ESTA(エスタ)申請時の適格性についての質問を徹底サポート

ESTA(エスタ)申請にあたって、適格性の質問とは何なのでしょうか。ビザ免除プログラムを利用する渡航者はESTA(エスタ)を申請しなければなりません。
つまり、ESTA(エスタ)を取得する適格性があるかどうかの質問ということです。
この記事では、ESTA(エスタ)申請の適格性の質問とはどのようなものかを解説していきます。

パスポートの確認

適格性の質問の前にパスポートの確認をしましょう。パスポートの有効期限が切れていると、ESTA(エスタ)を申請することすらできません。

パスポートの必須要件は以下の通りです。

  • 有効期限内のパスポートであること
  • 日本帰国の日まで有効であること
  • 機械読み取り式であること

以上がESTA(エスタ)申請前に確認すべきパスポートの要件です。なお、日本のパスポートは全てICチップが内蔵されています。

特に機械見取り式であることは重要になります。

しかし、結婚後などで苗字などを変更した場合のパスポートはESTA(エスタ)申請で問題なく使用できるでしょうか。

あなたのパスポートは訂正旅券?

現在は結婚などで苗字等の身分事項に変更があった場合は、お近くの市役所などで「残存有効期間同一旅券申請」を行うことで、ICチップの情報とパスポート本体に記載された情報を変更することができます。

しかし、平成26年(2014年)3月20日より前に身分事項の変更を行った方は、パスポートの追記ページに訂正内容がタイプ印字によって記載されるのみで、ICチップ内の情報は変更されていないのです。このパスポートを「訂正旅券」と言います。

訂正旅券は、記載事項とICチップ内の身分情報が合致していないので、国によっては国際基準外とみなされる可能性があります。渡航先での各種手続きに支障をきたす事例も確認されています。

では、訂正旅券を現在のパスポートに変更するにはどうすれば良いでしょうか。

訂正旅券を再発行する方法

パスポートの身分事項変更・個人情報の更新を行いたい場合は以下のどちらかの手続きが必要になります。

  1. 新たな旅券を発行する。(新規申請)
  2. お持ちの旅券と残りの有効期間が同一の新しい旅券を発行する。(残存有効期間同一券の申請)

※1,2共に旅券のパスポート番号が変更されます。そのため、ESTA(エスタ)申請は新規パスポートが発行されてから始めましょう。

ESTA(エスタ)の申請方法

ESTA(エスタ)の申請を行うにはCBP(米国国土安全保障省 税関 国境取締局)の公式サイトから申請を行うことができます。もしくは、ご自身でのESTA(エスタ)申請に不安がある方は、当サイトのESTA(エスタ)の申請代行サービスを利用することもできます。

ESTA(エスタ)の申請方法はこち

当サイトのESTA(エスタ)申請代行サービスの詳細はこちら

ESTA(エスタ)の申請には個人情報の入力と質問に回答するのが主です。

ですが、適格性についての質問はあいまいな表現が多く、「はい」「いいえ」どちらを選ぶべきなのか迷う方も多いと思います。

なので、ここからは適格性に関する質問を徹底的に解説していきます。

適格性に関する質問とは

ESTA(エスタ)申請の適格性に関する質問とは、アメリカ入国にあたってアメリカ・アメリカ市民に危険を及ぼす人間でないかを確かめる質問です。合計9種類ありますが、一つでも「はい」と答えた質問があった場合、渡航認証許可が拒否されてしまう可能性が高いです。

また、虚偽の申告がある場合はESTA(エスタ)の申請を拒否されるだけでなくアメリカへの渡航が禁止になってしまうこともあります。

そのため、誠実に質問に答えてください。

質問1:精神疾患・薬物依存・疾病の有無

この質問の目的は、

  • アメリカ政府が定めた危険な伝染病に感染していないか
  • 身体障がい・精神障がいの影響で、アメリカ市民に危険が及ばないか
  • 麻薬中毒者・麻薬常習者を入国させないため
ESTA申請の適格性を確認する1つ目の質問。
精神疾患、薬物依存、疫病の有無を確認しています。

伝染病

ESTA(エスタ)の承認を阻む感染症の条件は、感染拡大が非常に早いものであり、公衆衛生に多大な影響を与える病気です。

つまり、風邪やインフルエンザといった病気は申請者が感染していたとしてもこの質問に「いいえ」と答えることができます。

質問1に「はい」と答えなければならない伝染病は画像のように明記されていますが、下記表にてまとめました。

アメリカ政府の定める危険な感染病
コレラ・ジフテリア・ペスト
黄熱病・天然痘・感染性結核・ハンセン病
ウイルス性出血熱
エボラ熱・ラッサ熱・マールブルグ熱・クリミア・コンゴ熱
性病
軟性下疳・淋病・鼠径部肉芽腫・鼠経リンパ肉芽腫・梅毒
アメリカ政府の定める危険な感染病

身体的または精神的障害

身体障害・精神障害のある方は必ずしも、質問1の疾患に当てはまる訳ではありません。

なお、「はい」と答えなければならない方は下記の通りです。

  • 現在、身体的・精神的障がいを患っており、自分または他の人の所有物や安全、福祉を脅かす可能性がある。
  • 自分または他人の所有物や安全、福祉を脅かす、障がいに関する行動の症歴がある。
  • 過去に身体的・精神的障がいを患っており、自分または他人の所有物・安全・福祉を脅かすような障害に関する行動をしてしまう可能性がある。

「いいえ」と回答する場合は以下の通りです。

  • 現在、身体的・精神的な障害を患っていない。
  • 身体的・精神的障害を患っていたが障害に関連した行動で自分・他人の所有物や安全、福祉を脅かしたことがない。
  • 現在障害を患っているが、自分や他人の所有物や安全、福祉を脅かす行動をとらない。
  • 過去に障害を患い、その影響で自分や他人の権利を侵害したことがあるが、今後は再発することはない。

麻薬常習者または麻薬中毒者の場合

アメリカの移民国籍法に基づき、日頃から麻薬を使用している人や、中毒の人はアメリカに入国出来ません。

質問2:逮捕・犯罪歴の有無

この質問の目的は、今までに他の人や政府、その所有物に対して危害を与える行動を取り、有罪判決を受けたり逮捕されたことはあるかを確認する事です。

特に逮捕歴・有罪歴のない方は「いいえ」を選択してください。

ESTA申請の2つ目の適格性の質問。
逮捕、犯罪歴の有無を確認します。

この質問に「はい」と答えなければならない場合は以下のようになります。

質問2に「はい」と回答しなければならない場合
個人への犯罪 所有物(財産)に対する犯罪 政府に対する犯罪
殺人 放火 公務執行妨害
過失致死 強盗 脱税
強姦 窃盗 贈収賄
わいせつ 詐欺 偽証
暴行 等 盗品の受け渡し 等 テロリズム 等

アメリカでの「重大な犯罪」の定義は「1年以上の禁固刑」です。もし過去に禁錮1年以上の有罪判決を受けた方はESTA(エスタ)を取得できない可能性が高いです。

また、過去の犯罪歴を聞かれているので、10年以上前の犯罪歴がある方でも「はい」と回答しましょう。

質問3:違法薬物の所持・使用の有無

質問の目的は違法な薬物に関わったことがあるかを確認することです。

違法薬物の加工・流通・使用に関する法律を犯したことのある人は「はい」を選ばなければなりません。

ESTA申請の3つ目の質問です。違法薬物の所持、使用の有無の確認をしています。

薬物関連で有罪判決を受けていない場合は「いいえ」を選択することができます。

また、アメリカでは医療用大麻も違法薬物として認定されています。

ただし、治療目的で医療用大麻を使用し、有罪判決を受けていない場合は質問に「いいえ」と答えることができます。

質問4:テロ・スパイ行為の有無

質問の目的は、あなたがテロリズム・スパイ活動・破壊工作・大量虐殺に参加した経験があるかの確認です。

過去の犯罪歴について調べるものではなく、申請者がアメリカ滞在中にテロ活動に参加する恐れがあるかを検討する質問です。

ESTA申請の4つ目の適格性の質問。
テロ行為やスパイ行為の有無を確認しています。

テロ行為の詳しい説明を記載しますので、テロリズムなどの定義がわからない方は参考にしてください。

テロリズム 政治的目的を追求するために、特に民間人に対して暴力と脅迫を不法に用いること
スパイ活動 政治的・軍事的情報を得るために、政府がスパイを使ったり、スパイを使ったりすること
サボタージュ 特に政治的または軍事的な利益を得るために、意図的に(何かを)破壊、損傷、妨害すること
大量虐殺 大規模な集団、特に特定の国家や民族の人々を意図的に殺害すること

質問5:違法なビザの取得、詐欺行為の有無

この質問の目的は、申請者がビザ・ESTA(エスタ)の偽造や虚偽申告、詐欺行為を行ったことがあるかどうかを確認するために実施している質問です。

ESTA申請の5つ目適格性の質問。
違法なビザの取得や詐欺行為の有無を確認しています。

ビザの偽造や査証、渡航認証申請時の情報入力に虚偽の申告が含まれていた場合、アメリカの国境警備局は防犯上のリスクがあると考え、無期限の入国禁止を通告する可能性があります。

質問6:未許可の就労意図の有無

ビザ免除プログラムで渡米する渡航者は米国政府の許可なく米国で就労することを禁止されています。

過去に、違法就労を行っていたことがある人や就労する意思がある人を失格にする目的があります。

ESTA申請の適格性の6つ目の質問。
アメリカで未許可就労をする意図があるかの確認の有無を確認しています。

米国で有給で就労する場合は就労ビザを取る必要があります。

ただし、米国に到着する前に予定されていた就職面接や、無給の業務のために渡米する際にはESTA(エスタ)を利用できます。この場合は、渡航目的をビジネスにする必要があります。

質問7:ビザの否認・入国拒否の有無

この質問の目的は、渡航者が過去にアメリカに入国する際やビザ申請の際に問題を発生させたり、不審な行動をしていないかを確認するために行っています。アメリカビザを取ることができなかった旅行者はESTA(エスタ)申請も難しいです。逆にESTA(エスタ)の渡航認証拒否の場合はビザを取得するという選択肢は残ります。

ESTA申請の7つ目の適格性の質問。
ビザの否認や入国拒否の有無があるかの確認をしています。

アメリカ入国の際に入国審査場で国境管理局職員に入国拒否される場合は、主な理由として渡航者の書類の不備やオーバーステイの疑惑など様々な懸念があるためです。

質問8:超過滞在の有無

ESTA申請の8つ目の適格性の質問。
オーバーステイ歴があるかの確認をしています。

許可された支流期間を過ぎてもアメリカに滞在した場合は、今後のビザ・ESTA(エスタ)の取得が困難になります。加えて、不法滞在の期間が長くなると無期限の米国入国不可処分になりかねないので注意が必要です。

在留期間が一日でも過ぎるとオーバーステイ履歴がパスポートに残りますので、時間に余裕を持った渡航予定を立てましょう。

オーバーステイの詳しい情報はこちらの記事をご確認ください。

特定国への渡航歴の有無

特定国への渡航歴の有無は渡航者がテロ支援国家とのつながりがないかを確認するために実施されている質問です。

ESTA申請の9つ目の質問。
アメリカが定めるテロ支援国家に渡航したことはあるか確認しています。

国際的なセキュリティ強化とテロリズム対策をする目的で2016年に新たに追加されたルールです。
2011年以降にアメリカ政府が定めたテロ支援国家に渡航した経歴を持つ人はこの質問に「はい」と答える必要があります。

アメリカが定めるテロ支援国家(SST)
シリア
イラン
リビア
イエメン
イラク
スーダン
北朝鮮
ソマリア

ESTAの申請時にされる「適格性の質問」はアメリカ政府およびアメリカ市民に海外から危険が及ばないようにするためのセキュリティ制度です。そのため、一つでも「はい」と答える質問があると、渡航申請拒否になってしまうのです。

加えて、虚偽申告をしてしまうとアメリカに渡航ができなくなる可能性もあります。

ESTA申請で虚偽申告をしたが、たまたまESTAを取得することに成功した。しかし、次にアメリカに渡航する際に虚偽申告をしたことが国境取締局に明らかになり、無期限の渡米禁止措置になってしまった、というケースです。

このような事例にならないために、適格性の質問には誠実に回答しましょう。

以上、ESTA(エスタ)申請前に行うパスポートの確認事項と適格性についての質問でした。

結論としては

  • ESTA(エスタ)の申請を行う前に、ご自身のパスポートが一般旅券であるかを確認しましょう。
  • 適格性の質問は定義が曖昧です。そのため、この記事を参考にして質問に答えましょう。

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