陸路での米国入国を計画している方はいませんか?
陸路でアメリカへ入国する場合、経路としてカナダまたはメキシコから入国する方法があります。
以前までは、カナダやメキシコから陸路でアメリカへの入国をする際には、I-94Wと呼ばれる出入国カードの記入をすることで、ESTAの申請をせずに入国が可能でしたが、2022年5月2日より陸路でアメリカへ入国する際にESTAでの入国が導入されました。
2022年10月1日より、カナダまたはメキシコから陸路でアメリカへ入国する際は、ESTAの取得が義務化されたため、現在では空路、海路および陸路と航路を問わず、ESTAの取得が必要となっています。
本記事では、陸路での入国についてや、カナダ・メキシコへの渡航時に必要な書類、気を付けたいことなどを解説していきます。
ぜひご覧ください。
陸路でのアメリカ入国時もESTAが必要になりました
以前までアメリカ渡航の際は、ETSAの取得を空路・海路の場合のみ必須としていました。
しかし、陸路での入国に限り、ESTAの取得に代わりI-94Wの記入をすることで最大90日間の滞在が許可されていました。
CBPは2022年5月2日以降、カナダ・メキシコから陸路でアメリカへ入国する際にもESTAを取得する方針を発表しました。
一定期間はI-94Wの記入での入国も可能でしたが、2022年10月1日より、ESTAの取得が義務化され、I-94Wを廃止したことにより、陸路でのアメリカ渡航にはESTA申請またはビザ申請が必須となりました。
つまり、陸路でアメリカへ入国する場合は、ESTA(またはビザ)とI-94の2つが必須ということです。
交通手段で必要書類が変わります
陸路でアメリカへ渡航する際、経路は2種類あります。カナダから入国する場合とメキシコから入国する場合です。
陸路でアメリカへ入国する際に、どのような手段があるのか、またどのような書類が必要なのか紹介していきます。
下記表でまとめたのでご覧ください。
手段 | 必要な書類 |
---|---|
自動車 | ・パスポート ・I-94 ・ESTA(ビザを取得した際は不要) ・国際運転免許証 ・車両の登録証 ・自賠責保険の加入証明書 |
バス | ・パスポート ・I-94 ・ESTA(ビザを取得した際は不要) ・バスのチケット |
電車 | ・パスポート ・I-94 ・ESTA(ビザを取得した際は不要) ・切符 |
徒歩 | ・パスポート ・I-94 ・ESTA(ビザを取得した際は不要) |
※入国審査の厳しさは、渡航手段ごとに異なると言われています。
自動車やバスでアメリカへ入国する場合は、上記の必要書類の確認に加えて、持ち物検査が行われることがあります。
また、自動車の場合は、国際運転免許証が有効なものであるかの確認がありますので、事前に有効期限などの確認をしておくようにしておきましょう。
一方、バス、電車、徒歩での入国の場合は、そこまで厳しい入国審査は行われないと言われています。
陸路で必要なESTA(エスタ)の申請方法
陸路でのアメリカ入国にはESTAの申請・取得が義務化されました。
ここでは、ESTAについて、どういうものなのかを説明していきます。
ESTAとは、米国政府により施行されているビザ免除プログラム(VWP)を利用するために、渡航者の情報や適格性を事前に判断・管理するために導入された「電子渡航認証システム」です。
VWP対象国からの渡航者は、観光・短期ビジネスを目的とし、最大90日以内の滞在での渡航に限り申請・取得ができます。
また、ESTAを取得した渡航者はビザの取得が不要となります。
ESTAの有効期限は2年間あり、有効期限内なら複数回の渡航が可能です。
しかし、パスポートの有効期限が2年以内の場合は、パスポートの有効期限が優先され、パスポートの失効と同時にESTAも失効するため、注意しましょう。
ESTAについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご確認ください。
ESTA(エスタ)とは?システムや取得条件について徹底解説
ESTAの申請は、ESTA公式サイトにてご自身で行う方法と代行サービスを利用する方法の2つの方法があります。
ESTA公式サイトで申請する際はこちらで解説していますので、ぜひ参考にしてください。
なお、ご自身で申請する場合、公式サイトでの申請時の入力および問い合わせが英語のみの対応になっているため、英語が苦手な方で不安になる方もいると思います。
そのような方に日本語での対応が可能なESTA申請代行サービスの利用をおすすめします。
ご興味のある方はぜひこちらをご確認ください。
ESTAの取得ができなかった場合
ESTAは、何らかの理由により、ESTA申請時に認証拒否になってしまう場合があります。
その場合、陸路を含め全ての航路でESTAを利用したアメリカへの入国ができなくなってしまいます。
万が一、ESTAの認証が拒否されてしまった場合は、渡航目的に適したビザの取得をしてください。
米国ビザについて詳しくは、以下の記事をご確認ください。
アメリカビザ全種類を完全網羅!種類ごとに申請対象者をまとめて一気に解説します
また、陸路でのアメリカ入国ではI-94の取得が必須なので、忘れずに申請を行いましょう。
陸路で必要なI-94の申請方法
アメリカ渡航の際、陸路またはフェリーで入国する場合はI-94の取得が必要です。
I-94とは、アメリカへ入国した渡航者の出入国を記録する書類です。
出入国カードとも呼ばれます。
以前は紙に直接記入して入国審査官に提出していましたが、現在は全ての手続きをオンラインで行うことができます。
I-94は、米国国民、帰国居住外国人、移民ビザを持つ外国人、および訪問中または通過中のカナダ国民を除き、すべての渡航者が陸路でアメリカへ入国する際に必要となる出入国記録カードです。
陸路でアメリカへ入国する際は、必ずI-94の申請をしましょう。
それでは、I-94の取得方法を解説していきます。
現在、I-94の電子化に伴い、事前にオンライン上で申請・取得する事が可能となっており、公式WEBサイトからする方法と公式アプリからする方法があります。
Webサイトから申請する方法
まずは、Webサイトでの申請方法について解説していきます。
①申請の開始
申請サイトにアクセスし、「APPLY FOR NEW I-94」から「APPLY NOW」をクリックしましょう。
②Terms of Service(利用規約)の確認
表示された内容を確認をし、問題なければ「I ACKNOWLEDGE AND AGREE」をクリックしてください。
③Enter Travel Document Info(渡航書類情報の入力)
この画面では、まずアメリカへ渡航する際の航路を選択します。
今回は陸路での入国を想定しているため、「How will you be entering the United States?(どのように米国へ入国しますか?)」では「via land or selected ferry(陸路または指定のフェリー)」を選択しましょう。
下に情報の入力フォームが表示されるので、必要事項を入力してください。
なお、入力は全て英語で行ってください。
「Use Passport or Border Crossing Card (BCC)?」では、国境通過カード(BCC)を所持していない場合は「Passport」を選択しましょう。
「Passport」を選択すると上のような画面が表示されるので、全ての項目に答えましょう。
また、米国ビザを取得している方は、ビザ番号とビザ発行日を入力しましょう。
④Enter Traveler Info(旅行者情報の入力)
続いて、渡航者情報の入力になります。
必須入力事項を入力しましょう。なお、入力は全て英語で行ってください。
滞在先のホテルが複数ある場合は、一泊目のホテルの情報を入力しましょう。
⑤Checkout(支払い)
アメリカへ陸路で入国する際は、1人につき6ドルの手数料がかかります。
支払い方法は、各種クレジット/デビットカード又はPayPalがあります。
お好きな方法を選択し、決済を完了させてください。
⑥Receipt(受領書)
決済が完了したら、受領書と申請内容の確認画面が表示されます。
申請内容をコピーし、入国手続きを行いましょう。
なお、I-94は申請日から7日間以内に入国審査を受ける必要があります。
もし、7日間を過ぎてしまった場合は、申請が取り消されてしまい、再度申請が必要となるため、注意してください。
また、申請時に発生した手数料の返金処理はありません。
CBP Oneアプリから申請する方法
続いて、CBPOneアプリから申請する方法を紹介していきます。
①CBP Oneアプリをダウンロード
まずは、以下のリンクからアプリをダウンロードしましょう。
Google Play
App Store
②アカウント登録・ログイン
CBP Oneアプリを利用してI-94の申請をするためには、最初にアカウント登録をする必要があります。
画面真ん中の「LOGIN OR SIGN UP」をタップし、「Create an account」のページを開きましょう。
メールアドレスの認証を求められるので、普段使っているメールアドレスを入力したら、画面最下部の「Submit」をタップします。
メールでの2段階認証が終わったら、次は「Authentication method setup(認証方法の設定)」というページに遷移します。
CBP Oneアプリを利用するためには、最低でも2種類の認証方法を設定しなければなりません。
この画面は非常に重要なので、下記表に日本語訳を記載しています。
2種類以上の認証方法を設定し終われば、アカウント登録の手続きは完了です。
原文 | 日本語訳 |
---|---|
・Face or touch unlock Use your face or fingerprint to access your account without a one-time code. |
・顔認証または指紋認証 顔か指紋を使ってアカウントにログインします。 ワンタイムパスワードは不要です。 |
・Authentication application Download or use an authentication app of your choice to generate secure codes. |
・認証アプリ 任意の認証アプリを用意して、 (自分で)セキュアコードを生成してください。 |
・Text or voice messeage Receive a secure code by (SMS) text or phone call. |
・SMSまたは音声メッセージ セキュアコードをSMSまたは音声メッセージを通して受け取ります。 |
・Backup codes A list of 10 codes you can print or save to your device. When you use the last code,we will generate a new list. Keep in mind backup codes are easy to lose. |
・バックアップコード 紙にメモするか、デバイス上に保管した(生成された)10個のバックアップコードを利用してログインします。 10個目のコードを使ったときは、新たに10個のコードが生成されます。 |
・Security key A physical device,often shaped like a USB drive, that you plug in to your device. |
・セキュリティ・キー USBドライブのような物理的なデバイスをスマートフォンへ認識させることでログインします。 |
③Apply for I-94 in Advance(事前にI-94を申請する)
アカウント作成が完了すると、上の画面が表示されますので「Apply for I-94 in Advance」を選択しましょう。
④Add Traveler (渡航者の追加)
Add Traveler(渡航者の追加)というページに遷移しますので、「PERSONAL DETAILS(個人情報)」「DOCUMENT DETAILS(パスポート情報)」「VISA DETAILS(ビザ情報)」「ADDITIONAL DETAILS(追加情報)」をそれぞれ入力してください。
入力を求められている情報はWebサイトから申請する場合と変わらないので、記入方法については、上述の「③Enter Travel Document Info(渡航書類情報の入力)」を参考にしてください。
⑤支払い
必要情報を全て入力したら、最後に支払いをしましょう。
アプリの場合も、申請手数料は1人につき6ドルです。
申請手数料が無事に決済できれば、I-94の申請手続きは終了です。
メキシコ経由で渡航計画している方
メキシコを経由してアメリカへ行く方もいると思います。
まずは、メキシコ渡航での必要要件について解説します。
メキシコでは、現在空路の場合に限りツーリストカードの提出が不要です。
また、日本からの渡航者はビザの取得なしで入国できます。
なお、ビザ取得なしの場合、滞在可能期間は180日以内となります。
メキシコ渡航時の必要要件は次の通りです。
- パスポート
- ツーリストカード(陸路のみ)
メキシコ渡航では基本的にパスポートのみで入国できます。
メキシコからアメリカへの入国を計画している方は、以下の記事もご確認ください。
メキシコへの旅行ガイド!ESTAの必要性やビザについて徹底解説
メキシコ経由で気を付けること
同じ陸路での入国でも、カナダからアメリカの入国審査は比較的緩いと言われていますが、メキシコからアメリカの入国審査は大変厳しいことで有名です。
原因は、アメリカとメキシコの不法移民問題にあります。
現在、アメリカには1000万人を超える不法移民がいると言われており、その多くが中南米から陸路で入国しています。
メキシコはその際に必ず通るルートですので、厳しい入国審査が行われています。
メキシコからアメリカへ陸路で国境を越える計画の方は、自分が移民希望では無いことを証明できる書類を追加で用意しておくのがおすすめです。
カナダ経由で渡航計画をしている方
陸路でアメリカへ入国する場合カナダを経由するルートがあります。
そもそもカナダへ渡航する場合、何が必要なのか知らない方のために解説していきます。
現在カナダでは、空路での渡航時にビザを免除されている国籍の方に対し、6か月以内の滞在を予定している場合に限りeTA(電子渡航認証)を申請・取得する必要があります。
日本は、カナダのビザ免除の対象国ですので、渡航時はeTA(イータ)の申請をしましょう。
なお、実際の滞在期間に関しては入国審査の際に判断されるため注意してください。
eTAの有効期限は5年間です。しかし、ESTAと同様パスポートの有効期限に準ずるため、パスポートの失効と同時に失効してしまいます。
申請には一人7カナダドル(約770円)が必要です。
カナダ渡航時の必要要件は次の通りです。
- eTAの申請・取得(陸路の場合は不要)
- パスポート
eTAは申請者のパスポートで管理されているので実際に提示するものはパスポートのみになります。
カナダ経由で気を付けること
カナダからアメリカへ陸路で入国する場合の入国審査は、基本的にかなり緩いと言われています。
しかし、注意が必要なのはアメリカからカナダへの入国審査です。
アメリカは合法的に銃の所持が認められていますが、カナダは銃の個人所持が認められていません。
カナダ国内への銃の流入を防ぐため、厳しい入国審査体制が取られていると言われています。
カナダからアメリカへ入国してそのまま帰国する予定の方は心配いりませんが、アメリカへ入国した後にもう一度カナダへ戻る計画のある方は注意が必要です。
陸路でアメリカ旅行をする場合はオーバーステイに要注意
最後に、陸路でアメリカ旅行を計画している方に向けて、注意点を紹介していきます。
ESTAを利用してアメリカへ滞在できるのは最大でも90日までと解説しました。
しかし、一度ESTAを利用してアメリカへ入国した後に、「米国の隣接諸国に指定されている国」へ出国をしても、ESTAのカウント上は米国から出国したとはみなされません。
つまり、最初にアメリカに入国してから、隣接諸国を出国するまでの期間を90日以内に収める必要があります。
米国に隣接しているとみなされる主な国と地域は以下の通りです。
米国に隣接している国と地域 |
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カナダ、メキシコ、アンティグア・バーブータ、バハマ、キューバ、ドミニカ国、ドミニカ共和国、グレナダ、ハイチ、ジャマイカ、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン諸島、トリニダード・トバゴ、グアドループ島、マリー・ガランド島、マルティニーク島、サンピエール・エ・ミクロン、セントマーチン島、アンギラ、バルバドス、バミューダ、英領バージン諸島、ケイマン諸島、モントセラト島、セントエウスターチェス島、タークス・カイコス諸島、アルバ、ボネイラ、キュラソー島、サバ島、セントバーソロミュー島、セントクリストファー島、セントキッツ・ネイビス島、この他カリブ海の英・仏・オランダ領 |
例えば、日本→アメリカ(ESTAを利用して入国)→メキシコ→ドミニカ共和国→日本という旅行計画を立てている方は、アメリカへ入国した日からドミニカ共和国を出国する日までが90日以内である必要があります。
この期間が90日を越えてしまった場合は不法滞在(オーバーステイ)となり、強制送還されてしまう可能性があります。
全体の滞在日程が90日を超えてしまいそうな方は、ビザの申請を検討しましょう。
まとめ
陸路でのアメリカ入国でもESTAの取得が義務化されたことは理解できたでしょうか?
カナダ・メキシコも観光場所として人気があるため、渡航者が多いと思います。
また、そこから陸路でアメリカへ行きたいという方も多いのではないでしょうか?
その際に、ぜひ本記事を読んでいただき、どのような要件があるのか確認し、渡航時の役に立ててください。
急なトラブルを未然に防ぎ、楽しい海外旅行を行いましょう。