この7月、米国と日本の航空便数は、パンデミック前の水準の90%に達する見込みです。
概要:
- 米国の航空会社は日本路線を増強し、2024年7月までにパンデミック前の運航数にほぼ復帰する見込み
- ユナイテッド航空が日米間の週間フライト数で首位に立つものの、競争は依然として激しいまま
- アメリカン航空が羽田路線を獲得し、米国とアジアの航空会社間の関係を再構築
アメリカの主要航空会社、特にユナイテッド航空とアメリカン航空を含む航空会社が、日本路線を拡大しています。
ユナイテッド航空は今夏、グアム-東京間の航空便、アメリカン航空はニューヨーク-東京間を開始します。2024年7月までに、日米間の航空市場は新型コロナウイルス流行前とほぼ同程度まで回復します。
世界的な航空分析を行っているCiriumのデータによると、2024年7月までに日米間のフライト数と座席数は2019年の水準の94%に達する見込みです。パンデミック前と後の差は、米国とアジアのキャリアが提供する利用可能座席マイル(ASM)でさらに縮まり、2019年の同月と比較して97%になります。
旅行期間 | フライト | 席 | ASM(Available Seat Miles) |
---|---|---|---|
2024年7月 | 4,484 | 1,088,036 | 5,458,318,986 |
2019年7月 | 4,765 | 1,156,137 | 5,625,616,330 |
違い | (-281) | (-68,101) | (-167,297,344) |
復元された割合 | 94% | 94% | 97% |
※ASM:ある期間の乗客輸送に使用できる座席数の合計数を飛行距離(マイル)でかけたもの。
今年7月、日米間を運航する航空会社は8社まで増加予定
この夏、2国間を運航するアメリカの航空会社は4社、アジア圏の航空会社が4社の合計8社になる予定です。アメリカの航空会社はアメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空、ハワイアン航空。アジアの航空会社としては、全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)、ジップエア東京、シンガポール航空があります。
一週間あたりの往復便数に関しては、7月のある週を例にすると、ユナイテッド航空が最多の週間往復便数である294便を運航します。一方で、シンガポール航空が最も少ない14便を提供します。ユナイテッド航空は世界的に見ても供給量で大きくリードしています。ユナイテッド航空の次に運航数が多い航空会社は日本航空(JAL)の234便です。
ランク | 航空会社 | 毎週の往復 |
---|---|---|
1 | ユナイテッド航空 | 294 |
2 | 日本航空(JAL) | 234 |
3 | 全日本空輸(ANA) | 210 |
4 | デルタ航空 | 84 |
5 | アメリカン航空 | 70 |
6 | ハワイアン航空 | 56 |
7 | ジップエア 東京 | 48 |
8 | シンガポール航空 | 14 |
合計 | 1,010 |
ユナイテッド航空と全日本空輸(ANA)は合弁事業で提携していますが、アメリカン航空と日本航空も同様に合弁事業で事業提携を組んでいます。ユナイテッド航空と全日本空輸(ANA)は一週間の航空便の合計が504便で、ほぼ50%の往復便を提供しています。一方で、JALとアメリカンは週間航空便数が304便となり、後を追う形となっています。
パンデミック以降、アジアの格安航空会社4社が日米間航空市場から撤退
2019年7月との比較では、多くのアジアの格安航空会社が日米間の運航を行っていたのにもかかわらず、現在ではもう運行している会社は無く、市場から撤退しています。
撤退したアジアの航空会社には、ティーウェイ航空、チェジュ航空、エアアジアX、プサン航空が含まれますが、これらの運航頻度は主要な航空会社と比較してはるかに少なかったです。
さらに、これらのサービスは本土ではなく米国太平洋諸島に集中していました。
さらに、これらのサービスは米国本土ではなく、太平洋の米国領諸島に集中していました。新型コロナウイルス感染拡大前、チェジュ航空はグアムと大阪(KIX)/東京成田(NRT)間を毎日運航していました。また、エアアジアXはホノルル(HNL)と成田間を週4回運航していました。ティーウェイ航空はグアムと大阪/成田間を毎日運航しており、名古屋への1便もありました。プサン航空はグアムと成田間の1便を運航していました。
デルタ航空とハワイアン航空は2019年以降、日本路線に大きな変更を加えています
2019年にデルタ航空は東京以外の路線を縮小し、ホノルルから名古屋と大阪、シアトルから大阪、デトロイトから名古屋へのデイリー便を撤退しました。
これにより、ユナイテッド航空がグアムから福岡、大阪、名古屋へ、サンフランシスコから大阪への東京以外の市場で唯一運航する米国のキャリアとなりました。
さらに、デルタ航空は長年にわたりポートランド-東京成田間の直行便を運航してきましたが、2023年末にこの発着枠を1つ中止しました。
ハワイアン航空はパンデミック前にホノルルから東京成田、大阪、東京羽田、札幌(CTS)へ、コナ(KOA)から東京羽田への航空便を運航していましたが、その後札幌へのサービスを福岡(FUK)に置き換えました。
また、ハワイアン航空は日本からの旅行客が伸び悩んでいる市場状況を理由に、コナから羽田への発着枠を返却したと発表しました。
上記のように、デルタ航空とハワイアン航空は日米間の航空便数を縮小する方針となっています。
まとめ
日米間を運航する航空会社の経済競争は一層厳しくなることが予想されます。しかし、私たち利用者にとってはサービスの向上や運航便の増加等によって得られるメリットは非常に大きいです。
特に日米間の航空サービスは東京が中心となり、訪日するアメリカ人だけではなく、日本からアメリカに渡航する旅行者にとってもより快適な空の旅を送ることができるでしょう。
格安航空会社(LCC)の発着便数は、2019年と比較して少なくなっていますが、ジップエア東京は、この夏、成田からホノルル(HNL)、ロサンゼルス(LAX)、サンフランシスコ(SFO)、サンノゼ(SJC)への路線を運航する予定です。
(引用:Simple Flying)