COVID-19の感染が持続するリスク 免疫不全患者の間でもリスクが様々であることが最新の研究で明らかに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する最新の研究では、免疫力が低下している患者たちの中で、病気が持続するリスクが様々であることが明らかになりました。

免疫力が低下している人々は、COVID-19による重症化リスクが高く、また、通常の人々と比べてワクチンに対する反応も弱い可能性があります。
しかし、「免疫力低下」という言葉は、さまざまな状態を指し、このカテゴリーに属するすべての患者が同じリスクを抱えているわけではありません。

マスジェネラル・ブリガムの研究者たちは、56人の免疫力が低下している患者を対象に研究を行いました。
このグループには、血液がんや臓器移植、自己免疫疾患やB細胞欠乏症により、重度に免疫力が低下している患者、および重度でない免疫力低下患者が含まれていました。
研究チームは、これらのグループと免疫力が低下していない患者を比較しました。

研究者たちは、患者のウイルス排除能力が、免疫抑制の程度によって異なることを発見しました。
血液がんや臓器移植により免疫力が低下している患者は、新型コロナウイルスに感染すると、症状の治りが遅く、持続的で長引く可能性が高いことがわかりました。
この発見は、SARS-CoV-2感染症を排除する上でT細胞の重要性を示しています。

そのため、今後の研究で、患者のモニタリングとワクチン設計の改善に寄与する事ができるでしょう。

また、重度に免疫力が低下している参加者は、治療用のモノクローナル抗体に対する耐性を発達させるリスクも高かったため、新型コロナウイルスに対するワクチンを接種したとしても、健康的な人と比べ、効果が薄いことも研究によって明らかになりました。

この研究は「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」誌に掲載されています。

ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の感染症部門のジョナサン・リー博士は、

「患者と医療提供者は、症状が長引く場合、それが持続するCOVID-19の病気を意味し、追加の検査や潜在的な治療が必要であることを認識するべきです」と述べています。

結論として、臓器移植または血液がんの既往歴を持つ患者は、ウイルス排除の遅れが最も大きいです。

また、B細胞免疫不全の患者は中間的なリスクを持ち、自己免疫疾患を持ち、抗腫瘍壊死因子(TNF)治療を受けているような軽度の非重度免疫力低下患者31人は、免疫力が低下していない参加者と同様のウイルス排泄動態を示しました。

「サンプルサイズは限られていますが、これらの結果は、軽度から中度の免疫抑制(B細胞消耗療法を受けている患者を含む)のほとんどの患者が、感染の急性期にウイルスを排除できることを確信させてくれます」とリー博士は述べています。

(引用:Medical Xpress

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