「ワクチン打ってないけど、アメリカ旅行はできる?」「アメリカへ行く時はワクチン何回接種すればいいの?」と疑問に思っている方はいませんか?
現在アメリカでは新型コロナウイルス感染症の感染拡大が落ち着いたことにより、水際対策の緩和及び入国制限の撤回をしています。
また、以前までアメリカ入国時に義務付けられていたCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が指定する宣誓書及び情報提供書の提出が必要ありません。
では、アメリカ渡航時のコロナワクチンの摂取の必要性はどうなっているのでしょうか。
本記事では、ワクチンなしでもアメリカ旅行を行うことができるのか徹底的に解説していきます。さらに、アメリカ入国時及び日本への帰国時の必要要件に加え、アメリカの新型コロナウイルス感染症に関する最新情報までご紹介していきますので、ぜひご覧ください。
コロナワクチン未接種でもアメリカ旅行は可能?
2020年より膨大な脅威を振るっていたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)ですが、2024年現在は既に落ち着きをみせており、様々な国と地域で感染拡大防止の水際対策や入国制限を解除しています。
では、現在アメリカへ渡航する際の新型コロナウイルス感染症に対する対策は、どのようになっているのでしょうか。
ここでは、現在アメリカで実施されている新型コロナウイルス感染症に対する対策について解説していきます。さらに、日本へ帰国する方に対しての対策についても解説しますので、ぜひご覧ください。
米国から日本への帰国又は入国者のワクチン接種は不要
以前までは、日本への帰国者又は入国者で3回目のコロナワクチン接種を行っていない方は、帰国後7日間の自己隔離が必要となっていました。
しかし2023年4月28日以降には、これまで求められていた「3回目のワクチン接種証明書」または「出国前72時間以内に行ったPCR検査による陰性証明書」の提示が撤廃されました。
これに伴い現在では、アメリカから帰国する方のワクチン接種の有無を問わず空港での抗原検査・自宅等での自己隔離は不要となっています。
したがって、日本へ入国又は帰国する際のコロナワクチン接種は不要となり、ワクチン未接種の方でも渡航が可能となりました。
コロナワクチン接種証明書及びPCR陰性証明書の提示・提出が不要
今までアメリカへ渡航する際、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、ESTAの申請とともに新型コロナウイルス陰性証明書および1日以内に行ったPCR検査の陰性証明書、ワクチン接種完了証明書の提示が義務付けられていました。
2022年6月10日、アメリカでは入国時の新型コロナウイルス陰性証明書の提示義務が撤廃されました。また、同年6月12日には入国前1日以内に行ったPCR検査の陰性証明書の提示も不要となりました。
また、2023年5月11日にはアメリカ政府が新型コロナウイルス感染症に伴う水際対策及び入国制限を撤廃しました。これに伴い、既に提示の必要がなくなっていたPCR検査による陰性証明書に加え、同年5月12日よりワクチン接種完了証明書(海外渡航用新型コロナウイルスワクチン接種証明書)の提示が不要となりました。
そのため現在は、ESTA又はビザ(査証)の取得のみでアメリカ旅行を行うことができます。
子供のワクチン接種について
アメリカでは2021年10月25日に、国外から入国する渡航者に向けてコロナワクチン摂取の義務付けを行っていました。なお、この措置は18歳未満の子供と健康上又は宗教上の理由によってワクチン接種ができない方は、対象外となっています。
そのため、以前まではワクチン接種なしの18歳未満の子供又は健康上又は宗教上の理由によってワクチン接種ができない方、出発1日前に行ったPCR検査の陰性証明書の提示が必要でした。
しかし、2023年5月11日にアメリカ政府により行われた水際対策及び入国制限の撤廃により、通常の渡航者同様、入国前1日以内に行ったPCR検査の陰性証明書の提示は不要となりました。
したがって、現在は18歳未満の子供に限らず、アメリカへ入国する全ての渡航者はコロナワクチンの摂取が必要なくなっています。
アメリカ国内の対策について
アメリカ旅行で訪れる方が多い地域でのコロナウイルス感染症の対策についてまとめました。
ニューヨーク州
2020年3月22日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、ニューヨーク州では自宅待機命令を発令し、ロックダウンを行いました。しかし、ワクチンの普及と感染者の減少に伴い、規制の緩和をしました。
2021年8月には感染者の急増により、再び規制が強化されました。それに伴い、屋内施設の利用者に対しワクチンパスポート(Key to NYC PASS)を導入していましたが、2022年3月に廃止されました。
2024年1月現在、ニューヨークなどアメリカの一部地域で新型コロナウイルス及びインフルエンザの感染が拡大しています。
そのため、ニューヨーク市内の医療機関及び介護施設でのマスク着用の義務付けが再開したため、渡航の際は注意してください。
カリフォルニア州(ロサンゼルス群)
カリフォルニア州(ロサンゼルス群)は、2020年3月19日に国内で初めて外出禁止令を発令しました。その後、2021年1月にカリフォルニア州全域に対して外出禁止命令の解除をしています。
同年6月にはワクチンの普及により、15か月ぶりに経済活動が再開しました。しかし、デルタ株の蔓延に伴い再び規制措置を強化しました。また、8月にはロサンゼルス郡・サンフランシスコ市郡で屋内施設利用者のワクチン接種完了証明書提示を義務付けました。
2022年5月、屋内施設利用者に対して義務付けられていたワクチン接種完了証明書の提示を撤廃しましたが、現在でも全ての公務員や私立・公立学校に通う12歳以上の生徒にワクチン接種の義務付けがなされています。
カリフォルニア州では2022年3月より屋内外問わずマスクの着用は不要になっていますが、状況に応じて自主的な着用を呼びかけています。
2024年1月現在、ニューヨークなどアメリカの一部地域で新型コロナウイルス及びインフルエンザの感染が拡大しています。
そのため、カリフォルニアの医療機関の患者と医療従事者にマスクの着用が義務付けられています。
グアム・サイパン(北マリアナ諸島)
北マリアナ諸島を含むサイパンとグアム準州は、新型コロナウイルス感染症の脅威が落ち着いてきた事により、入国制限を段階的に緩和しています。2023年5月12日より、日本出国前のワクチン接種完了証明書とPCR検査による陰性証明書の提示は不要になっています。また、島外からの渡航者は、入国後10日間の自己隔離が不要になりました。
変更点を表でまとめました。
渡航時の必要要件 | |
---|---|
変更前 |
・ESTA又はビザの取得 ・ワクチン接種完了書の提示 ・PCR検査による陰性証明書の提示 ・入国後10日間の自己隔離 |
変更後(現在) | ・ESTA又はビザの取得 |
カナダ・メキシコとの国境
カナダ及びメキシコとの国境は、2020年3月以降封鎖されていました。
しかし、2021年11月8日にカナダ及びメキシコとの国境の閉鎖が解除され、陸路・海路での移動が可能となりました。
また、2022年10月にはカナダ政府による水際対策の撤廃がなされ、現在では新型コロナウイルスのワクチン摂取なしでもカナダへの入国が可能となっています。
なお、新型コロナウイルスの感染状況により、今後水際対策などの措置に変更がある場合があります。そのため、入国を検討している方は最新の情報をご確認の上、渡航するようにしてください。
アメリカ国内の新型コロナウイルス感染状況
現在アメリカでは、新型コロナウイルスの新しい変異株である「JN.1」によって感染が拡大しています。
「JN.1」(ジェイエヌ・ワン)はオミクロン株の一種であり、以前に日本でも感染が広がっていた「BA.2」系統のウイルスが変異したものになっています。
アメリカでは、2023年12月23日までの2週間で新型コロナウイルスに新たに感染した人のうち、約44%の人がJN.1に感染していると推定しています。
また、米国では、新型コロナウイルスの再流行により、ニューヨーク、カリフォルニア、イリノイ、マサチューセッツの4州が医療機関でのマスク着用を義務付けています。ニューヨーク市では、公立病院や保健施設を利用する全ての方にマスクの着用が義務付けられています。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、季節性インフルエンザや他の呼吸器疾患の患者数の増加も報告しており、特にニューヨーク市は以前の医療危機の経験から慎重になっています。
現在、米国では約3万人の新型コロナウイルスの入院患者と1万5千人のインフルエンザの重症例が報告されています。CDCは、新型コロナウイルスとインフルエンザ感染率が共に1週間あたりで10%以上増加しており、今後も拡大する可能性があると警告しています。そのため、上記の4州以外でも医療機関を受診する際はマスクの着用が強く勧められています。
アメリカへの入国が制限されている国
2023年1月5日より、アメリカでは、中国籍及び過去7日間に中国、香港又はマカオに滞在した事がある渡航者を対象に、出発前2日以内に行ったPCR検査による陰性証明書の提示を義務付けていました。
しかし、同年3月9日にこれらの措置は撤廃され、また、以前から行っていた無差別に選出した中国からの渡航者を対象にした新型コロナウイルスの検査も廃止されました。
そのため現在アメリカ政府は、他国に対して新型コロナウイルスによる入国制限を行っていません。
したがって、現在は空路・・陸路及び海路の全ての航路で、新型コロナウイルス感染症に関する証明書を必要とせず、アメリカへ入国することができます。
なお、今後の感染症拡大に伴って、入国制限などが施行される場合があるためご注意ください。
アメリカ入国時に必要な物
現在アメリカでは新型コロナウイルスによる水際対策及び入国制限を実施していません。
そのため、アメリカ旅行の際は、ESTA又はビザの取得のみで入国が可能です。
アメリカ入国時の必要要件は以下の通りです。
・パスポート ・ESTA又はビザ(査証) ・税関申告書 |
では、アメリカ入国時の必要要件について細かく見ていきましょう。
ESTA
アメリカではビザ免除プログラム(VWP)が制定されています。そのため、日本を含むVWP対象国の渡航者は、電子渡航認証システムであるESTAを申請および取得することでビザの取得をせずにアメリカへ渡航することができます。
ESTAは、90日以内の滞在を目的とした観光または短期商用に限り、VWP対象国の渡航者が取得できる渡航認証です。
ですので、90日以内でのアメリカ旅行を行う際は、ESTAの取得をおすすめします。
ESTAの概要については下記表をご確認ください。
ESTAの概要 | |
---|---|
申請条件 |
・ICチップ搭載のパスポートを所持している ・渡航目的が観光および短期ビジネスである ・滞在期間が90日以内である ・VWP対象国の国籍を所持している ・過去に重大な犯罪歴がなく、不法滞在をしたことがない ・米国の定める伝染病および病気に罹患していない |
有効期限 |
2年間 ※ただし、パスポートの失効と同時に失効するので注意が必要 |
滞在可能期間 | 最大90日 |
VWP対象国 |
・日本 ・ルクセンブルク ・アンドラ ・モナコ ・オーストラリア ・オランダ ・オーストリア ・ニュージーランド ・ベルギー ・ノルウェー ・ブルネイ ・ポルトガル ・チェコ ・マルタ ・デンマーク ・サンマリノ ・エストニア ・シンガポール ・フィンランド ・スロバキア ・フランス ・スロベニア ・ドイツ ・韓国 ・ギリシャ ・スペイン ・ハンガリー ・スウェーデン ・アイスランド ・スイス ・アイルランド ・イギリス ・イタリア ・台湾 ・ラトビア ・チリ ・リヒテンシュタイン ・ポーランド ・リトアニア ・クロアチア |
なお、ESTAの申請条件を満たしていないかたもしくは2011年3月1日以降にイラク、イラン、北朝鮮、スーダン、シリア、リビア、ソマリア、イエメン、キューバへ渡航または滞在をした方はESTAの申請ができません。
このような方はビザの取得が必要となるため、注意してください。
ESTAの申請方法はこちらで解説していますのでぜひご覧ください。
ESTAが取得できない場合
ESTAが何らかの理由により取得できない方は、ビザ(査証)の取得が必要です。
また、アメリカ旅行を行う際はBビザの申請を行います。
なお、Bビザは商用ビザであるB-1ビザと観光ビザであるB-2ビザを合わせた総称となっています。
Bビザについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
税関申告書
税関申告書とは、米国税関・国境警備局(CBP)により、アメリカへ入国する渡航者に対し提出を求めている書類です。正式名称は、「CBP From 6059B」といいます。
渡航者の情報や、禁止物を持ち込んでいないかの申告を行うための書類であるため、米国居住者を含め入国する全員の方は提出が必要になります。なお、同行者が家族の場合は1家族につき1枚の提出で入国が可能です。
税関申告書は、アメリカへのフライト中に機内で配布されますので必ず記入しましょう。
なお、税関申告書の記入方法はこちらをご参照ください。
日本での対策について
ここまで、アメリカでの新型コロナウイルス感染症に対する対策について解説してきました。
では、アメリカから日本へ帰国又は入国する方に対して、日本では現在、どのような対策をしてるのでしょうか。
ここでは、日本が現在実施している新型コロナウイルス感染症の対策について解説していきます。
帰国・入国者への対策及び要件
2023年4月19日午前0時以降、日本では全ての入国者に対して義務付けていた「出国前72時間以内に受けた新型コロナウイルス検査の陰性証明書」及び「ワクチン摂取証明書(3回)」の提出を不要としました。また、中国(香港・マカオを除く)からの直行便での渡航者に対して講じていた「サンプル検査」等の措置を、他の国または地域からの渡航者と同様に、症状がある方への入国時の検査に変更しました。
また、新型コロナウイルス感染症の症状がある入国者に対する入国時の検査及び新型コロナウイルス感染症陽性判明時の施設等での療養は2023年5月7日まで行われていましたが、5月8日以降は感染症ゲノムサーベイランスを導入しました。
そのため、現在では、日本へ渡航する際には「出国前72時間以内に受けた新型コロナウイルス検査の陰性証明書」及び「ワクチン摂取証明書(3回)」の提出は必要なく、パスポートとビザの取得のみで入国が可能です。
現在の日本への入国要件について以下表でまとめましたのでご確認ください。
日本への入国要件 | ||
必要な物 | ・パスポート ・ビザ(査証) ・(任意)Visit Japan Web | |
新型コロナ関係 | 有効なワクチン接種証明書 | 不要 |
出国前検査証明書 | 不要 | |
到着時検査 | なし | |
入国後待機 | なし |
感染症ゲノムサーベイランスとは
感染症ゲノムサーベイランスとは、感染症の脅威について特定し、追跡することを目的としたシステムです。
感染症ゲノムサーベイランスでは以下の病原体遺伝子を検出可能です。
- 新型コロナウイルス
- アデノウイルス
- コロナウイルス(229E、HKU1、OC43、NL63)
- ヒト・メタニューモウイルス
- ライノウイルス/エンテロウイルス
- インフルエンザウイルスA
- インフルエンザウイルスA(A-H1-2009、A/H1、A/H3)
- インフルエンザウイルスB
- パラインフルエンザウイルス(1~4)
- RSウイルス
- 百日咳菌(Bordetella pertussis)
- パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)
- クラミジア・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)
- マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)
感染症ゲノムサーベイランスは、発熱や咳等の症状がある方で、調査に協力する事に同意した方に対して実施します。また、協力者の行動歴や症状等の確認も行います。
海外から流入する感染症の把握や変異株の分析を行うことができるため、流行の経路や接触追跡を行い病原体の変異速度を判定し、病原体の変異状況が診断または治療効果に影響するかどうかを理解するのに役立てることができます。
アメリカ渡航時の事前準備チェックリスト
アメリカ旅行をする際、どのような物が必要なのかしっかりと確認してみませんか?
ここでは、ここまで解説してきたアメリカ入国時と日本への帰国時に必要な要件についてまとめましたのでご確認ください。
アメリカ入国時の必要要件
現在アメリカでは、新型コロナウイルス感染症による水際対策及び入国制限を行っていません。そのため、アメリカ入国時の必要要件は、有効なパスポートの所持とESTA又はビザの取得です。
アメリカ入国時に必要な書類については以下リストをご確認ください。
- 有効なパスポート
- ESTA又はビザ(査証)
- 税関申告書
帰国時の必要要件
日本ではワクチン接種の義務が撤廃されました。それに伴い、新型コロナの陰性証明書及びワクチン証明の提出が不要になったため、日本への帰国時はパスポートの提示のみで入国が可能です。
日本への帰国時の必要要件については以下リストをご確認ください。
- 有効なパスポート
- Visit Japan Webへの登録(任意)
なお、今後の新型コロナウイルス感染症の感染状況により入国要件が変更になる場合があります。アメリカ旅行などで渡航をする際は、最新の情報をしっかりと確認しましょう。
いかがでしたでしょうか。
アメリカでは現在、海外からの渡航者に対して入国時に、新型コロナウイルス感染症の対策は行われていません。そのため、感染症発生前と同じ要件でアメリカ渡航を行うことができます。
また、日本での水際対策も廃止されたため、コロナに関する証明書の提出が必要ありません。
これに伴い、米国と日本の両国でワクチンの接種義務が無くなったため、ワクチンの摂取をせずにアメリカ旅行ができるようになりました。
しかし、米国の一部地域では新型コロナウイルスの再発により感染者の増加が起きているため、マスク着用をし、予防対策を行うことが大切です。また、医療機関などではマスク着用が義務付けられているため、ご注意ください。
アメリカ旅行を行う際は、この記事を参考にし、ワクチン接種の必要性を知ってトラブルのない米国渡航をしましょう。