アメリカ旅行初心者の方は、文化の違いによるマナーに注意する必要があります。
日本では、麺をすすって食べてもマナー違反にはなりませんが、アメリカでは不快な音に感じる人が多いです。
そのため、アメリカ滞在中は、日本でのマナーに気を付けることも重要ですが、アメリカの文化に配慮し、現地の方に不快な思いをさせないよう最低限のマナーを知っておきましょう。
この記事では、生活・食事・ビジネスの3つに分けてそれぞれのマナーについて解説していきたいと思います。
マナー(礼儀作法)とは?
アメリカと日本は文化背景や歴史、生活様式が大きく異なります。そのため、社会に置けるマナーが全く異なるものが多いです。
そもそもマナー(礼儀作法)とは、「規制」や「ルール」といった守らなければならない規則というよりも、「周囲の人に不快な思いをさせない」ことに重きが置かれています。
そのため、日本でのマナーは多くの日本人が不快に感じないようなマナーに調節されています。
また、アメリカでも同じように多くのアメリカ人が不快に感じないように調節されたマナーがあります。
特に、アメリカは多くの移民を受け入れて成長した「移民大国」のため、様々な文化背景を持っている人々で構成されています。
日本ではそれほど問題がない行為・言葉であっても、人によっては失礼に感じたり、侮辱といて受け取られてしまう場合もあります。
これからアメリカに渡航する方は、事前にアメリカのマナーに触れておきましょう。
アメリカの日常生活におけるマナー
声掛けやあいさつはカジュアル
アメリカでは、全く知らない赤の他人でも通りすがりに話しかけられることがあります。
日本でも近所に住んでいる人に挨拶をする文化はありますが、アメリカでは街中を歩いていても「Hi,Hello.」「What’s up?」などと気軽に挨拶されることがあります。
すれ違った人に「その服素敵だね!どこで買ったの?(I love your clothes! Where did you buy it?)」などと話しかけられることもあります。
そんな時は無視したりせず、「ありがとう!○○で買ったよ!(Thank you!I bought it in ○○)」などと答えましょう。そのまま話し続ける必要はなく、一言二言話したらそのまま歩いて行ってしまって構いません。
バスは手を挙げて止める
アメリカでは、ただバス停に待っているだけではバスは止まってくれません。アメリカでバスに乗りたい場合は「バス停で待ち、手を挙げてバスを止める」までがセットです。
理由として、アメリカのバス停は日本と比べて簡素な物が多く、運転手が乗客なのかはっきりと確認が出来ないためです。
電車・バスを利用する際はレディーファースト
アメリカでは、座席に座る際にはレディーファーストです。
日本では、お年寄りや子供、妊婦さんや障がい者の方などに席を譲るのがマナーですが、アメリカでもそれは共通です。
加えて、男性はバスや電車に女性が座るのを待ってから乗車・座席に座るということを心がけなければなりません。
日本と同様に公共の場で汚い行為はNG
日本でも同じように、周囲の人が汚いと感じるような行為は公共の場所ではしないようにしましょう。
おならやげっぷ、痰や唾を吐き捨てるといった行為はもちろん、鼻をすするのも不快に思う人もいます。
普段からティッシュを持ち歩き、人気のないところで鼻をかみましょう。
咳、くしゃみするときは肘の内側に
アメリカでは、咳やくしゃみを抑えるときは手のひらではなく肘の内側で抑えます。
日本では手のひらで押さえても特にマナー違反になりませんが、アメリカでは感染症を映してしまう原因になると考えられているため、NGです。
また、近くでくしゃみをしている人がいたら知り合いでなくても「Bless you.」と声をかけるのが当たり前です。
「お大事に」や「神のご加護を」といったニュアンスの言葉になります。
もし自分がくしゃみをしたときに「Bless you.」と声をかけられたら「Thank you!」とお礼を言いましょう。
アメリカには撮影禁止の場所が多い
アメリカでは撮影が禁止されている場所が多いです。
例として、アメリカに最初に降り立つ玄関口である空港では、入国審査場や税関等をはじめ、撮影禁止になっている箇所が多いです。
写真撮影の際には撮影禁止のサインが近くにないかを確認し、十分注意してから写真撮影を行いましょう。
また、アメリカでは、一般人も肖像権については厳しく、写真撮影を気軽に行っていたらトラブルになってしまう可能性もあります。
そのため、安易に人にカメラを向けたり背景に他人が写りこむような事が無いように十分注意しましょう。
家の中も土足?入るときに確認しよう
アメリカでは、家の中でも土足で生活しているイメージがある方が多いと思いますが、実際は家庭によって異なります。
そのため、友人・知人の家にお邪魔する際には、まず土足で入っていいか確認しましょう。
洗濯物は外に干さない
アメリカ旅行に来ていて、ホテルに宿泊している方には縁のない話であるかもしれませんが、洗濯物を外干しすることはマナー違反です。
理由として、外干しは景観を損ねてしまったり、窃盗や放火のリスクがあることなどが挙げられます。
特に、ホームステイ中の方は選択をするときに注意しましょう。
すぐ後ろに人がいたらドアをおさえて待っててあげる
アメリカでは、自動ドアが多くありません。手動でドアを開ける際には、後ろに人がいないか確認し、すぐ後ろに人がいる場合はドアが閉まらないようにおさえて待ってあげましょう。
また、自分のためにドアを開けておいてくれた場合には、「Thank you!」とお礼を忘れないようにしましょう。
後ろの人を確認せずにドアを閉めてしまうのはマナー違反です。特にお年寄りの方や年上の方が後ろにいる場合は必ずドアを開けて待ってあげましょう。
ジェスチャーの意味の違いに注意
日本とアメリカでは、同じジェスチャーでも全く異なる意味になるものが多くあります。
例として、アメリカでは、手のひらを上にして手招きします。逆に、日本式の手のひらを下にする手招きは『あっちに行け』という意味になってしまいますので誤解が無いように手のひらの向きには注意しましょう。
アメリカの食事マナー
食事するときは音を立てない
アメリカで食事をする際に、パスタやヌードルをすすったり、ナイフやフォークとお皿がこすれて音を立ててしまうのはマナー違反です。
せっかくの食事を台無しにしてしまう原因になりかねないので、食事の際には、音を立てないことを意識しましょう。
テーブル担当のウェイターに注文する
アメリカで外食をする際には、テーブルごとに担当してくれるウェイターが決められています。
レストランによっては、最初に担当ウェイターが自己紹介をしてくれるところもありますので、最初に対応してくれた人に食事・ドリンクなどの注文をしましょう。
また、大声でウェイターを呼ぶのはマナー違反です。アイコンタクトや小さく手を挙げる等、謙虚なジェスチャーをすることを心がけましょう。
ウェイターが気づかないようであれば、「Excuse me?」と声をかけましょう。
日本にはないチップの仕組みを理解して、お互いに気持ち良く食事を!
アメリカにレストラン・カフェ・バーなど、サービスを受ける際に会計時にチップを渡すことはマナーです。
チップの相場は、ランチは会計の15%、ディナーは会計の20%ほどです。
また、デリバリーサービスやタクシー、ホテルのベッドメイキング等にもチップを支払う必要があります。
チップを渡さないでいると、店員の対応に問題があったと思われてしまい、不快な思いをさせてしまう事になります。
ただし、自分が不快な思いをした場合や、サービスが悪かったと感じた場合には、チップを渡す必要はありません。
食器を持ち上げて食べることはNG
日本では、お茶碗や小鉢を持って食べることが多いですが、アメリカでは食器を持ち上げて食べることは好ましくありません。
そのため、食器はテーブルに置いたまま、食べ物のほうを口に運びましょう。
アメリカのビジネスマナー
握手するときは右手で『グッ』と力を込めて握る
アメリカでは握手を左手ですると「嫌い・好きではない」事を示します。
そのため、握手は必ず右手でしましょう。
また、握手をするときにはグッと力強く握りましょう。
弱弱しく手を握ることは「Dead Fish Handshake(死んだ魚のような握手)」と言われており、ビジネスの場ではエネルギーがない腑抜けた人間であると思われ、悪い印象を与えかねません。
そのため、ビジネスの場で握手をするときは、「右手で力強く」を意識しましょう。
挨拶でハグをするのは関係性を築いたあと
アメリカをはじめとした欧米諸国では挨拶にハグをするイメージがあると思いますが、誰彼構わずハグをするわけではありません。
基本的に初対面では、ハグをすることが多くはありません。握手をするか言葉の挨拶がほとんどです。
しかし、言葉による挨拶、握手、ハグのどれになるかは人によりますので、相手が求めてきたものに対して柔軟に対応しましょう。
目を見て話す
日本ではビジネスの場において、目を見てプレゼンテーションを行ったり、話を聞くのは当たり前ですが、アメリカではより一般的です。
プレゼンや会議に限らず、職場で誰かと話すとき、話を聞くときはしっかり相手の目を見ることがマナーです。
目を見ないで話をすると、「嘘をついている」「信用ができない」「自信がない」といった印象を与えてしまいます。
積極的な発言は好印象
会社の雰囲気によりますが、会議やアイディア出しの時は意見がある場合は必ず発言をしましょう。
アメリカでは「色々な意見を参考にして最終的な決断をする」風潮が根強くありますので何も発言をしない人への評価は「やる気がない」「自主性がない」という風に捉えられてしまいます。
ビジネス上の人間関係なのに個人的な関係性を強いない
アメリカでは、日本でよくある仕事の延長線上にある接待や飲み、就業時間外の業務連絡などは日本ほど頻繁に行われません。
日系企業やアジア系の企業では多少ありますが欧米企業に勤めているアメリカ人は仕事とプライベートを完全に切り離して考える人が多いです。
そのため、むやみに飲み会などに誘うのは控えましょう。特に、飲みながらの説教や仕事の注意などを行うことは、ハラスメントに当たるとして会社から注意を受けてしまう場合もあります。
ただし、その人との人間関係が進展している場合は例外です。
仲良くなれた場合は、プライベートの時間に飲み等に誘ってみましょう。
日本でOKでもアメリカではマナー違反の行動
日本では、冗談などに該当する言動や不注意に当たる行動でも、アメリカではマナー違反にあたる可能性があります。
日本では当たり前と感じていてもアメリカでは失礼に当たるものをご紹介しますので、特に注意しましょう。
関係性がないのに失礼な表現をする
アメリカには様々な文化・宗教を持った人が集まる人種のるつぼです。そのため、価値観や善悪の判断基準が人によって様々です。
相手との関係性が築かれていないのに、容姿や身体的特徴、宗教、人種について理解のない言動を行うのは絶対にやめましょう。
例えば、
- 肌の色について話す
- 特定の宗教の布教方法や装束を揶揄する
- 美醜で人を判断する
- 文化を否定する
- 恋愛対象について言及する
等といった言動です。
また、英語のアクセントについて話すのも危険です。特にアジア・ヒスパニック・アフリカ・中東系の人種の話す英語を馬鹿にするような発言や冗談はトラブルの原因になります。
ジョークとして楽しめる関係性が築けるようになったとしても、行き過ぎた発言は相手を怒らせてしまう原因になります。
また、自分が人種や宗教、マイノリティだからという理由でジョークを言われたとしても、嫌な気分になった場合ははっきり「No」といいましょう。
自分から意思表示をすることが最も重要です。
相手の体型を揶揄する
日本では、人をほめる際に身体的特徴や体形について言及することが一般的です。しかし、アメリカでは、公共の場で人の容姿について言及することはデリカシーがない行為として、嫌われています。
また、下表でまとめているフレーズは、日本では誉め言葉であってもアメリカでは無礼な言葉であると思われることが多いフレーズです。
たとえ、褒めたいと思っての発言であっても、言及しないことが最善です。
アメリカでは侮辱になる日本の誉め言葉 | |
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目が大きい | |
顔が小さい | |
鼻が高い | |
肌が白い・美白 |
公共の場でアルコールを飲む
アメリカ国内では、公共の場での飲酒は禁止または制限が設けられています。
滞在している州によって公共の場での飲酒の制限は異なりますが、下記のいずれかに該当する事が多いです。
- 州全体で公共の場での飲酒が禁止されている
- 一部地域のみ公共の場での飲酒が禁止されている
- 特定の娯楽地区を除いて公共の場での飲酒は禁止されている
滞在先の州のお酒のマナーをあらかじめ調べておき、マナー違反にならないように注意しましょう。
子供を一人にする
アメリカでは12歳以下の子供を1人にしてはいけません。
「1人で買い物に行かせる」「1人で登下校させる」「1人で車内に待たせる」「1人で留守番させる」等、日本では当たり前の行動が、アメリカでは児童虐待やネグレクトを行っていると誤解されてしまう原因になります。
また、小さい子供が一人で遊ぶことも原則禁止です。
アメリカ人は児童虐待や誘拐など、子供に対する犯罪に敏感です。
子供を守るためにこのようなマナーが設けられています。
ひとりで行動させられるのは13歳以降の中学生になってからです。
子供連れでアメリカに旅行する方は十分注意しましょう。
まとめ
以上、アメリカのマナーについて解説しました。
日常生活・食事・ビジネスの観点からアメリカのマナーについて深堀しました。また、日本では許されるが、アメリカではマナー違反なものも数多くあります。
アメリカに渡航する際には、文化的な違いを受け入れ、周りに不快な思いをさせないためにこの記事を参考にしてマナーをしっかり守りましょう。