アメリカにおける麻疹(はしか)の感染者数が増加、2023年の患者数を上回る

2024年3月16日時点で、アメリカでは麻疹(はしか)の感染者または感染していると疑われている症例が今年に入ってから少なくとも60件確認されており、2023年全体の症例数である58件をすでに上回っています。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)による調査では、アメリカの17州で感染者が確認されています。
春休みの旅行シーズンを迎えるにあたり、CDCはアメリカ国民と旅行者に対し、はしかワクチンの接種状況を再確認することを強く推奨しています。
CDCの国立予防接種呼吸器疾患センターのディレクターである、デメトレ・ダスカラキス博士は、
「世界的に『はしか』が流行する兆しがあります。流行の速度を緩和するために効果的なワクチンの接種を行う事が急務となっています。」と述べました。

また世界各地でも、はしかの大規模な感染が確認されており、波紋が広がっています。

先週は45件とされていたはしかの症例数は金曜日の集計で増加し、アリゾナ州、カリフォルニア州、イリノイ州、オハイオ州で新たな感染が報告されました。

はしかの感染が確認されたアメリカの州
アリゾナ州
カリフォルニア州
フロリダ州
ジョージア州
イリノイ州
インディアナ州
ルイジアナ州
メリーランド州
ミシガン州
ミネソタ州
ミズーリ州
ニュージャージー州
ニューヨーク州
オハイオ州
ペンシルベニア州
バージニア州
ワシントン州

はしかの症例の増加原因

2023年アメリカで確認されたはしかの症例の多くは、ワクチン未接種の旅行者が海外に行き、ウイルスを持ち帰り、免疫を持たない他の人々に感染させたことによるものです。

はしかは非常に感染力が強く、症状が出る4日前からウイルスを広めることができます。症状が現れるのは、感染後最長で11日後までのことが多いです。CDCのデータによると、今年は少なくとも6件の症例が、海外でウイルスに感染した人々であると明らかになっています。昨年は、海外から「輸入」された症例が13件報告されています。

はしかの症状と合併症

はしかに感染した人と接触してから約2週間後、最初の症状として高熱、咳、鼻水、結膜炎のいずれかが現れることが一般的です。

CDCの報告によると、はしかワクチン未接種の成人が感染した場合、約5人に1人が入院します。

2019年の記録的な流行期間中、入院患者の5%が肺の感染症である肺炎を患い、1人が脳腫脹を発症しましたが、死亡例は報告されていませんが、はしかは特に幼い子供たちにとって致命的な症状になる可能性があります。

1960年代に、「はしかワクチン」の普及によりアメリカでほぼ根絶されましたが、それ以前には死亡例が0.3%ほどあったとされています。

はしかからの最後のアメリカでの死亡は2015年に報告されていますが、ダスカラキス博士は、はしかによる死亡は稀だが、軽度の症例であっても長期的な後遺症を抱える可能性があると警告しています。

また、はしかに感染すると、他の病原体に対する免疫力を低下させてしまいます。そのため、はしかの症状が軽度であっても合併症の危険性が高まり、重病になってしまう可能性が高まります。

これらの情報を踏まえ、旅行前には必ず予防接種を受けるか、医師による免疫状態の確認を行うことが極めて重要です。

はしかは感染性が高い病気であり、日本でも今年に入って症例が確認されています。

アメリカだけでなく、海外旅行を計画している方は渡航前にはしかの免疫は万全であるか、ワクチン接種の記録があるかを確認し、はしか予防の徹底を意識しましょう。

(引用: CBS news

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