ビザ免除プログラム(VWP)の一部であるESTAやビザを利用してアメリカ旅行に行く方は滞在期間について注意する必要があります。ESTAで許される年間滞在期間は最長90日です。では、90日以上滞在するにはどんな方法があるのでしょうか。
この記事では、ESTAの滞在期間とオーバーステイしてしまった場合の罰則やESTAの 90日ルールについて詳しく解説し、アメリカへの渡航と滞在にどのように影響するのかについて解説します。
ESTAの1年間の滞在日数のルール
ESTAを利用してアメリカに渡航した場合、許される年間滞在期間は最大90日間です。ポイントは「最大90日」というところで、誰もがアメリカに90日間滞在することを許される訳ではありません。
実際のところ、滞在日数は米国の入国審査官によって検討され、決定します。
入国した際に「I-94」と呼ばれる入国審査官から渡される白い紙または電子入国記録アプリの「CBP One」に滞在日数と出入国の記録が記載されます。
もし入国審査官が計画していた日数より短期での滞在日数を許可した場合、支障がない場合は素直に受け入れましょう。
入国審査で希望する滞在日数の許可を貰う方法
審査官は移住する恐れのある人間を入国させるわけにはいきませんので、ESTAを利用して90日間滞在したい場合、90日にわたる予定を米国審査官が納得する形で説明できなければなりません。
また、旅行者自身も「自分はこのような予定で、〇〇日に確実に帰国します」という意思表示をすることが重要になります。
アメリカ渡航の90日ルール
90日ルールとは、ESTAを利用してアメリカに滞在できる期間は年間90日以内までというルールのことです。
そのため理屈に基づいて言えば、年間の滞在日数が90日を越えなければアメリカへの渡航を何回でも繰り返せるように思えます。しかし、頻繁にアメリカに行き来していたり年間滞在日数が90日を超えるような滞在を繰り返すと「米国国土安全保障省 税関・国境取締局(CBP)」や入国審査官がアメリカでの就労や移民を疑い、入国を許可しない場合があります。
そのため、ESTAを利用する場合は年間滞在日数が90日以内、年間渡航回数は3回までにしておきましょう。
アメリカ渡航が頻繁になる予定の方や90日以上の滞在が必要な方は大使館や領事館に連絡し、目的に応じたビザを取得しましょう。
アメリカ渡航の180日ルール
アメリカ渡航の場合の180日ルールとは、「ESTAやBビザを使って1年間に米国に滞在できる最長期間が180日だ」という俗説のことです。
これは間違いで、そのような規定はありません。
米国移民国籍法には外国人のアメリカ滞在可能日数に関する具体的な年間上限は記載されていませんが、目的のない入国を頻繁に繰り返していたり、アメリカで不法滞在・不法就労を行っている可能性ありと入国国審査官に判断された場合は入国拒否の対象にされてしまいます。
一度入国拒否になると、ビザやESTA申請に不利に働き、最悪の場合10年間入国禁止の措置を取られる可能性があります。90日ルールを守ってアメリカへの渡航を行いましょう。
90日以上アメリカに滞在する方法
アメリカに90日以上滞在するには、ビザを取得する必要があります。
特に、ESTAと渡航目的が同じ「Bビザ」がオススメです。
Bビザは2種類あり、渡航者がどのような目的でアメリカに行くのかによって滞在できる期間も変わります。短期商用の場合はB-1ビザ、旅行目的の場合はB-2ビザという短期滞在用のビザを取得します。
ビザもESTAと同じように入国を許可するものですが、渡航目的がはっきりしていてアメリカ滞在時の予定もしっかり伝えられなければ入国できない場合があります。また、入国審査官の判断により滞在期間を短縮される場合もあるので気を付けましょう。
また、滞在期間の延長を希望する場合、最大6ヶ月の延長申請が可能です。
しかし、延長が認められるには正当な理由がなければなりません。Bビザは滞在可能期間が最大180日ですので、ESTAの2倍の期間滞在できる可能性がありますが、取得には時間と手間が大きくかかります。
Bビザについては下記に詳しい情報が記載されていますので参考にしてください。
ESTAとビザの滞在期間の違い
ESTAとビザには滞在日数をはじめとして、様々な違いがあります。
それぞれの特徴を下表にてまとめましたので確認しましょう。
ESTA | Bビザ | |
---|---|---|
有効期間 | 2年間 またはパスポートの有効期限まで |
最高10年間 申請者の犯歴などによって左右される |
滞在可能期間 | 最長90日 | 最長180日 |
滞在期間の延長 | 不可 | 可 |
表に記載されている通り、ESTAは滞在期間が最大90日間と、Bビザと比較すると半分です。また、滞在期間の延長もできないため、オーバーステイにならないように注意が必要です。
有効期限や滞在期間の延長については下記の記事に詳しい解説が記載されています。
オーバーステイの罰則
アメリカではオーバーステイ、つまり不法滞在に対する罰則が厳格です。不法滞在は米国移民国籍法の違反になりますので必ず余裕のある渡航予定を立てましょう。
オーバーステイの罰則について、軽度の場合は罰金やペナルティがないことがありますが、故意に長期的な滞在をした場合はどうなるのでしょうか。不法滞在日数の短い順に列挙しましたので確認しましょう。
180日(半年)未満の超過責任
はっきりとしたペナルティは明記されていません。
また、ESTAやビザの申請自体も法的に禁止されることはありません。
しかし、オーバーステイの記録はパスポートに残りますので次回以降の渡米に支障をきたす恐れがあります。
180日以上1年未満の超過責任
180日以上1年未満の不法滞在がある場合、自動的にアメリカを出国した日から3年間入国を禁止されます。
1年以上の超過責任
10年間アメリカへの渡航が禁止されます。悪質な場合は、強制送還の対象になります。
違法な手段でアメリカに入国した場合は一生入国できなくなる場合もあるのでご注意ください。
オーバーステイしてしまった場合の再入国方法
オーバーステイしてしまった場合、アメリカに再入国する方法はあるのでしょうか。
ESTAでオーバーステイしてしまった場合とBビザでオーバーステイしてしまった場合に分けて解説していきます。
ESTAでオーバーステイしてしまった場合
ESTAでアメリカに滞在している際にオーバーステイしてしまった場合は、ESTAでの渡航はできなくなります。また、再申請を行って新しいESTAを取得したとしてもアメリカに再入国することはできません。
しかし、Bビザを利用することで再度アメリカに入国することができます。
Bビザでオーバーステイしてしまった場合
Bビザでオーバーステイしてしまった場合は、所持しているビザが無効になり、再入国することが出来なくなります。また、ESTAの取得も非常に難しくなります。
再入国を希望する場合は、アメリカ大使館でBビザの再申請が必要です。もし、意図的にオーバーステイを行った場合はビザの再取得は非常に難しくなります。
アメリカがオーバーステイを許さない理由
アメリカは不法移民問題に悩まされ続けています。不法移民による治安の悪化が深刻になったため、入国審査は厳しいものになりました。
不法移民とは非合法的にアメリカに滞在している人または、合法的に入国したが許可された期間を過ぎてもなおアメリカに滞在している人のことを指します。
オーバーステイしている人々は、アメリカの移民国籍法という法律を犯しているため、立場が旅行者から不法移民へ変化しています。
ビザ免除プログラムの一環であるESTAもアメリカに不法滞在するリスクがある悪質な旅行者を弾くために始まった制度です。
つまり、オーバーステイする旅行者はアメリカに危険を及ぼす可能性があると判断されてしまうため、上記のような厳罰が設けられているのです。
ESTA渡航者の滞在期間延長が認められる場合
- 新型コロナウイルス感染などやむを得ない理由でアメリカを出国できない場合、最大30日間の滞在延長を申請可能です。
- 航空便がキャンセルされたなどやむを得ない事情がある場合も同様に延長申請が可能です。
まとめ
以上がESTAに関する滞在期間のルールとアメリカのオーバーステイに対する罰則でした。
ESTAを利用してアメリカ旅行に行く場合は最大90日滞在できますが、入国審査官の判断により90日よりも短い日数しか滞在を許可されない場合もあります。旅行予定に支障がない場合、入国審査官の指示に従いましょう。
オーバーステイについては、180日未満であればほとんどペナルティなしで帰国することができますが、超過日数が180日以上になると3〜10年間のアメリカ入国禁止令が出されてしまいます。
思わずオーバーステイしてしまわないように、アメリカ旅行はゆとりもある計画にしましょう。
詳細な情報については、米国政府の公式ウェブサイトや、ESTAに関するよくある質問ページを確認してください。