アメリカ入国時の新型コロナウイルスワクチン接種証明書の提出について

2022年6月10日にアメリカ政府は入国制限による新型コロナウィルス陰性証明書の提示義務を撤廃しました。6月12日には入国前1日以内に行ったPCR検査の陰性証明書の提示も不要になりました。

アメリカの疫病予防管理センター(CDC)は陰性証明書の撤廃の理由について、

「ワクチンの普及と効果的な治療法の確立によって、新型コロナウィルス感染者が重症化・ 死亡するリスクが低くなったと判断し、入国制限を緩和する」

と説明しています。

再度、感染拡大の兆候があった場合には検査義務の再導入を検討するとしています。

2023年5月11日には、新型コロナウィルスに関する「公衆衛生上の緊急事態宣言」を解除することを発表しました。アメリカ国内の新規感染者は1日につき2000人ほどとなり、病院等の医療機関は平時の賑わいに戻っています。水際対策として運用されていた入国制限は全ての州で撤廃され、5月12日以降に空路・陸路・海路で入国する全ての渡航者はワクチン接種完了証明書を提出する必要もなくなりました。アメリカ政府によると、今後新たな新型コロナウイルスの変異株が流行しない限り、季節性のインフルエンザと同程度の対策を行うとしています。

このように、世界的には新型コロナウイルスのパンデミックは終息へ向かって動き始めています。しかし新型コロナ情勢は感染の程度によって変化し続けています。情報が二転三転する現在のような時期には必要な書類は何か調べるのは大変です。加えて、渡航先がどの州なのかによって準備する書類は異なる場合があります。

また、アメリカから日本への帰国時に必要な書類や手続きはどのようなものかも知らなければなりません。

この記事では、アメリカ渡航の際に現在どのような書類が必要になるのか、また人気のアメリカの旅行先の情勢はどのようになっているかを解説していきます。

アメリカ渡航の注意点

アメリカ政府のバイデン大統領は2023年5月11日に、新型コロナウィルスの感染拡大による「公衆衛生上の緊急事態宣言」の解除を発表しました。公衆衛生緊急事態は4月11日に終了予定となっていましたが、公衆衛生緊急事態が終了する際には60日前に公表するという公約に基づき、5月11日まで延期することを決定しました。しかし、延長期間中は個人や職務、教育の制限を行うものではなく、マスク着用やワクチン接種などの感染予防を義務付けるものではないとしました。

 外国人渡航者がアメリカに渡航する際、PCR検査による陰性証明書の提示は撤廃され、英語で記載されているワクチン接種完了証明書(海外渡航用新型コロナウイルスワクチン接種証明書)の提示も廃止されました。。海外渡航用新型コロナウイルスワクチンは二次元コード付き接種証明書が専用アプリにて発行することができます。電子版接種証明書をご利用の方はデジタル庁公式ウェブサイトをご確認ください。

現在アメリカへは自由な渡航を行うことができ、全州でのマスク着用義務がなくなりましたが、アメリカ疫病予防管理センターは混雑している場所や、公共交通機関ではマスクの着用を薦めています。医療機関や介護施設では引き続き着用が求められているため、事前に最新情報を集め、状況を把握しておきましょう。

デジタル庁公式ウェブサイト

アメリカ入国時の必要な証明書

以前までは、アメリカに入国する際に義務付けられていたPCR検査による陰性証明書の提示が、2022年6月12日に撤廃されました。加えて、ワクチン接種完了証明書や

CDC(アメリカ疫病予防管理センター)指定の宣誓書、CDC(アメリカ疫病予防管理センター)への情報提供書(コンタクトレーシング)も2023年5月11日をもって不要になりました。

そのため、現在アメリカ渡航に必要な証明書は、ESTAの渡航認証許可証のみになります。

下記にて必要だった証明書とESTA(エスタ)の解説をします。

ESTA(エスタ:電子渡航認証システム)

ESTA(エスタ)はビザ免除プログラムを利用して渡米する全ての旅行者に義務化されている電子渡航システムです。

正式名称は”Electronic System for Travel Authorization”と表記され、アメリカ国土安全保障省(DHS)がビザを取得せずにアメリカに渡航する旅行者の個人情報やパスポート情報をもとにアメリカに危険を及ぼす人間ではないかを判断する要素の一つになっています。

 アメリカでの商用・観光目的であれば最長90日まで滞在することができます。

飛行機や船舶での渡航はもちろん、アメリカに乗り継ぎで寄る際にも必要になります。

ESTAの申請はこちら

ワクチン接種完了証明書(海外渡航用新型コロナウィルスワクチン接種証明書)

ワクチン接種完了証明書は、自治体または医療機関から発行される、2回以上新型コロナウィルスワクチンの摂取を行ったことを証明する書類です。以前までは、

・ワクチン接種をした翌日から14日間以上経過しなければならない

・2回以上のワクチン接種が完了したことを示す証明書が必要

・1回または未接種の方はアメリカに入国できない

など多くの制約がありました。

しかし、アメリカ政府は2023年5月11日にワクチン接種証明書の提示の廃止を発表しました。廃止の理由について、

「各国でのワクチン接種が普及し、数多くの人々が新型コロナに感染したことで、ある一定基準以上の免疫を市民全体が獲得したから」と説明しています。

アメリカが認めるワクチン

新型コロナウイルスワクチン接種証明について、ある一定以上の効果が期待されるワクチンを製造している製薬会社が7社あります。下記の製薬会社はアメリカ政府が効果を認めているワクチン製造会社になります。

ファイザー社
モデルナ社
ジョンソン・アンド・ジョンソン社(J&J)
アストラゼネカ社
中国医薬集団 (シノファーム)
科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)
コビシールド社

CDC(アメリカ疫病予防管理センター)宣誓書

アメリカ合衆国法典第18編第1001条をもとに、新型コロナウイルスの陰性証明書・治癒

証明書の内容に虚偽が含まれておらず、正当なことを示すために署名する書類です。

2回ワクチンを接種した方、ワクチン接種を完了していない方、例外としてワクチン接種を行っていない方などそれぞれ記入項目が異なります。

そのため、自身に当てはまる宣誓内容を選択し記入する必要がありました。

17歳以下の方や、健康上の理由などで本人が署名できない場合は、保護者や代理人が宣誓することができます。搭乗の際にチェックインカウンターで宣誓書を提出することが出来ました。

しかし、2023年5月に宣誓書の提出は廃止されましたので現在は記入等を行う必要はありません。

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)情報提供書

全てのアメリカ渡航者はCDC(アメリカ疫病予防管理センター)へ米国滞在時の連絡先(電話番号・e-mailアドレス)の情報を提供しなければなりませんでした。この書類も、 搭乗時のチェックインカウンターにて提出する場がありました。

2023年5月にCDCへの情報提供書の提出は廃止されました。

ハワイへの渡航時の注意点

日本国籍を持っている方は、アメリカのビザ免除プログラムのESTA(エスタ)を利用することでビザなしでハワイへ渡航することができます。短期での商用や、観光を目的として

ハワイに渡航する方は、3日前までにESTA(エスタ)の申請を行わなくてはなりません。

2023年9月現在、ハワイ州では新型コロナウイルス感染対策として主要5つの空港で 

サーモグラフィーによる検温の措置がとられていますが、コロナに関連する各種証明書を提出する必要はないです。

しかし、体温が38度以上ある方に対しては重大な感染症の疑いがかけられ、精密な検査を受けなければなりません。

入国の際に新型コロナウイルスが陽性の方や、感染の可能性がある方には5日間の自己隔離要請が出されます。渡航者の自己隔離をする施設は保健機関によって指定された場所、あるいは予約済みの宿泊施設になります。また、宿泊先に速やかに向かうことを求められ、公共施設の使用は禁止されます。宿泊先には家族と医療関係者以外は立ち入ることが不可能になります。

後述する「Visit Japan Web」の利用は可能なため、スムーズな出入国を希望される方は

事前に手続きを済ませておきましょう。

ニューヨーク州への渡航の注意

ニューヨーク州では2020年3月22日に自宅待機命令が出され、ロックダウンになりました。

アメリカで最も深刻な感染状況となり、飲食店の営業制限や在宅勤務など徹底した感染対策が行われました。また、重症化しやすい65歳以上の高齢者やワクチン未接種の人は屋外の混雑した場所でもマスクの着用を求められ、人混みや不要不急の外出を避けることが求められました。一時は多くの規制が緩和され、屋外でのマスク着用も任意になりましたが、感染者の急増を受け再度規制が強化されました。新型コロナウィルスの根強い感染に対抗するため、ニューヨーク州では2021年8月から2022年3月まで屋内施設の利用者にワクチンの証明書である「Key to NYC PASS」の導入や、高品質のマスクを市内の学校や市域の団体に配布するなど、手厚い保障や厳しい規制によって感染状況が改善していきました。市民へのワクチンの普及や、抗体の獲得によって徐々に感染者数は減少し、経済活動が再開していきました。現在では屋内施設や地下鉄などの公共交通機関を利用する際にマスクの着用は不要になり、混雑した場所でのマスク着用は任意となりました。

カリフォルニア州(ロサンゼルス郡)への渡航時の注意点

ロサンゼルスがあるカリフォルニア州では、2020年3月19日にアメリカ国内初となる外出禁止令(ロックダウン)を発令しました。ロックダウンによる人々の移動を封鎖したのにも関わらずマスクの着用の強制をしなかったため、感染者数が急増しました。ですが、検査体制の確立や感染者の隔離などをいち早く行ったおかげで段階的に感染状況は改善していき、2021年1月にワクチンが広く普及したことをきっかけにロックダウンを解除し、2021年6月に15か月ぶりに経済活動が再開されました。しかし、その後デルタ株の感染者の急増により、カリフォルニア州政府は再び渡航制限を含む規制を強化しサンフランシスコ市郡では8月より屋内公共施設の利用者にワクチン接種完了証明書の提示を要請しましたが2022年5月にこの措置を撤廃しました。

その中で、カリフォルニア州の公務員や12歳以下の生徒にワクチン接種を義務付けるなど、現在もなお厳格な感染対策を行っております。

2022年3月よりマスクは不要になりましたが、保健当局はその場の状況によってマスクを着用することを求めています。

グアム・サイパン(北マリアナ諸島)への渡航時の注意点

北マリアナ諸島を含む、グアム・サイパン準州では2020年3月14日に公衆衛生緊急事態令を発令し、島外からの入国制限が出されました。20日にはショッピングモールや娯楽施設、レストラン等の人が密集する施設を閉鎖する勧告を出しました。全ての学校が休校になり、現地住民には在宅しなければならない「ステイホーム令」が出されました。実質的なロックダウン(都市封鎖)が行われ、政府が感染者の対応等も迅速かつ効果的だったので広い感染拡大には至らず5月から経済活動が少しづつ緩和されていきました。

しかし、7月に再び感染が拡大してしまい、もう一度「ステイホーム令」が発令されたのですが、あまり効果的ではなく深刻な感染拡大となりました。

2023年5月12日から、グアムへ渡航する際にはワクチン接種証明書や新型コロナワクチンの陰性証明書の提示が不要になりました。コロナ陽性者は検査を受けた翌日から数えて5日間

の事故隔離が必要になります。体調不良の方は無理せず、グアム公衆衛生局に連絡しましょう。

帰国時の対応

日本へ帰国した時の対処方法について解説していきます。

2022年10月11日より日本の水際対策は大幅に緩和されました。アメリカから日本に帰国する際の新型コロナウィルス感染検査や、自宅などでの自己隔離が廃止されました。ただし、検疫所から入国時の検査によって別途指示があった場合はその指示に従う必要があります。

検査陽性の場合は、検疫所長の指示にしたがって指定の宿泊療養施設にて療養する必要があります。

2023年4月29日に出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書と、新型コロナウィルスワクチン接種を3回以上行っていることを示す証明書の提出も不要になりました。

5月8日以降は新たな感染症の流入を防ぐために、「感染症ゲノムサーベイランス」を運用しています。

中国からの帰国の際にも、有効なワクチン証明書や出国前検査証明書が不要となりました。現在では帰国・入国時に発熱や籍などの症状がある渡航者の中で、調査に協力していただける方のみに感染症ゲノムサーベイランスを実施しています。

また直行便での入国者に対しては臨時措置として「サンプル検査」を、他国・他地域からの入国者と同様の検査を有症状者にのみ行っています。

また、後述する「Visit Japan Web」は日本に帰国する際に検疫や税関等の書類手続きを大幅に短縮できます。登録がない場合は、各種書類の確認に時間がかかりますので、登録することをお勧めします。

Visit Japan Webで検疫手続

2023年4月29日から入国に必要だったワクチン接種証明書や出国前検査証明書が廃止になったことで、現在Visit Japan Webではファスト・トラックと呼ばれる検疫手続きの機能が廃止されています。

「ファストトラック」とは空港での検疫手続きを簡素化するシステムです。

日本へ入国・帰国する際には「ファスト・トラック」の利用を目的として、「Visit Japan Web」への登録が求められます。

「Visit Japan Web」の利用は義務ではなく、羽田空港・成田国際空港・中部国際空港・福岡空港・新千歳空港・那覇空港にて利用することができます。

STEP①アカウントを作成する
STEP②利用者情報の入力
STEP③入国・出国の予定を入力する
STEP④検疫手続き(ファストトラック)をする

検疫手続きは、3回目のワクチン接種証明書をアップロードを行わなくてはなりません。

アップロードが完了したら、トップページに「審査中」と表示されます。

その後、「審査完了」の文字が表示され青い画面に変われば終了です。

申請期限は、日本到着の6時間前までとされています。

搭乗の際に係員に「審査完了」の画面を提示する必要があります。

ワクチン接種証明書

ワクチン接種証明書は保健所等の公的機関が発行した3回のワクチン接種を完了したことを示す書類です。この書類がなければアメリカなどの海外への渡航は不可能でした。

現在、ワクチン接種証明書は提示する必要はありません。

陰性証明書

医師が発行した出国前72時間以内に行った新型コロナウィルス検査が陰性であることを示す証明書です。現在は、この陰性証明書の提示は不要になりました。お間違えないようにお願いいたします。

質問票

質問票は「Visit Japan Web」にて利用できる機能の一つです。入国・帰国の際に提出する必要があるものでした。専用Webにアクセスし回答フォームに情報を入力することでQRコードが発行され事前手続き(ファストトラック)が可能になります。

「My SOS」という入国者の居場所を確認するアプリがありましたが、2022年11月14日に「Visit Japan Web」に統合され利用できるようになりました。

また空港での検温と検疫官の判断によって、新型コロナウィルスの検査が必要になる場合がありますのでご注意ください。

アメリカ入国時の新型コロナウィルスワクチン接種証明書の提出についてまとめました。2023年9月現在では、コロナウイルスワクチン接種に関連した書類の提出はアメリカ入国には必要ありません。陰性証明書やワクチン接種証明書はオンラインでも証明できるとはいえ、非常に面倒くさいものでした。しかし、新型コロナの感染者が減少しつつある現状を受けて徐々にコロナ禍が終息しつつあります。しかし、現状に油断することなくしっかりと個人でできるコロナ対策をしましょう。アメリカ全州ではマスクの着用は任意となっていますが、人の密集している場所ではマスクをすることを心がけましょう。また少しでも体調に変化があることに気づいた場合は旅行先の近くにある医療機関に問診を受けに行き新型コロナウィルスに感染していないか確認しましょう。もし感染していた場合は、他人と距離をとり、宿泊先で自己隔離を行いましょう。隔離の終了の目安は

・解熱剤なしで24時間発熱が収まっている場合

・その他の症状がなくなり回復してきている場合

になります。

この記事を参考にして、新型コロナを含め感染症の対策はしっかり行いアメリカ渡航を楽しみましょう。

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