ESTA(エスタ)は、米国のビザ免除プログラムに参加している国民が、ビザを取得することなく米国渡航ができる電子渡航認証システムで、正式名称を「Electronic System for Travel Authorization」といいます。
ESTAを取得することで90日以内のハワイを含む米国への観光旅行や短期商用(短期ビジネス)が可能となり、ビザと比較して申請の簡易さ、申請期間の短さなどの理由で2023年現在日本人にも広く利用されています。
本記事では、そんなESTA(エスタ)の申請を渡航の直前まで忘れていた、あるいは知らなかった人が渡航当日でも申請し渡航認証許可を得ることができるのか、その場合どのように手続きを行えば搭乗拒否されないのかを詳しく解説していきます。
渡航当日にESTA(エスタ)申請をして間に合う?
結論から言うと、渡航当日にESTAを申請したが、間に合ったというケースはいくつも報告されています。
ESTAの申請は出発の72時間(3日)前に済ませることが推奨されていますが、これはあくまで目安であり、30分で渡航認証が下りることもあります。
渡航予定日の当日になってビザやESTAが米国への渡航に必要なことを知り、その日の渡航を諦めてしまう人も少なくありません。
もしもそのような状況に陥ってしまった場合は、搭乗時間までに申請が間に合う可能性もありますので、焦らずにESTAの申請を行いましょう。
以下では、ESTAを当日に申請する方法や当日申請の注意点などを紹介していきます。
ESTA(エスタ)を取得しなければならない理由
ESTAは、国内の治安維持やテロ防止などアメリカの安全保障を目的として設けられた制度です。入国審査に先立って渡航者の身分を調査をする制度と言えます。ただし、ESTAを取得できたからと言って米国入国が確約されたわけではないことには注意が必要です。ESTAを取得した場合でも、入国審査は必ず受ける必要があり、入国審査の結果によっては強制帰国になることもあります。
ESTA(エスタ)はいつまでに申請するべきか
ESTAの申請は、出発の72時間(3日)前には済ませるように推奨されています。
ESTAの審査結果には、「認証許可」「認証拒否」「認証保留」の3種類がありますが、「認証保留」となったときは、結果が出るまでに長時間かかることが多いです。できるだけ早めの申請を心がけるようにしましょう。
なお、ESTAの有効期限は2年間ですので、渡米が決まっただけの段階でも取得することができます。米国滞在中の宿泊先や滞在先が未定の場合でも、渡航認証を取得してから情報を更新することが可能です。
ただし、ESTAはパスポートに紐づいて管理されるものですので、パスポートの残存有効期限の影響を受けます。パスポートの有効期限が切れてしまうと、ESTAの有効期限が残っていても失効してしまいますので注意してください。
また、ESTA申請は365日24時間行うことができますが、申請での記入ミスや米国側のシステムトラブル、定期メンテナンスなどが重なることで審査に遅れが出ることもあります。上記の時間はあくまで目安ですので、基本的には推奨されている72時間前に行うようにしましょう。
空港でのESTA申請に必要なもの
ESTAの申請の際に必要となるのは、次のようなものです。
渡航当日の申請はどれだけ早く申請手続きを進められるかが重要となりますので、これらを忘れることなく準備しておきましょう。
なお、家族での渡航の場合は乳幼児含む18歳未満の未成年者でもESTAの申請は必要となりますので、両親の方がまとめて申請を行うようにしましょう。
渡航当日のESTA申請の流れ
ESTAの申請はすべてオンラインで完結することができます。具体的な申請方法は次の通りです。
ここで渡航者情報の記入ミスや適格性に関する質問で誤った回答をしてしまうと審査に時間がかかる、あるいはESTAを取得できない可能性がありますので、情報入力や質問回答の際は落ち着いて対応することが手早く承認を得るポイントです。一般的な申請手続きの推定平均記入時間は23分ほどです。
1.ESTA公式サイト( https://esta.cbp.dhs.gov/ )にアクセス。 ※スマホやタブレットからも申請を行えますが、スムーズに入力を行うのであればPCからの申請を推奨します。 2.画面右上の「Change Languege」で言語を「日本語」に変更。 3.上部タブの「個人による申請」または「グループによる申請」を選択。渡航者が1人の場合は「個人による申請」、家族やグループでの渡航の場合は「グループによる申請」から申請を行いましょう。 4.「セキュリティに関する通告」の内容を確認し、続行。 5.免責事項、申請手数料の改定についての説明内容を確認し、それぞれ合意にチェックを付けて「次へ」を選択。 6.パスポートの経歴ページの写真をアップロードおよび申請者情報(パスポート、電子メールアドレスなど)を記入。この時使用する電子メールアドレス宛てに確認のメールが届くので、必ず確認をしましょう。 7.個人情報や渡航情報(渡航先住所、電話番号など)を記入。 8.適格性に関する質問にすべて「いいえ」で回答。 9.申請内容に間違いがないか確認をしたらクレジットカードにて申請料金を支払う。 |
ESTA申請の状況を確認するには、公式サイトの上部タブの「ESTAステータスの確認」から見ることができます。
審査結果のステータスには「認証が承認されました」「渡航は承認されませんでした」「認証は保留されました」の3種類あり、「渡航は承認されませんでした」と出た場合はESTA渡航認証拒否となり、ESTAの再申請を行うか別途ビザの申請を行う必要があります。「認証は保留されました」と出た場合は審査中のため、暫く時間を置いてから再度確認を行いましょう。
ESTAの申請をしてから承認されるまでの平均時間
ESTAの審査が終了するまでの時間は、「渡航認証許可」「渡航認証保留」「渡航認証拒否」の場合で異なります。
「認証許可」である場合は、1時間以内に結果が出ることが多いです。当日にESTAを取得しなければならないことを知ったとしても、このケースなら間に合う可能性が高いと言えます。
問題なのは、「認証保留」「認証拒否」の場合です。これらの審査時間は、申請者によって大きく異なります。審査期間は最長でも72時間ですが、それ以上の予測はできません。
ESTAの当日申請に関する注意点
この章では、ESTAを出発の当日に申請するケースの注意点について解説していきます。
渡航先がグアム・サイパンであるとき
日本国籍の方がアメリカへ入国する際にはESTAが必要になりますが、渡航地がグアムやサイパンなどの北マリアナ諸島である場合は、例外的にESTA無しでも入国することができます。当日焦ってESTAを申請することのないように注意してください。
ただし、ESTA無しの渡航の場合は、滞在可能期間が45日間までになります。45日以上滞在する場合は必ずESTAを申請するようにしてください。
また、滞在期間が45日以内であっても、ESTAを申請しておくことで入国審査の際に優先レーンを利用することができます。入国審査にかかる時間を短縮したい方は、ESTAを申請するのがおすすめです。
渡航先がハワイであるとき
上述の通り、渡航先がグアムやサイパンであり、滞在期間が45日以内である場合はESTAが不要です。しかし、ハワイへ行く場合は滞在期間にかかわらずESTAを取得しなければなりません。この2つは混同されやすいので注意しましょう。
ESTAのコピーについて
無事にESTAの認証が下りると、ESTAのコピーを取ることを推奨する画面が表示されます。時間に余裕がある場合はコピーを取って控えておくのがお勧めですが、当日に空港で申請している場合はそこまでの余裕がないかもしれません。この点、ESTAはコピーがなくても有効ですので安心してください。ESTAはパスポートに紐づいて管理されるものですので、入国審査の際はパスポートを提示するだけです。
もちろん、時間に余裕がある場合は、万が一の事態に備えてコピーを取っておくのが良いでしょう。
当日中のホテル変更について
ESTAの申請フォームには、滞在中のホテルの情報を入力する項目があります。入力必須項目ではないので空欄のまま申請することもできますし、認証が下りた後にホテル情報を訂正することもできます。例えば、米国旅行が決まった段階でESTAを取得しておき、泊まるホテルが決まったら、ホテルの情報を更新するといったことができます。
ただし、当日申請の場合は注意が必要です。認証が下りたその日にホテル情報を変更すると、入国審査官に怪しいと判断される可能性があります。
ESTA申請で渡航認証拒否になる原因と対処方法
ESTAの審査結果で渡航認証拒否となってしまった場合、以下のような原因が考えられます。
原因に心当たりがある方は、渡航認証拒否にならない為の対処方法を確認し、再度ESTAの申請を行ってください。
渡航認証拒否の原因 | 対処方法 |
---|---|
本人のパスポート情報と申請情報が一致しない。 あるいは記入ミスがあった。 |
パスポートの情報と渡航者本人の情報が必ず一致するように記載する。 |
申請に使用したパスポートの有効期限が切れていた。 | 有効期限内のパスポートを使用する。 |
適格性に関する質問に、1つでも「はい」を付けた。 | 適格性に関する質問の回答をすべて「いいえ」にしてください。 |
なお、入力ミスが原因だった場合、ESTAの再申請を行う必要がありますが、一度入力した内容はすぐに取り消すことができない為、再申請までに24時間以上空けなければなりません。また、再申請にはあらたに費用がかかりますので、申請が完了する前に間違いがないか良く確認することが重要です。
再申請ではなく申請内容の修正を行うことも出来ますが、こちらは米国税関・国境警備局(CBP)に直接問い合わせを行う必要がありますので、英語でのやり取りとなってしまうことから再申請よりも時間がかかることが予想されます。
ESTA申請が間に合わなかった場合の対処方法
渡航予定時刻までにESTA申請が間に合わなかった場合は、チケット購入したサイトまたは航空会社のカスタマーサポートに連絡を取り、航空券の払い戻し(キャンセル)または日程変更が可能か確認を取りましょう。払い戻しや日程変更が可能だった場合は、確実にESTAの申請が下りている日程で航空券を手配することをお勧めします。なお、一部の航空券には払い戻し不可(もしくは一部返金)のものや、日程変更ができないものもありますのでご注意ください。
また、渡航認証拒否でESTAの取得が出来なかった場合は、別途米国ビザの取得を行う必要があります。
米国ビザ申請は米国大使館または領事館にて出来ますので、申請書類を揃えて、渡航目的に合った種類のビザを申請しましょう。例えば、渡航目的が観光である場合は、Bビザ(B-1ビザ・B-2ビザ)を申請します。
面接が必要なこともあり、ビザの申請にはおよそ1〜2か月ほどかかってしまいますので、今回直前のESTA申請となってしまった方は次回以降渡航の予定で出来次第ESTAまたはビザの申請を行うようにしましょう。
ESTA申請時のアメリカ渡航に関するQ&A
その他、ESTA申請に関するQ&Aは以下をご確認ください。
<Q&A>
まとめ
この記事では、ESTA申請が渡航当日になってしまった場合でも間に合うのか、搭乗拒否されないための条件などについて詳しく解説しました。ESTAの当日申請に関する注意点を整理すると次のようになります。
- 渡航当日のESTA申請は間に合う可能性があるが、必ず申請が通るわけではない。
- ESTA申請に必要なものは事前に準備しておく。
- 渡航認証拒否にならないよう、申請の際は入力ミスや有効期限、適格性に関する質問への回答に注意して入力する。
- 申請が間に合わなかった場合、すぐにカスタマーサポートにて払い戻し(キャンセル)や日時変更の手続きを行う。
- 情報入力ミスなどで渡航認証拒否となった場合は、あらたにビザの取得が必要。
ここまで解説したように、渡航当日のESTA申請は必ず承認が下りるわけではないので、基本的には推奨される72時間前には申請が完了しているよう、余裕をもって動くことが大事です。ESTAは渡航予定がない場合でも取得することができ、2年間の有効期限もありますので事前に申請しておき、急な渡航予定に対応できるようにしておくのも良いでしょう。