インドのビザ(査証)にはどのような種類があるのか詳しく解説

インドは現在、中国を追い抜き世界一人口の多い国となっており、国内では様々な文化が入り交じり、多文化社会を形成しています。
歴史に関しては、「カースト制」が導入されていたことがあり、今でも影響が残っている地域が存在します。
インド料理では、日本でも馴染みのあるカレーやビリヤニ、世界一甘い菓子といわれているクラブ・ジャムンがあります。

このような歴史や文化が多彩なインドへ渡航する人は多くいます。
本記事では、インドへ渡航する際に必要になるビザについて、どのような種類があるのか解説していきますので、ぜひご覧ください。

インドのビザ(査証)について

日本からインドへ渡航する際は、ビザ取得が必要となります。
ビザの種類は、大使館へ訪問し取得する「レギュラービザ」、オンライン上で申請・取得が可能な「電子ビザ(e-Visa)」、インドへ入国する際に取得が可能な「到着ビザ(VOA)」の3種類があります。

下記で詳しく解説していきますのでご覧ください。

レギュラービザ

レギュラービザとは、大使館で直接取得する一般的なビザ(査証)になります。
物理ビザと言われ、取得した際にはパスポートにビザとなるシールが添付されます。

レギュラービザの種類について下記でまとめたのでご覧ください。

種類 申請要件
観光ビザ(T) ・観光や知人、親族への訪問
・短期ヨガへの参加
・語学、音楽、舞踏などの短期プログラム参加
商用ビザ(B) ・インドでの視察
・技術指導や機械の設置など、インド企業からの報酬が伴わない作業実施
・商談などの打ち合わせ
・企業フェアなどの参加
・スポーツイベント等にスタッフとしての参加
会議ビザ(C) ・国際サミットなどへの参加
・非政府機関、企業主催の国際会議への参加
就労ビザ(E) ・インド国内の企業での就労
プロジェクトビザ(P) ・電力、鉄鋼セクター事業への参加
記者ビザ(J) ・報道関係者としての入国
研究ビザ(R) ・研究員としてインド政府認可の機関、団体への参加
・インドの教育機関での客員教授
留学ビザ(S) ・インドの教育機関への留学
トランジットビザ(TR) ・乗り継ぎ目的での入国
エントリービザ(X) ・インド国内に住居がある外国人、
スポーツ、登山、商用ビザ保持者の扶養家族、
学生・研究ビザでインドを訪れる外国人の扶養家族、
雇用・プロジェクトビザ保持者の扶養家族の入国
医療ビザ/医療付添ビザ
(MED-1/MED-2)
・インドの医療機関で治療を受ける
・上記患者の付き添い
宣教ビザ(M) ・宣教師として布教活動を行う
外交ビザ/公用ビザ ・政府機関に所属し、外交目的での入国
・非外交官の外交使節団としての入国

レギュラービザは、居住地域を管轄している大使館や領事館でしか取得できないため注意してください。
また、ビザによって申請時の必要書類が異なるため、不明な場合は在日インド大使館または領事館へお問い合わせください。

在日インド大使館及び領事館の管轄地域は以下の通りです。

公館名 管轄地域
在日インド大使館 ・北海道 ・青森
・岩手  ・山形
・宮城  ・秋田
・福島  ・茨城
・栃木  ・群馬
・埼玉  ・千葉
・東京  ・神奈川
・新潟  ・富山
・石川  ・福井
・長野  ・岐阜
・山梨  ・静岡
・愛知  ・沖縄
在大阪・神戸インド総領事館 ・愛媛  ・福岡
・広島  ・兵庫
・香川  ・鹿児島
・高知  ・熊本
・京都  ・三重
・宮崎  ・長崎
・奈良  ・岡山
・大分  ・大阪
・佐賀  ・滋賀
・島根  ・徳島
・鳥取  ・和歌山
・山口

申請料金について

レギュラービザの申請料金は、国籍によって異なります。
日本国籍の方は、インドとの二国間協定に基づきトランジットビザ、その他のビザ(ビザの種類、滞在期間にかかわらず)の申請料金がそれぞれ一律になっています。

なお、ビザ申請料金に加え在日インド大使館への手数料として一律330円の費用が追加で発生します。

詳しくは下記をご参照ください。

日本国籍の方のビザ申請料金
種類 申請料金
トランジットビザ(TR) 110円
その他のビザ
(種類、有効期限を問わない)
870円

なお、日本国籍以外の方でインドとの二国間条約が締結されている国以外の国籍を保持している方は、下記の申請料金となります。

インドとの二国間協定を締結していない国の国籍を保持している方
種類 有効期限 申請料金(円)
観光ビザ(T) 1年以外/
シングル・マルチビザ
10830
1年以上5年以内/
マルチビザ
21660
商用ビザ(B) 1年以外/
シングル・マルチビザ
13000
1年以上5年以内/
マルチビザ
27080
エントリービザ(X) 6ヶ月以内/
シングル・マルチビザ
8670
6ヶ月以上1年以内/
マルチビザ
13000
1年以上5年以内/
マルチビザ
21600
就労ビザ(E)/
プロジェクトビザ(P)
6ヶ月以内/
シングル・マルチビザ
13000
6ヶ月以上1年以内/
マルチビザ
21660
1年以上5年以内/
マルチビザ
32490
留学ビザ(S) 留学期間又は5年間のうち短い期間を適用/
マルチビザ
8670
医療ビザ(MED-1)/
医療アテンダントビザ(MED-2)
6ヶ月以内/
シングル・マルチビザ
8670
6ヶ月状1年以内/
マルチビザ
13000
会議ビザ(C) 6ヶ月以内/
シングル・マルチビザ
8670
記者ビザ(J) 6ヶ月以内/
シングルビザ
(ダブルビザ)
8670
研究ビザ(R) 6ヶ月以内/
シングルビザ
(マルチビザ)
8670
6ヶ月以上1年以内/
マルチビザ
13000
1年以上5年以内/
マルチビザ
21660
宣教ビザ(M) 6ヶ月以内/
シングル・マルチビザ
8670
6ヶ月以上1年以内/
マルチビザ
13000
1年以上5年以内/
マルチビザ
21660
登山ビザ(MX) 6ヶ月以内/
シングルビザ
(マルチビザ)
8670
6ヶ月以上1年以内/
マルチビザ
13000
研修ビザ(I) 1年以内/
マルチビザ
8670
映画ビザ(F) 1年以内/
マルチビザ
※最長期限は1年間です。
13000
トランジットビザ 15日以内/
シングル・ダブルビザ
2170

※インドとの二国間条約を締結している国の国籍を保持している方は上記の大使館のサイトにてご確認ください。

電子ビザ(e-Visa)

電子ビザ(e-Visa)とは、オンライン上で申請・取得が可能なビザ(査証)になります。
なお、電子ビザを利用してインドへ渡航する際は取得した電子ビザのコピーを携帯する必要があるため注意が必要です。

申請できるビザは以下の通りです。

種類 申請資格
電子観光ビザ 渡航目的が、レクリエーション、観光、友人や親戚への訪問、
短期ヨガプログラムへの参加、その他短期コースへの参加をする者
※プログラムやコースは、受講期間が6ヶ月を超えず、
資格証明書や受講証書の発行がないものに限る
電子商用ビザ 短期間の業務に従事する者
※最長1カ月間かつ
インド国内の企業からの金銭の支払いを伴わない業務に限る
電子会議ビザ インド政府の関連組織などが主催する会議、セミナー、ワークショップへの
参加者および、民間企業、団体が主催する会議の参加者
電子医療ビザ インドの医療制度に基づく治療を含む医療行為を行う医者
電子医療アテンダントビザ 電子医療ビザ所持者の付き添いとして業務を行う医療従事者
オンラインビザが申請可能な国
・アフガニスタン   ・アルバニア     ・アンドラ      ・アルバ
・アンゴラ      ・アンギラ      ・アルゼンチン    ・アルメニア
・バハマ       ・オーストラリア   ・オーストリア    ・アゼルバイジャン
・バルバドス     ・ベラルーシ     ・ベルギー      ・ベリーズ
・ベナン       ・ボリビア      ・ボツワナ      ・ブラジル
・ブルネイ      ・ブルガリア     ・ブルンジ      ・カンボジア
・カーボベルデ    ・ケイマン島     ・チリ        ・コロンビア
・コモロ       ・クック諸島     ・コスタリカ     ・クロアチア
・コートジボワール  ・キューバ      ・キプロス      ・チェコ共和国
・デンマーク     ・ジブチ       ・東ティモール    ・エクアドル
・赤道ギニア     ・エルサルバドル   ・エリトリア     ・エストニア
・フィジー      ・フィンランド    ・フランス      ・ガボン
・ガンビア      ・ジョージア     ・ドイツ       ・ガーナ
・ギリシャ      ・グレナダ      ・グアテマラ     ・ギニア
・ガイアナ      ・ハイチ       ・ホンジュラス    ・ハンガリー
・アイスランド    ・インドネシア    ・アイルランド    ・イスラエル
・イタリア      ・ジャマイカ     ・日本        ・ヨルダン
・カザフスタン    ・ケニア       ・キリバス      ・キルギス
・ラオス       ・ラトビア      ・レソト       ・リベリア
・リヒテンシュタイン ・リトアニア     ・ルクセンブルク   ・マケドニア
・マダガスカル    ・マラウイ      ・マレーシア     ・マリ
・マルタ       ・マーシャル諸島   ・モーリシャス    ・メキシコ
・ミクロネシア    ・モルドバ      ・モナコ       ・モンゴル
・モンテネグロ    ・モントセラト    ・モザンビーク    ・ミャンマー
・ナミビア      ・ナウル       ・オランダ      ・ニュージーランド
・ニカラグア     ・ニジェール共和国  ・ニウエ島      ・ノルウェー
・オマーン      ・パラオ       ・パレスチナ     ・パナマ
・パラグアイ     ・ペルー       ・フィリピン     ・ポーランド
・ポルトガル     ・大韓民国      ・ルーマニア     ・ロシア
・ルワンダ      ・セントルシア    ・サモア       ・サンマリノ
・サウジアラビア   ・セネガル      ・セルビア      ・セーシェル
・シエラレオネ    ・シンガポール    ・スロバキア     ・スロベニア
・ソロモン諸島    ・南アフリカ     ・スペイン      ・スリランカ
・スリナム      ・スワジランド    ・スウェーデン    ・スイス
・台湾        ・タジキスタン    ・タンザニア     ・タイ
・トーゴ       ・トンガ       ・ツバル       ・ウガンダ
・アラブ首長国連邦  ・ウクライナ     ・イギリス      ・ウルグアイ
・アメリカ合衆国   ・ウズベキスタン   ・バヌアツ      ・バチカン市国教皇庁
・ベネズエラ     ・ベトナム      ・ザンビアとジンバブエ
・アンティグア・バーブーダ         ・ボスニア・ヘルツェゴビナ
・カメルーン連邦共和国           ・ドミニカドミニカ共和国
・パプアニューギニア            ・セントクリストファー・ネイビス
・トリニダード・トバゴ           ・タークス・カイコス島
・セントビンセントおよびグレナディーン諸島

電子ビザで出入国が可能な空港について

電子ビザを利用したインド渡航の際は、対応した空港で出入国する必要があります。
電子ビザ対応の空港について下記一覧でご確認ください。

電子ビザで
出入国可能な空港
・アムリトサル    ・チャンティーガル
・デリー       ・ジャイプール
・ラクナウ      ・バラナシ
・ガヤ        ・バグドグラ
・グワーハーティー  ・コルカタ
・プネー       ・アーメダバード
・ナーグブル     ・ブハネシュワル
・ムンバイ      ・ハイデラバード
・ゴア(ダボリム)  ・ビジャーカパナトム
・ゴア(モパ)    ・バンガロール
・マンガロール    ・チェンナイ
・ポートブレア    ・カヌール
・カリカット     ・コーチ
・コインバトール   ・マドゥライ
・ティルチラーパッリ ・ティルヴァナンタプラム
電子ビザで
出国のみが可能な空港
・スリナガル ・ティルパテイ
・スラト   ・ビジャヤワダ ・パトナ

申請料金について

電子ビザは国によって異なります。
また、電子ビザ申請時には該当する電子ビザ申請料金の他に2.5%の銀行取引手数料が加算されます。
日本国籍の方の申請料金について下記表にまとめましたのでご覧ください。

日本国籍の方の申請料金
ビザの種類 申請料金(US$)
電子観光ビザ 有効期限:30日
<4月~6月>
10
有効期限:30日
<7月~3月>
25
有効期限:1年 25
有効期限:5年 25
電子商用ビザ 25
電子会議ビザ 25
電子医療ビザ 25
電子医療アテンダントビザ 25

その他の国に対しての申請料金に関しては下記PDFファイルでご確認ください。
観光ビザ申請料一覧:https://indianvisaonline.gov.in/evisa/images/Etourist_fee_final.pdf
その他申請料一覧:https://indianvisaonline.gov.in/evisa/images/eTV_revised_fee_final.pdf

到着時ビザ(VOA)

到着ビザ(VOA:Visa On Arrival)とは、インドへ渡航する際に事前にビザの取得をせず、入国時に入国審査とともにビザの取得を行うことが可能なビザ(査証)です。
到着ビザの利用が可能な国は、日本と韓国および過去にインドで電子ビザまたはレギュラービザの取得をしたことのあるアラブ首長国連邦の方に限られます。
入国目的が観光、商用、会議への出席および医療目的の渡航者で、滞在期間が60日以内の方に限られます。また、パスポート(旅券)の有効期限が6ヶ月以上残っていることも条件になるため、注意が必要です。

到着ビザは、事前に申請書に必要事項を記入し、インド入国時に提出することで取得ができます。しかし、手続きの際に、英語でのやり取りを必要とし、発効までに時間がかかる場合があるため、英語が苦手な方や急用で入国時に時間をかけられない方は、事前に電子ビザやレギュラービザを取得することをおすすめします。
また、到着ビザに対応している空港は、デリー、ムンバイ、チェンナイ、コルカタ、バンガロール、ハイデラバードの6空港に限られるため、注意しましょう。

申請料金について

到着ビザは、インド入国時に発給する際に手数料が発生します。
手数料は、到着ビザの発給を受ける方(子供を含む)1名につき2,000ルピー(3,605.82円:2023年10月現在)です。
なお、お支払いは2,000ルピーまたは相当額の外資で行うことが可能です。

インド入国時の留意点

電子ビザ及び到着ビザでのインド渡航時の注意点

電子ビザ及び到着ビザは、出入国可能な空港が限られています。
上記の空港一覧でしっかりと確認をし、出入国を行うようにしましょう。

また、電子ビザを利用する際は、インド入国時にパスポートと電子ビザのコピーが必要となります。
電子ビザの取得後に必ずコピーを取り、インド渡航時に携帯するようにしてください。

なお、到着ビザの発給には英語でのやり取りが必要になり、場合によっては多くの時間を有する可能性があります。そのため、急ぎでの入国が必要な方や英語が苦手な方は、レギュラービザや電子ビザを事前に取得しましょう。

レギュラービザも含め、インド入国時には入国カードの提出が必要です。入国カードはインドへの航空中に機内で配布されるため、事前に記入をして入国審査の際に提出をしましょう。

インド国内の情勢について

2003年に、インド・パキスタン両軍による停戦合意が成立しましたが、それ以降も管理ライン(LoC)付近では両軍間の銃撃戦が行われています。また、2019年には両国の空軍に攻撃が行われ、緊張が高まりました。

その他、武力勢力の活動により、住民に対する被害も多発しています。
これに伴い、日本外務省では、ジャンム・カシミール準州及びラダック連邦直轄領の管理ライン(LoC)付近に対して危険レベルを4に設定しています。そのため、該当地域への渡航はしないようにしましょう。
また、インドの一部地域では、独立を目指す複数の武装勢力により、市場、警察署、変電所やパイプラインを標的としたテロ事件が多発しています。

インド滞在中の際は、上記の施設や人影の少ない場所には不用意に行かないようにし、万一のリスクに備えましょう。

その他の地域に関する情報は下記の外務省海外安全ホームページにて確認いただけます。
渡航の際には事前に確認をし、渡航を行いましょう。
外務省海外安全ホームぺージ

いかがでしたでしょうか?
インドは人口が多いため、様々な文化や歴史が混在しています。そのため、インド国内でも地域によって習慣や文化が異なっているため、とても不思議な感覚を味わえます。
また、カレーをはじめとするインド料理は日本でもすごく有名です。

そして、インドと日本での二国間協定の締結に伴い、ビザの申請料が他国のビザに対して安くなっている事で、比較的渡航しやすい国です。
ぜひこの記事を参考にインドへ渡航し、インド料理や様々なインドの文化・歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

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