の予約だけでなく、当日も早めに到着するようにしましょう。
「面接予約確認書」には時刻の記載がありますが、これは面接が始まる時間ではなく入場ができる時間を表しています。この時間に遅れてしまったとしても、ただちに面接ができなくなるというわけではありませんが、大幅に遅刻してしまった際は面接を受けられないこともあります。

当日早めに行くことで、面接の練習をすることもできます。当日は、入場の際の手荷物検査や待ち時間などで1時間から3時間程度の隙間時間が想定されます。この時間を有効に活用しましょう。ただし、携帯電話やスマートフォンは中まで持ち込めない点には注意してください。直前までメモを見たい場合は、電子端末ではなく紙媒体に書いておくようにしましょう。

なお、念のため予約状況の確認方法についても以下で解説しておきます。
面接の予約状況の確認は、「プロファイル作成ページ」から行えます。
まず、米国公式のビザ申請ページにアクセスし、登録したメールアドレスとパスワードを入力してログインします。次に「マイダッシュボード」をクリックすると、予約状況を表したアイコンが表示され、ここで自分の予約状況を確認することができます。
なお、この手続きの際にはビザ申請費用を支払ったときに発行される「レシート番号」が必要になります。料金が未払いの段階では予約状況を確認できない点に注意してください。

また、面接予約日を変更する手続きもこのページから行えますが、変更できる回数には制限があります。予定日を3回以上変更した場合や予約した面接を受けなかった場合は、もう1度申請費用を支払う必要があります。

また、面接希望日の予約が埋まっている場合は、面接場所の変更を検討してみましょう。
面接ができる大使館・領事館は、「在日米国大使館(東京)」「在札幌米国総領事館」「在大阪・神戸米国総領事館」「在福岡米国領事館」「在沖縄米国総領事館」の5つです。自宅から近い方の大使館・領事館から予約状況を確認してみましょう。交通費はかかってしまいますが、面接を受けられず、ビザを取得できない場合よりは節約になる方も多いと思います。「在日米国大使館(東京)」と「在大阪・神戸米国総領事館」が、比較的予約を取りやすいと言われています。

十分な資金を用意する

上述の通り、アメリカ滞在に必要な資金が足りないと判断されれば、ビザ申請は許可されません。具体的な基準額が公表されているわけではありませんが、例えば学生ビザの場合は学費と生活費、交際費等を余裕で賄えるくらいの額は用意しておきましょう。
資金不足の状態でアメリカに入国できたとしても、学生ビザでは就労することができません。現地で苦労するだけなので、しっかり資金を貯めてからビザの取得を検討しましょう。
また、ビザ申請の却下履歴はできるだけ残したくないものです。資金がギリギリだと感じるときは、勇気をもって渡航計画を延期するのも大事なことです。

なお、資金不足が原因で1度目の申請を拒否された場合は、申請時より残高が増えていることを証明する必要があります。家族や友人に頼むなどして、残高を増やしましょう。実際には現地で使わない場合でも、就労しないことの意思表示となります。

渡航目的をしっかり説明

渡航目的がはっきりしていない方もいるかもしれません。ただし、あいまいな説明ではビザを取得することはできません。なんとなくアメリカに行きたいだけであっても、面接の時までにはしっかりと自分の考えを固めておいてください。
また、自分の中ではハッキリとした渡航目的があったとしても、それが面接官に伝わらなければ意味がありません。人と話すのが苦手に感じる人は、事前に練習しておきましょう。

日本帰国を前提に

渡航目的が達成された後は日本に帰国する意思を明確に表示しなければなりません。長期の滞在を予定している人は先の予定が定まっていないことも多いと思いますが、その状態だと面接を突破することはできません。日本に帰国することを想定し、それを具体的な計画に落とし込んでから面接に挑むようにしましょう。
この際、アメリカでの経験を日本でどのように活かしたいかも言えると良いです。例えば、学生ビザを取得してアメリカの大学へ留学する予定の人は、「アメリカの先進的な学術研究のノウハウを日本に持ち帰って、日本の産業に活かしたい」のように言えるのが望ましいです。

なお、日本帰国の意思を上手く伝えることができずに1度目の申請を拒否された場合は、日本に戻らなければならない理由を示す情報を追加で提出する必要があります。
例えば、申請者の家族が日本への帰国を希望している旨を記載した「家族からの帰国希望書」や帰国後はまた職に戻ってほしい旨を記載した勤務先からの手紙などが有効といわれています。

余計なことは言わない

面接で嘘をつくのは絶対にダメですが、必要のないことを伝えて落とされるのは避けたいところです。面接官に質問された場合は正直に答える必要がありますが、聞かれていないことについての発言は極力控えるのがおすすめです。

堂々と話す

どんなに正直に話していたとしても、不安そうに話していると何か理由があるのでは?と勘繰られてしまうかもしれません。大使館での面接はどうしても緊張してしまうものですが、できるだけ堂々と話せるように意識しましょう。

まとめ

本記事はいかがだったでしょうか。アメリカのビザ面接は比較的厳しいと言われていますので、落ちてしまうのもしょうがないことと言えます。しかし、再申請をする際は、次こそビザを取得できるように万全の準備をして臨みましょう。まずは、本記事を参考にして落ちてしまった原因を追究しましょう。再度の面接に臨む場合は、面接で落とされないための攻略法を参考に、面接を通過しましょう。

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