留学するのに必要なビザは?各国ごとに取得すべきビザを徹底解説

多くの方が留学に際し、ビザの必要性を疑問視しているかもしれません。しかし、留学期間や特定の条件を満たす場合、ビザなしで留学することも可能です。さらに、ビザが必要になる状況や留学スタイルに関しても詳しく説明します。留学に興味のある方にとって、見逃せない内容となっています。

そもそもビザとは?

そもそもビザ(Visa)とは外国人が入国する際に必要になる上陸許可証のことで、日本では「査証」とも呼ばれます。ビザがなければ、目的国への入国は不可能です。

よく混同されるパスポートとの違いは申請先国の違いになります。

ビザは渡航先国に、パスポートは日本に対して申請します。

パスポートがあれば日本からの出国は可能ですが、他国への入国にはビザが必要です。

しかし、日本のパスポートは国際的に信頼されているため、ビザなしで入国可能な国も多いです。ただし、留学に関して言えば、滞在期間や活動に制限がある点に注意が必要です。

留学に必要なビザ

留学をする際に取得する必要のあるビザは主に3種類あります。各ビザで利用する事の出来る留学制度を具体的にご紹介します。

  • 学生ビザ(留学ビザ)

語学学校や大学・大学院に留学する際に使用します。

  • 観光ビザ

観光ビザで留学することはできますが、短期間でしか現地で学習することができず、学習時間にも制限があります。

  • 就労ビザ
    インターンシップや研修などに利用されます。語学留学を行う場合には就労ビザを取得する事はおすすめできません。

留学の際には基本的に学生ビザを申請する

外国留学では、一般的に学生ビザ(留学ビザ)の取得が必要です。学生ビザは外国人が学習することを前提として作られているビザ制度であるためです。

また、留学する学生ビザの名称は国によって異なります。

例えば、アメリカでは「F-1ビザ」、オーストラリアでは「Subclass 500」という名称がつけられています。

また、留学ビザの中にも区分が設けられている国があります。例としてイギリスに留学する際には6カ月以内の短期留学では「Short-term Study Visa」、6カ月以上の長期留学や大学に留学する際には「General Student Visa(Tier 4)」という別々のビザ申請が必要です。

国によっては、短期留学ならビザなし・短期滞在ビザで留学できますが、上記の学生ビザは、語学学校や大学など一日8時間程度授業を受けなければならない「フルタイム制度」のカリキュラムの際に取得する必要のあるビザです。

しかし、短期留学を行う場合には、国によってビザ無しで留学が出来る場合もあります。

ビザなし留学は制限が多い

ビザなしでの留学には、期間が短いだけでなく受けられる授業の最大数が決まっていたり、週18時間までしか授業を受けられないなどの制約があります。時間を気にせず思いっきり学びたい方は、学生ビザを取得し留学する事をオススメします。

電子渡航認証制度を利用して留学も

電子渡航認証制度は、短期間の間のみ外国に滞在することが許される電子ビザ制度です。渡航目的は観光かビジネスの場合のみになります。

電子渡航認証制度で留学する場合には、あくまで渡航目的は観光であることが重要です。そのため、教育機関で講義を受ける期間には制限が設けられています。

電子渡航認証の例
アメリカ ESTA
カナダ eTA
オーストラリア
ETA ニュージーランド
NZeTA

ワーキングホリデービザという選択肢

ワーキングホリデービザも留学の選択肢の一つです。ワーキングホリデーとは国際交流を目的とした制度で、20代前半から30代の方が対象です。学生ビザはある一定の年齢を超えてしまうとビザ取得が困難になってしまいます。しかし、ワーキングホリデービザは社会人向けの制度になっています。また、語学力向上を目的に現地の語学学校に通うことも認められています。ワーキングホリデーはビザ申請が比較的簡単で、価格も安く抑えられていますので、資金が少ない方にも適した制度です。

ただし、語学留学で通える期間は留学先の国ごとに異なります。そのため、渡航先の国ごとにどれくらいの期間滞在出来るのかあらかじめ調べる必要があります。

そのため、じっくりと時間をかけて語学を学習したい方には向いていない可能性がある制度です。

また、ワーキングホリデービザでは大学や大学院などの学術的な教育期間に留学することはできません。

受け入れ先の教育機関に制限があるビザ制度ですが、社会人になった後に語学を¥学習したい方にはピッタリな制度です。

語学留学に通える期間は留学先の国ごとに異なる

自由度が高いワーキングホリデー制度ですが、語学学校に通える期間は国によって異なります。先にワーキングホリデービザの詳細を調べていないと、渡航先国を決めたが、在留できる期間が短いなどの問題が発生しがちです。そのため、まずはしっかりと調べたうえでワーキングホリデー制度を利用するか決めましょう。

国別学生ビザの要件

上記からもわかるように、学生ビザ以外でも留学はできるものの、期間や学習時間などが制限されてしまうというデメリットがあります。そのため、学生ビザを取得する事を考えている方向けに、下記では、国ごとにどのような目的を持った方が学生ビザを取得するべきか、その条件と学生ビザの例を記載していこうと思います。

アメリカ

アメリカの学生ビザは「F-1ビザ」と「M-1ビザ」の2種類が存在します。

「F-1ビザ」は大学や私立高校に通い、語学や学術的なことを学ぶ際に必要になります。

一方で「M-1ビザ」は専門学校等の職業的なことを学ぶ目的で渡航する方が必要になるビザです。

また、アメリカには「ESTA」という電子渡航認証制度がありますのでビザ無しでの渡航を行うことができます。ESTAでアメリカに留学する際には、週に18時間未満かつ滞在期間が90日以内という制限が設けられますのでご注意ください。

カナダ

カナダの学生ビザである、「Study Permit(就学許可証)」は6カ月以上の留学を行う際に必要になる書類です。6カ月未満の留学予定の場合にはカナダの電子渡航認証である「eTA

」を取得し留学することができます。ただし、学習カリキュラムや留学先の学校によっては6カ月未満の滞在でも「Study Permit(就学許可証)」を取得する必要があるため注意が必要です。

イギリス

イギリスでは、留学期間が30日以内の場合はビザなし入国での留学が可能です。30日以上6カ月以内の留学、もしくは30日以上11カ月以内の語学留学の場合、「Short-term study visa」が必要になります。

大学・大学院に通う場合や11カ月以上語学学校に通う場合には「General student visa (Tier 4)」で留学することができます。この学生ビザを取得する際には英語力の証明のため、試験を受ける必要があります。

イギリス留学の制度
30日以内 ビザなし 30日以上6カ月以内の留学、 もしくは30日以上11カ月以内の語学留学 Short-term study visa 大学・大学院に通う場合 1ヶ月以上語学学校に通う場合 General student visa (Tier 4)

アイルランド

アイルランドに留学する場合には、90日以内の短期留学の場合ビザは不要です。3か月以上の長期留学を予定している方は学生ビザを現地でオンライン申請した後、現地警察署に出向いて取得することができます。

マルタ

マルタで語学留学を行う場合には、90日以内であればビザの申請を行わずに滞在することができます。ただし、電子渡航認証である「ESTA」のオンライン申請が必須になります。

90日以上マルタに滞在する場合には、現地にて「Residence Permit(居住申請)」を行う必要があります。

ドバイ

ドバイに留学する際には、30日以内の短期留学であれば、ビザ申請は不要です。

入国審査時に「Visit Visa(短期滞在査証)」が発給されます。

31日以上90日以内の滞在が予定される留学を希望する場合には、「短期留学ビザ」

90日以上であれば「長期留学ビザ」の申請が必要です。

オーストラリア

オーストラリアに留学する場合は「Subclass 500」という学生ビザの取得が必要です。

留学が3か月以上になる場合にはオーストラリアの学生ビザを取得しましょう。

留学予定期間が3か月未満の場合には、短期観光ビザや電子渡航認証システム「ETA」を取得しましょう。これらのビザでオーストラリアに入国し、留学することが可能です。

ニュージーランド

ニュージーランドで3か月以上の期間、語学留学する際には学生ビザの申請が必要になります。学生ビザで語学留学や大学に通う場合には学生ビザで十分ですが、交換留学だったり、語学学校から大学に進学する等といった複数の教育機関に通う予定の方は別のビザ申請を行う必要があります。

3か月以内の場合には「NZeTA」という電子渡航認証を取得することで留学することができます。

フランス

フランスへの留学は3か月以内の短期留学の場合、ビザ無しで渡航することができます。

4か月から1年間の留学を行う場合には長期学生ビザである「VLS‐TS étudiant」を取得しましょう。

ドイツ

ドイツは滞在期間が3か月以内であればビザなしで渡航することができます。語学留学だけでなく、インターンシップ目的の場合でもビザは原則不要です。

3か月以上の滞在が予定される場合には学生ビザの取得が必須になりますが、ビザなしでの渡航後、現地で滞在許可を申請する事ができるようになるため、必要書類は忘れずに持っていきましょう。

フィリピン

フィリピンでの滞在期間が30日以内の場合にはビザの申請を行う必要はありません。30日以上の留学であれば観光ビザを取得し、延長する必要がありますが、ほとんどの場合語学学校などが代行して行ってくれることが多いです。

また、大学に進学する際や専門学校に通う際には「F9ビザ」というフィリピンの学生ビザを取得する必要があります。加えて、60日以上フィリピンに滞在する場合には「ACR-I-CARD」への加入が不可欠です。

ビザ申請の流れ

STEP1:学生ビザ申請に必要な書類を確認する

まず、各国大使館のページを検索し、自分の留学目的や期間に合わせてビザを取得するために必要な書類を調べます。基本的には、下記の書類が必要になりますが、国ごとに追加で必要になる書類もあります。

  • 入学証明書
  • パスポート
  • 銀行の残高証明書
  • ビザ申請書
  • 海外留学保健書
  • 健康診断書

STEP2:入学先の学校や海外保険を申し込む

万が一のことを考え、海外保険に登録をしておきましょう。受け入れ先となる学校への入学証は届くまでに時間がかかりますので余裕をもって計画を行うことが重要です。

また、申請の際には書類に翻訳を添付して提出する必要がありますので、各国の標準語に合わせて翻訳の準備を行うようにしましょう。

STEP3:各種書類を用意し最終確認を行う

必要書類の準備が完了したら、それぞれの条件を満たしているかを確認しましょう。問題がないと思ったら、大使館に面接の予約を行います。

STEP4:大使館・ビザセンターに訪問して面接を受ける

必要書類を持参して大使館またはビザセンターへ面接を受けに行きます。

大使館では、書類の提出だけでなく、面接や指紋認証・顔写真の撮影があります。

また、当日の服装はオフィスカジュアルの装いで面接を受ける事をオススメします。

STEP5:ビザを受け取る

申請が終わり、審査が無事に終われば1か月ほどでビザを受け取ることができます。受け取り方法には各国で違いがありますが、「大使館にて直接受け取る」「郵送で受け取る」「専用サイトからダウンロードする」といった方法が一般的です。

ビザ申請時の注意点

ビザ申請時に間違えやすい注意点について解説していきます。手続きが複雑なだけでなく、必要書類も多いため、間違えてしまう事はよくあります。また、ほとんどの方がビザ申請がはじめての方です。下記の注意点を参考にしてよくあるミスをなくしましょう。

ビザ申請の手数料が必要

ビザの申請には手数料を支払わなければならない国が多いです。例として、アメリカにs留学する際には、ビザ申請料金160ドル、SEVIS(留学生を対象とした制度)費用200ドルの合計360ドルを支払う必要があります。2023年12月の為替を考慮すると54000円(1ドル当たり150円で計算)ほどかかる計算になります。

健康診断や海外保険のことを考えると出費がかさむこともありますので、予算を決める際には、あらかじめビザ申請料を調べておきましょう。

追加書類が必要になることもある

ビザ申請の審査中に申請者本人についての補足情報が必要になった場合には、追加で提出書類が求められる場合があります。この場合には、期限内に求められた書類を提出しなければなりません。ただし、焦る必要はありません。求められた書類はどうやったら手に入れられるのかをまず調べ、翻訳を添付するなど落ち着いて行動しましょう。

ビザ申請から取得まで時間がかかる場合もあります

学生ビザは発給までに基本的に1週間から1か月ほどの期間が必要です。

ですが、混雑が予想される時期や追加書類が必要になった場合には、より時間がかかります。そのため、時間にゆとりを持った計画を立てましょう。

まとめ

以上、就学に必要な学生ビザについての情報をまとめました。

各国ごとに必要な書類や、手続きに違いがありますので、留学したい国を決めたらまずは、大使館の公式Webサイトにて留学ビザについて調べましょう。

また、必要な書類や手続きの流れをしっかり把握し、余裕を持った計画を立てることが重要です。

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