カリフォルニア州政府は新型コロナの隔離規則を変更し、COVID-19に感染しているカリフォルニア州民であっても、症状が改善している限り、隔離したり陰性と判定されたりすることなく普段の生活をすることができるようになった。
カリフォルニア州公衆衛生局トップのトマス・アラゴン医師は先週、COVID-19感染者に5日間の隔離を奨励していた同州の以前の命令を予告なく取り消した。
新しい保健衛生命令では、COVID-19に感染しているカリフォルニア州民は、症状が改善し、薬なしで24時間発熱がない場合に限り、職場や学校に戻ることができる。無症状で陽性と判定された人は感染症とはみなされず、隔離の必要はないという。
「最低5日間は家にいる代わりに、体調が良くなり始めたら職場や学校に戻ってもよい」と、州の公衆衛生当局は署名のない声明で述べている。
このガイドラインは、カリフォルニア州がCOVID-19、季節性インフルエンザ、RSVとして知られる呼吸器合胞体ウイルスによる呼吸器系疾患の大流行のときに発表された。
州のデータによると、インフルエンザとCOVID-19による入院患者数はともに1月第1週にピークを迎え、その後は減少傾向にある。COVID-19感染者は、症状の有無にかかわらず10日間マスクを着用する必要がある。
新ガイドラインは、病院や老人ホームのようなリスクの高い医療施設の従業員には適用されない。
陰性と判定されるまで隔離を希望する労働者に対して、雇用主が職場復帰を要求できるかどうかは不明である。州の職場安全法を施行する「Cal/OSHA」は、期限までにこの規則に関する明確な回答を求めても回答しなかった。
新ガイドラインはカリフォルニア州のCOVID-19戦略の大きな転換を意味するが、必ずしも予期せぬ変化ではないと言う専門家もいる。
UCSFヘルスの感染症専門家であるピーター・チンホン博士は、
「子供を含めた集団免疫の量と、COVIDを予防・治療するための選択肢の多さを考えれば、妥当なことだと思います。高齢者や免疫不全の人のそばではマスクを着用し、感染を警戒しなければなりません。」と述べている。
米国疾病予防管理センターが6月に発表した全国調査では、16歳以上の約96%がワクチン接種、過去の感染、あるいはその両方によってCOVID-19の免疫を獲得していると推定された。
州のデータによると、カリフォルニア州民のうち、最新のワクチン接種を完全に受けている人は比較的少ないが(約12%)、少なくとも82.5%の人が少なくとも1回はCOVID-19の予防接種を受けている。
同州の動きは、COVID-19を他の流行性呼吸器感染症と同様に扱う方向へのシフトを示すものでもある。「多くの人々がCOVID-19や他の呼吸器感染症に感染している可能性があるが、検査をしていないし、自分がどのような感染症に罹患しているかも知らない。
公衆衛生のアプローチと勧告を更新することで、複数の呼吸器ウイルスに対するより広範で多面的なアプローチに我々の勧告が組み込まれる」と同局関係者は声明で述べている。
オークランドにあるルーツ・コミュニティ・ヘルスセンターの最高責任者であるノハ・アボエラタ医師は、州の新しい方向性に失望を表明している多くのコミュニティ・ドクターの一人である。
COVID-19は必ずしも他の呼吸器系ウイルスのようにふるまうわけではなく、入院や死亡が冬期以外のインフルエンザのようにゼロになることはない。
「検査で検出されるだけの量があれば、感染させるだけの量があると、私たちはまだ考えています。
ですから、他の人の周りに行く前に、陰性であることを確認することをお勧めします。」とアボエラータ医師は助言した。
カリフォルニアの学校はCOVID-19の新ルールに適応する
同州の新戦略はまた、長期の隔離とオンライン授業が生徒の学習に悪影響を及ぼし、若者の精神衛生上の問題を蔓延させた学校での混乱を最小限に抑えようとしている。
カリフォルニア州の学区の中には、新ガイドラインを即座に採用したところもあれば、地元の公衆衛生局からの指示を待っているというところもあった。
オークランド学区は、州がガイドラインを発表して間もなく、保護者に新方針を通知した学区のひとつである。COVID-19が陽性であっても、無症状であり、マスクを着用し、免疫不全の人など発病リスクの高い人を避ければ、生徒や職員は登校できると、同区は家族に宛てた電子メールで発表した。
州のガイドラインに従い、COVID-19の症状がある者は自宅待機となるが、症状が改善すれば学校に登校することができる。同区は、マスクとCOVID-19検査薬の在庫を継続し、教室には空気清浄機を置くとしている。
「ほとんどの親にとっては何も変わらない。2年前にこのガイドラインがあっても結果は同じだったでしょう。私たちは皆、子供の成長にとって学校は重要であることを知っています。」
スコット・デヴィソン、カールスバッド統一学区の保護者は上記のように述べ、子供が登校し、授業を受けることの重要さを強調している。
州最大の学区であるロサンゼルス統一学区は、郡の公衆衛生局からの指示を待っていると述べた。フレズノ・ユニファイドは家族への注意書きで、COVID-19陽性と判定された生徒と職員には、症状の有無にかかわらず自宅待機を勧めた。
この反応は、2020年のCOVID-19に対する学校の対応を反映している。
ほとんどの地区がその年の3月に休校となったが、春先から特別支援学級の生徒を復帰させた地区もあれば、2021年秋まで対面授業を再開しなかった地区(主に大規模地区)もあった。
COVIDルールに賛同する教師と保護者
多くの地区では、再開の決定は教員組合との交渉にかかっていた。今週、カリフォルニア州最大の教職員組合は、州によるCOVID-19ガイドラインの更新を概ね支持し、学校は職員、生徒、家族の安全を守るために十分な安全対策を採用していると述べた。
「われわれは常にリスクの高い個人を懸念しており、状況を監視し続け、必要であれば(契約を)再開するつもりだ」
とカリフォルニア教員組合のスポークスマン、レイチェル・ワリノは語った。
「しかし、空気清浄機、検査、マスク、合理的配慮など、パンデミックの最盛期に行われた交渉で、今のところは十分だと確信しています。」と述べ、教員組合の対応に賛成する意向だ。
新ガイドラインは生徒の登校を促すものであるため、保護者は安堵している。
州全体では、何千人もの生徒が遠隔地での学習の後、まだ学業に追いつくのに苦労しており、隔離中に精神衛生上の問題に苦しんだ生徒も多い。
サンディエゴ近郊のカールスバッド・ユニファイドの保護者グループの一員であるスコット・デイヴィソン氏は、保護者たちは州や地域のガイドラインに関係なく、無症状の生徒を1年以上学校に通わせてきたと述べた。
カリフォルニアに住む社会的弱者への配慮は?
障害者支援と社会的弱者への平等を擁護する人々は、新しいガイドラインに特に批判的である。彼らは、この変更がカリフォルニア州の弱い立場にある人々の感染リスクを高める可能性があると主張している。
「この方針は、科学、公平性、公衆衛生に基づくものではありません。免疫不全者や障害者の命を軽んじ、長期的なCOVIDのリスクを完全に無視しています。」
と、長期COVIDの影響を研究するPatient-Led Research Collaborativeの共同設立者であるリサ・マコーケル氏は主張強いる。
長期のCOVIDには治療法がなく、何年も衰弱が続く患者もいる。
カリフォルニア州当局はここ数ヶ月の間に、州のCOVID-19対応戦略に他にも大きな変更を加えており、12月には州が備蓄していたパクスロビドの大部分を連邦政府に返還し、カリフォルニア州の無料抗ウイルスプログラムは事実上終了した。
住民がパクスロビドの処方やワクチンの予約を受け付けていた無料のCOVID-19ホットラインも2月末で閉鎖されると、州の公衆衛生当局が声明の中でカルマターズに語った。州は2022年7月以来、230万ドルをこのホットラインに費やしてきた。
これらの変更も、公平性擁護者にとっては心配なことである。
「誰もが主治医を持っているわけではありません。主治医がいないか、治療に詳しいかかりつけ医にアクセスできなければ、新型コロナウイルスの治療や予防をするのは難しいでしょう」とアボエラタ氏。
州によって規制されている健康保険は、ネットワーク内のCOVID-19検査、ワクチン接種、治療を永久に無料でカバーすることが義務付けられているが、カリフォルニア州民の約600万人は、ワクチンだけをカバーすることが義務付けられている連邦政府規制の保険に加入している。そのため、カリフォルニア州民の間では、保険の確認を行うことが重要視されている。
カリフォルニアでは依然として、新型コロナウイルスをはじめとした呼吸器系不全ウイルスが猛威をふるっている。
そのため、日本から、カリフォルニア州に渡航する方は感染症対策を十分に行う準備を行った方が良いだろう。
(引用:Calmatters)